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名古屋コラム

郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 小泉純一郎の末路

   損害保険会社の大手5社代表が雁首を揃え「契約違反の不払い(一社で数万件・数億円)ゴメンサイ」と記者会見で頭を下げている今この時、そして少し前には50兆〜70兆円もの国民の血税を民間大銀行へ貢ぎ、一部は「国営銀行」としたうえ捨て値で売り払って買収の外国資本を大儲けさせたばかりなのに、「郵政民営化をすれば良くなる、経済も何もかも」と、例のごとく説明責任を一切放棄したままお題目のように唱えているだけで、「私は米国金融界からの指令に忠実に郵貯・簡保340兆円を差し出そうとしている古い体質のタダの大蔵族政治家に過ぎないのです」と吐露することもなく、1931年満州事変(侵略)から45年敗戦まで日本人310万人とアジアの人々2000万人もの命を奪った日本帝国主義の軍用施設である靖国神社への「参拝」に関して、あれほど熱弁をふるっていたのに総選挙は「郵政のみ」へと「愚民先導」するための御都合主義で口を閉ざし、政治家は多かれ少なかれ役者なのだが(名優は自由自在に涙を流すことも出来る)「劇場型=激情型選挙」の主役・演出を、権力と金と米国からの広告費等に弱いマスメディアという大資本が眉唾の世論調査も含めヨイショのキャンペーンを毎日繰り広げてくれるおかげで見物人が増え、おまけに郵政公社を発足させた時の法律に「民営化はしない」と明記していたのに、自分が郵政公社総裁に任命した商船三井元社長&会長の生田正治に民営化「賛成論」の「裏切り」発言を、8月8日参議院本会議で廃案になる前後にさせ、そして、「民営化」というのは正しい呼び名では「私営化」「資本主義的な利潤追求の株式会社化」「世の中の弱肉強食化」「地方と貧乏人切り捨て化」であり、且つ、「国営」の最高責任者である総理大臣は「政府は役立たずでした。ゴメンサイ」と言わねばならないところ、大威張りで「民営化の俺に従え!逆らう奴は打ち首じゃあ!」と訳解らないままただただ叫んでいる人を、一国の首相にしといて良いものだろうか?

*       *       *       *

「『ヒトラーより酷い』小泉『自爆・自縛・視覚死角・刺客・資格失格・自覚』解散」との大見出しが「4・28から(8/20号)」の1ページにあるが、記事の中では、廃案にした喜びと郵政ユニオン・民営化監視市民ネット・全労協等の闘争経過の記述で埋められて、ただ最後の1行に「小泉総選挙に追撃を!」とあるだけだ。

 この筆者は「ヤバイ」と思ったのだろう、良心的に4ページ目に「『命令と服従』の強権体制を築こうと〜〜純一郎首相。4・28処分は『命令と服従』=郵政マル生が原因だ」と記述した。このように書くと、「〜〜」の部分でかなりの論理展開をしていると思うだろうが、オットドッコイ、「〜〜」の部分は引用した部分と同じ長さしかないので、論理展開など出来るはずがない。他の記事・・・パンフ「公共サービスを市民・社会の手に=『官から民へ』でなく、『官から公(パブリック)へ』」の具体的提言など・・・にスペースを割いてしまったためだ。こうしてこの良心的な筆者は、ずっと小さな胸を痛めていた。だから、責めたりするのは止めましょう。

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投票日の9月11日は、イラク侵略戦争開始の口実でデッチアゲられた「フセインが関連している同時テロ」のあった日。「自衛隊派遣は非戦闘地域のみ」の国会約束の下に派遣しているのだから「自衛隊の行った場所が(戦闘中であろうと)非戦闘地域だ」。こんなにも酷い出鱈目を国会で述べても、小泉は首相のままでいられた。イラクの子供・民間人ら10万人以上が殺されても、小泉も小泉支持者も平気なのだ。

 小泉はオウムの麻原彰晃に似ている。そもそも皆を説得しようなんて思わない。100人に1人熱烈ファンを作れば、1億2千万人口で120万人にもなる。後は1万回の嘘と権力と脅しで何とかなるし、意外にも今までなってきた。何とかならなかったとしても、別に自分が死ぬわけでもナシ、無責任、後は野となれ山となれ、ギャンブルの勝敗は時の運。彼は心の底から人々を見下している。この鬱屈し世知辛い世の中、多くの人がイジメられる側になるのを恐れイジメる側に回ろうとする、自分の不幸を転嫁する生贄を求める以外に選択肢が見えない、これらの人が彼の支持基盤であり、彼はこれらの人を更に大量生産しようと民営化等を押し進める。

 戦後、幾多の市民運動や反体制運動等々が挑戦しながら打ち破れなかった日本の村落的な社会構造(企業社会、郵政一家、談合体質、血縁地縁、政官財癒着等々)。ある意味で彼は部分的にだがこの構造に対して、守旧派を敵役として新自由主義の御旗の下に挑んだのだ。だがその挑戦の中身は、旧来構造の多くの悪癖を温存し(彼もこの悪癖から恩恵を受けてもいるし)、人と人との絆を強める進歩の方向ではなく非民主主義的退化の方向、野蛮への逆戻り方向なのだった。

 従って、何も考えず、先の見通しもなく、訳解らずただただ叫んでいる彼の末路は、同じタイプの米国人ブッシュと同様の哀れなものとなってしまうのであった。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:13 / Last modified on 2005-09-29 06:44:53 Copyright: Default

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