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Document 20110116-01
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●「未公開映画祭」
今どきは「流出」ばやりだけど 掘り出し物の「未公開映画祭」

「記録なくして事実なし」と語ったのは水俣病を世界に知らしめた記録映画作家の故・土本典昭であった。どんな「事実」も「記録」しなければ何もなかったことになる。名言である。しかし、「記録」だけではダメで、それが「公開」されてはじめて一般市民は「知る」ことができるのだ。

「リアル!未公開映画祭」と銘打ち、日本で公開されていない9本の米国ドキュメンタリーが一挙公開される。オセロの松嶋尚美と映画評論家・町山智浩の「未公開映画を見るTV」(TOKYO MX)で紹介された作品を劇場公開用にまとめた。「ビン・ラディンを探せ!」は、毎日、ビッグマックを食べ続けたらどうなるかを自分の体で実験した「スーパーサイズ・ミー」で知られるモーガン・スパーロックが監督。ここでも自分が主人公になって名探偵よろしくアフガニスタンなどイスラム諸国を巡り、「ビン・ラディンはいずこ」と尋ね歩く。最初は物見遊山気分だったが、戦火をまじえる危険地域に入ると立ちすくんでしまう。そこで暮らす人々の境遇が身にしみてくる。

「ジーザス・キャンプ」は副題が「アメリカを動かすキリスト教原理主義」で、ブッシュが戦争をしかけていた時期の作品。サマーキャンプに集う子供たちの明るい表情に、将来、ナチスへと変身していく子どもを描いたハネケの「白いリボン」を想起した。

「フロウ」は、地球上で水資源が枯渇していくなか、大企業による水の民営化によって追いつめられる人々をとらえたもの。これは映画「ブルー・ゴールド」を思わせたが、スエズ社、ネスレ、コカ・コーラがやり玉にあがっている。その他、北朝鮮で収容所にいた脱北者たちが体験を語った「金正日花」「クルード〜アマゾンの原油流出パニック」「ステロイド合衆国〜スポーツ大国の副作用」などなど。知られざる世界の裏側が「記録」されている。(木下昌明/「サンデー毎日」2011年1月2・9日合併号)

*「リアル!未公開映画祭」は12月25日〜1月10日、東京の渋谷アップリンクで。全国順次開催。www.webdice.jp/realmikoukai


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