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映画「鳥の巣」
北京五輪のシンボル…巨大な「鳥の巣」はどう造られたのか

 いよいよ北京五輪である。世界が最初に目にするのは通称“鳥の巣”とよばれるメーンスタジアムだ。長さ320メートル、高さ70メートルと偉容を誇る巨大さで、この時ばかりは国家の権威的シンボルとなる。

 この奇抜な建築物は誰が設計したのか? その謎を解明してくれるのがクリストフ・シャウプ/ミヒャエル・シントヘルムの二人の監督が4年をかけて撮影したドキュメンタリー「鳥の巣」である。

「北京のヘルツォーク&ド・ムーロン」とサブタイトルがついているように、スタジアムは世界的建築家として知られるヘルツォークとド・ムーロンという二人のスイス人が設計した。映画は2002年、二人が北京に乗りこむところから始まり、広大な空き地に蔦が絡まるように鉄骨が伸び上がっていく異様な建築風景が展開されていく。途中で予算を34%も削られ、「屋根」をあきらめる一幕もある。

 それにしても、鳥の巣のイメージはどこから生まれたのか。二人は中国の伝統文化を基礎にしたという。そういえば、スタジアムは蔦模様が描かれた骨董の壺にも見える。

 映画はまた、高層ビルが林立する北京の急激な変貌ぶりや、広場でダンスやゲームに興じる市民の姿なども点描していて興趣つきない。

 そこにもう一人、興味深い人物が登場している。中国側の協力者で、アイ・ウェイウェイという建築家。彼は文化大革命の時代、詩人の父とともにゴビ砂漠に下放され、青年期には国外追放もされている。その彼が「オリンピックは、この国では民族主義や国家の威信と結びつきやすい。そんなものに加担したくない」と批判的に語る。スイス人の二人も同じ考えで、“鳥の巣”は五輪よりも、その後、人々が踊りや集会に使う公共の広場として活用されることを望んでいる。

 はたして第二の天安門広場となるか? (木下昌明)

映画「鳥の巣」は東京・渋谷ユーロスペースでモーニング&レイトショー公開中

*「サンデー毎日」2008年8月17日号所収


Created bystaff01. Created on 2008-08-06 11:37:19 / Last modified on 2008-08-06 11:41:45 Copyright: Default


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