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●木下昌明の映画の部屋・第16回『君が代不起立』

校門に立ち続ける家庭科教員
「君が代」をめぐる「最前線」

 卒業式がやってくる。

 例年ならば"特別のこと"ではないのだが、石原慎太郎が都知事に就任してから東京 の教育現場は様変わりした。

 "愛国教育"を進める知事は「教育目標」から「憲法」の文字を削り、卒業式には国旗 を掲揚し、国歌を斉唱せよと「通達」を出した。従わない者は「処分する」と言明した 。教員たちは反発したものの、いざ、その場になると大方は恭順の意を示すようになっ た。

 そんな中、抵抗して処分を受ける教員や「思想の自由や良心の自由」を守るために裁判でたたかう高校教員の有志がいた。裁判 は昨年の9月、地裁で「国歌斉唱の義務なし」と勝訴したが、いまなお知事は卒業式に 国旗と「君が代」を強要している。そこで171人の教員たちが新たな訴訟を起こす。

 この問題に"抵抗する教員たち"の立場から光をあてたドキュメンタリー「君が代不起立」(佐々木有美・松原明)が完成した。

 映画は、中学の家庭科教員が校門でプラカードを持って立ち続けるシーンからはじま る。それは彼女が「不起立」で1カ月の停職処分を受け、それに抗議するためだった。

 このあと映画は「通達」を受けた各学校の混乱した卒業式の風景をとらえ、「震えながら座っていた」と告白する教員たちの心境などを明らかにしていくが、とくに板橋高校の卒業式シーンが衝撃的である。90%もの生徒が起立せず、来賓に招かれていた元教員が「東京都教委が強いる『寒々とした光景』」という本誌の記事のコピーを配布したり、国歌を斉唱しないようにお願いしたことで逮捕される事態にまで発展した。

 また、中学の女生徒が、なぜ「君が代」を歌わなかったのかの質問に「戦前の天皇の主権だったころの考え方で、いまの憲法とは違っていることを勉強したから」と答えているのも印象に残った。

 冒頭の家庭科の教師は再び、3カ月の「停職処分」を受けて、校門に立ち続ける。そ のふんばる姿が生徒たちにも伝わっていく。教育は言葉だけではないのだ、と。

 この映画の公開は2月23日18時30分、東京・中野のなかのゼロホールをはじめ、大阪 、京都、名古屋など全国で。問い合わせは?03・3530・8588まで。

*『サンデー毎日』2007/2/11号所収・加筆


Created bystaff01. Created on 2007-01-31 22:50:35 / Last modified on 2007-01-31 22:53:27 Copyright: Default

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