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「不安な青年、同じ傘をさそう」

[青年視線]

ウン・ヘジン記者 2020.10.14 08:41

▲左からホンリュ・ソヨン社会変革労働者党学生委員会党員、コ・ドヒョン全国学生行進活動家、イ・サンヒョン緑色党革新委員会委員(中浪村ネット事務局長)、カン・ゴン労学連帯プロジェクト『羅針盤』活動家

医科生の同盟休学も終わり、医療界の集団行動事態は一段落するようだ。 「若い医師非常対策委員会」の診療拒否は病院をマヒさせ、 公共医療に大きな打撃を与えた。 それでも大学生コミュニティには 「成績が悪い公共医大の医者には診療を受けたくない」とし、 エリート社会を擁護する掲示物もあふれた。

医師集団行動をはじめ、仁川国際空港公社非正規職の正規職化(隣国工業)事態などの雇用問題でもつれる議論。 またコロナ19で大企業も中小企業も採用を減らしていることで加重する就職に対する青年たちの不安感。 こうした中で「私の努力に対する当然な補償」という競争論理を越えようとする青年たちがいる。 多様な方式で大学内外で活動する青年たちだ。 「ワーカーズ」が彼らに不安な社会を解決する計画を聞いた。

司会・整理:ウン・ヘジン記者
パネル:カン・ゴン労学連帯プロジェクト『羅針盤』活動家
コ・ドヒョン全国学生行進活動家
イ・サンヒョン緑色党革新委員会委員(中浪村ネット事務局長)
ホンリュ・ソヨン社会変革労働者党学生委員会党員
写真:パク・タソル記者

ウン・ヘジン: 今回の医師集団行動はコロナ19医療空白状態でさらに脅迫的に近付いてきた。 若い医者たちの診療拒否、医科生の同盟休学事態をどうに見たか。

▲イ・サンヒョン緑色党革新委員会委員(中浪村ネット事務局長)

イ・サンヒョン: 例えば、中浪区の緑色病院を見るだけでも医院長が徹夜勤務をしている。 地域、総合病院の劣悪な条件を考慮せずに進められた 専門医、医大生の主張は、社会的共感を得られなかった。 その上、彼らが対立させた「エリート医大生の高級医療」と 「公共医大の質が低い医療」という差別的な文句は 国民の怒りをかきたてるのに充分だった。

カン・ゴン: 普通、非正規職労働者のストライキでは「努力しないで柿を出せ、梨を出せ」といった嫌悪混じりの声がたくさん出てくる。 しかし今回政府が出した公共医大設立計画は、 その「限界を超えた努力」に逆行する面がある。 だから青年たちの間でも政府の政策は誤っていて、 医師集団の診療拒否は正当だという支持世論が存在したと思う。

コ・ドヒョン: 医大生、医者の動きには明らかに集団利己主義と観られる点が多い。 しかし彼らの要求には政府の政策では埋められない問題が含まれている。 医師集団は医師の定員拡大で地方医療空白を解消できないといいながら、 点数の引き上げを要求した。 しかし地方医療の空白問題は単に公共病院数字不足や低点数の問題には還元できない。 政府や大韓医師協会双方の限界を指摘しながら、 医療体系改革のため他の議論を投じるべきだった。 問題は、大型病院が患者を競争で受け入れるところから発生しているためだ。

ウン・ヘジン: 今回の医師集団行動と仁川空港事態はどちらも雇用問題に連結している。 この過程で青年たちは「エリート競争社会」を擁護する姿を見せた。 こうした傾向が発生する理由は何か。

イ・サンヒョン: 自分の権利を主張するのは当然だ。 政界が非正規職の正規職化政策を推進したり、 労組が権利保障を要求することはとても自然だが、 なぜこれが特権と呼ばれるのだろうか。 その理由は人々が極端な生存競争に追いやられているからだ。 雇用によりも生存が脅かされ、働いて命を失う。 危険が外注化されている状態で「私も私を守る」という反応が強まる。

カン・ゴン: 過去のエリート集団が弁護士、医師だとすれば、 現在は公務員、公企業など安定した人生が保障された雇用に従事する人々すべてが 既得権層と呼ばれる。 またこの人生のためにスペックと努力を積んでいる青年すべてが エリート再生産の談論を支持している。 それでも彼らを「あいつらはエリートだ」と単純化できない理由は、 一部を除いて雇用は思わしくないためだ。 エリート雇用につけなければ人生が難しいから、 自分の人生のために公正性を擁護するほかはない。 反対ではこうした労働市場への進入を放棄する青年がいる。 コールセンターなどの不安定労働をする青年たちは、 非正規職の正規職化の要求に共感できないだろうかと考える。 その青年たちの声を発見することが重要だ。

▲コ・ドヒョン全国学生行進活動家

コ・ドヒョン: 社会が青年を呼ぶ方式に集中すべきだと思う。 既成の政治家は左右を問わず、自分の政治的な嗜好で青年世代の一部だけを浮び上がらせる。 仁川空港事態で与党は見せかけの正規職転換をした後、 これに反対する青年を利己的だと非難した。 また、保守勢力は仁川空港事態に対して「不公正採用」だといって 与党の正規職転換政策を批判した。 現在の青年地形は首都圏10%程度の良い雇用を狙う人とその他の青年に分れている。 今回の医師集団行動でも公正性談論が浮上したが、 これに同調しなかった青年のほうが多かった。 二つに一つだけを選択すれば、議論は 「誰が社会的恩恵を受けるだろうか」に続くほかはなく、 そうなれば対立が避けられない。 正規職転換だけを主張することも空白がある。 韓国の労働が両極化しているということを認知して、 公共部門と民間部門、公共部門内格差、事業場内の労組の有無など、 多くの基準で悩みを解きほぐさなければならない。 そうでなければ、非正規職の正規職転換要求は本来の趣旨とは別に 一部の上位一桁を増やすことにつながり、 これは結局「宝くじ就職」だという非難を避けることが難しい。 だから「世代の問題」を「時代の問題」に転換する必要がある。

ウン・ヘジン: 「努力により雇用を得た青年」と 「不安定雇用から抜け出せない青年」に分れた現実なら、 両方のために何が必要だろうか。

イ・サンヒョン: すでに青年たちは地方自治体青年参加機構、事業等を通してさまざまな青年議題を投げている。 しかし制度圏の事業だけで彼らが処している問題を解決することは難しく、 青年議題を既存の社会の普遍的議題と分離するのは限界がある。 ソウル市青年自治政府事業の場合、 民主主義、菜食、また、交通、障害者議題などが語られるが、 これは青年だけが体験する問題ではなく、 青年たちには青年として分離しない普遍的決定権が必要だ。 「誰が」青年を区分しているのか見なければならない。 また、青年内部の差異や亀裂など、政治的に解決すべき問題を扱うには、 行政を越える政治企画を作らなければならない。 青年参加機構と制度ができたのは青年運動の結果だ。 しかし制度が運動性と分離して委託事業をすると、 青年当事者は対象化されて普遍議題からも分離する。 また多くの青年を募集しなければと考えるときに 政治的イシューへの言及を敬遠する雰囲気も問題だ。

カン・ゴン: 青年が誰でも共感できる議題を発見して大衆化するのは不可能だ。 青年の中の分化が確実なのでさらに難しい。 大学生さえ一つの要求でかたまることができない。 その事例が登録金返還闘争だ。 国家奨学金などで全く登録金を納付しない学生はこの議題に共感できなかった。 だから青年の共通議題を見つけることに力を注ぐよりも、 非正規職、フェミニズム、大学構造調整に賛同できる青年を発掘することが重要だ。 こうした運動に力量を集中することが青年運動の現実的な代案でないかと思う。

コ・ドヒョン: 公正性の談論にも組み込まれない青年の声に照明をあてることが必要だ。 そうすれば標準的な労働条件を作ることが対案になるのではないか。 雇用形態、賃金体系などがそれぞれ違う。 地域的標準、産業的標準を作り出さなければならないと思う。 そのために、未組織労働者たちを包括するための新しい試みに注目しなければならない。 民主労総金属労組仁川支部の場合、個別の組合員制度で零細事業場が密集した工団内の未組織労働者を集めた。 労組は彼らを通じて工団の実態調査をして、共に闘争をしたりもする。 こうした方法が90%の青年のための対案になるのではないか。

▲ホンリュ・ソヨン社会変革労働者党学生委員会党員

ホンリュ・ソヨン: 以前は青年が大学の企業化問題、登録金、教育闘争に最も敏感だったとすれば、 現在は気候危機、女性主義問題に関心が多い。 ここで私たちがするべきことは、その問題の核心を捕らえて知らせていくことだ。 それが「反資本主義戦線」だと思う。 「権力型性暴力」では教授・学生間権力関係が、 気候危機では資本の利益追求がその原因だ。 あらわれた事件の背後を指摘して、共に討論することが必要だと考える。 また青年雇用問題も重く扱われなければならない。 政府はコロナ19対策で基幹産業に公的資金を投入し続けている。 それならわれわれは基幹産業を国有化して公共雇用を作ろうと政府に要求するべきだ。 皆が適切に働いて暮らせる社会のために、政策的な代案を作ることが必要だ。

ウン・ヘジン: 青年雇用問題、大学改革などの問題を解決するためにどんな活動と期待をしているか。

▲カン・ゴン労学連帯プロジェクト「羅針盤」活動家

カン・ゴン: 今年、学内清掃労働者の不当解雇撤回闘争で勝利した。 今回の闘争では総学生会、中央運営委員会、学内小サークルまで学生社会が共同対応した。 おかげで労働者闘争で周辺部にいた学生が主体になり、 学校と学生間の関係も再構築された。 活動をして「大学生、労働者、非正規職、青年問題が別ものではない」ということをよく言うが、 この主張が証明されたような気がして満たされた。 大学の構造調整も相変らず行われている。 大学内の労働運動で大学の構造調整の問題を打開する学生の政治力量を育てられると思う。 構造調整の雰囲気で大学に共同対応する絵も描いてみたい。

ホンリュ・ソヨン: 「どんな大学にすべきか」という質問に学生が自ら主張できるようにすることが学生運動だと考えた。 社会全体の問題が大学というもうひとつの共同体に現れている。 高等教育法改正案(講師法)による専攻授業閉講、構造調整、登録金などの問題は、 大学だけのことではない。 これらの問題を最も鋭く受け入れる大学生、青年という構成員が 「どのように問題を提起できるか」といった時、 「大学の公共性」に整理されると見る。 この話を今年の下半期にしてみたい。

コ・ドヒョン: デモ行進では毎年夏、全国の労組と連帯する現場活動をする。 今年のスローガンは「善意ではなく戦略が必要な時」、 「請願ではなく集団的参加」だった。 前者が青年が処している客観的な現実に対する悩みを投げることだとすれば、 後者は青年政治の必要性を提示した。 しかし「集団的参加」という問題意識に対しては十分な悩みを導出きなかった。 学生共通の利害関係がなさそうだったためだ。 これは学生をはじめ労働、青年政治が向き合った難点だという気がする。 労働者・学生連帯など、どのように互いを連係するのかに対する粘り強い試みと共同議論ができる場が開かれることが何よりも重要だと考える。

イ・サンヒョン: 国際的な資本蓄積構造を壊す社会的介入と闘争が必要だ。 成功するかどうかはあまり重要ではない。 この闘争は民主党と手を握るのではなく、 現場の労働者と道端に追い出された人々と共にしなければいけないと考える。 英国で絶滅抵抗運動が大きくなっている。 人々は「気候危機の傘」の下で労働権、性搾取、移住民、少数者などの問題を語っている。 気候危機でなくても、私たちの共通の「傘」を形成することが必要だと考える。 2年前、インドネシアのスラバヤ地域のコルトコルテック工場を訪問した。 韓国工場が廃業してインドネシア工場を作ったのだが、 そこでも会社は労組弾圧をしていた。 韓国企業が他の国に行って同じように労働搾取をすれば、 彼らとともに連帯することも必要だと見る。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-10-12 02:41:21 / Last modified on 2020-10-19 04:38:29 Copyright: Default

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