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繰り返される「公共工事」の死亡事故...責任は誰が?

[ワーカーズ・イシュー(1)]政府発注工事と労働者安全集談会

キム・ハンジュ記者 2019.08.28 10:20

イシュー(1)[政府の依頼、資本の殺人]順序
1. 権限の分離、3人の死、責任の消滅
2. 公共が資本に渡した労働者の死…国家は幽霊?
3. 繰り返される「公共工事」の死亡事故…責任は誰に?

▲(左上から)キム・ハンジュ記者、イ・サンユン労働健康連帯代表、クォン・ミジョン、キム・ヨンギュン財団(準)常任活動家、チェ・ミョンソン民主労総労働安全保健室長

最近、政府発注の工事で労働者の死亡事故が相次いでいる。 2016年〜2018年に主要22の公共機関が発注した工事で死亡した労働者は47人。 死亡万人率(1万人当り死亡者数)は2.34%00だ。 これは昨年1月〜9月基準全体産業平均死亡万人率0.85%00、 建設業平均死亡万人率1.43%00より高い。 公共が注文して責任を持つ工事で労働者が死亡する確率はなぜ高いのか。 ワーカーズは構造的な原因をついて、根本対策があるのか関連専門家の意見を聞いた。 集談会にはクォン・ミジョン、キム・ヨンギュン財団準備委員会活動家、イ・サンユン労働健康連帯代表、チェ・ミョンソン民主労総労働安全保健室長が参加した。

司会 キム・ハンジュ記者
討論 クォン・ミジョン、キム・ヨンギュン財団(準)常任活動家、イ・サンユン労働健康連帯代表、チェ・ミョンソン民主労総労働安全保健室長
整理 チョン・ウニ記者

キム・ヨンギュン以後、多くの制度できたが…

キム・ハンジュ 今回の木洞雨水ポンプ場水没事故により、 政府や公共機関が発注する事業の安全性に対する関心が高まった。 今回の事故だけでもソウル市が発注して現代建設が施行、 下請協力業者が参加した事業だ。 それと共に、政府と大企業、下請企業の労働者安全の責任問題がふくらんだ。 皆さんはさまざまなところで労働者の安全のために活動してきたが、 これまで政府発注事業をどう見てきたのか気になる。

チェ・ミョンソン 公共機関の発注事業で各主体が責任を持つ安全の範囲はとても多様だ。 それで討論が難しい部分がある。 ひとまず公共機関が発注する建設工事に関しては、 この10年間に建設産業基本法改正運動があり、 最近の泰安火力発電所事故以後にはキム・ヨンギュン闘争があった。 これにより、去る3月に公共機関作業場安全強化対策が発表されたわけだが、 対象だけでも338になる。 この対策は公共機関発注工事と委託用役事業まで包括する。 これとは別に、地方自治体が発注する工事問題もあるだろう。 現在は政府が発表した公共安全対策に注目すべきだが、 機関別に安全関連の組織体系、人員、予算確保などが議論されている。 これからの2〜3年が重要だと見ている。

イ・サンユン 「公共」という言葉は広い概念だが、 中央政府、地方政府、公共機関の3つが責任主体といえるだろう。 これまで政府が外注化や賃貸型民間投資事業(BTL)など、 多様な方式で事業を運営してきたが、 その過程で工事の責任が分散して労働安全に死角地帯が生じるなど、 問題が深刻なのは事実だ。

クォン・ミジョン 公共部門は社会的基準値を決める重さを持っている。 しかし問題が繰り返されている。 2013年に鷺梁津の排水池水没事故がおき、 ソウル市が是正しようと努力したことは知っているが、 今回、また木洞で事故が起きた。 ソウル市の安全管理プロセスが現実と違うということを意味する。 規定や指針を作っても、それを遮るメカニズムが何なのかを探らなければならない。

チェ・ミョンソン 公共分野は民間より制度的にはさらに多くの安全装置を備えている。 しかし今回の水没事故を見ると、 果たして安全のための制度が労働者の立場で作られたのか、 あるいは統制や管理のために作られたのかわからない。 これを点検すべきだ。

「労災地獄」の現代建設が受注した理由

イ・サンユン 多くの人が「多くの労災を出してきた企業が、 なぜまたソウル市の建設事業を受注できたのだろうか」といぶかしがる。 今回の木洞雨水ポンプ場工事を受注した現代建設は、 すでに多くの労災死亡事故を起こしていた。 昨年基準で現代建設は死亡事故多発建設企業2位だった。

チェ・ミョンソン 公共機関が建設事業を発注する時、労働者安全のための装置があるはずだ。 業者を選定する時、入札参加資格事前審査(PQ)に災害率を反映させ、 労災が頻繁に発生する企業は不利益を受けるようにする。 この割合(不利益反映比重)が減り続けている。 労組も1年半戦って、2006年から労災隠し率を反映させ、 こうした制度が各現場に及ぼす影響が明らかにあるが、 全体的に見れば公共入札にどの程度の不利益を与えるかはわからない。

現代建設の場合、2013年から2015年までの労災隠し件数は118件にのぼる。 入札審査での労災隠しは1件当たり-0.2点だ。 最大-2点まで受ける。 現代建設は確認された労災隠しが多いので、無条件-2点を受けただろう。 普通-0.001点違いで審査から落ちるので-2点はかなりだ。 それでも現代建設は大きな影響を受けたようではない。 多くの建設会社が労災に似た問題を持っているので、 相対的に審査で不利益はないという意だ。

したがって契約に不利益をあたえる制度が現実的にどう反映されるのかを検討する必要がある。 だが現在は整理された資料がない。 契約関係は国土部や企財部が所管するが、 彼らは管理もせず、工事は公共機関ごとに分れて行われる。 それで資料が出てくるのは難しい。

PQに正規職安全管理者選任など他の指標も含まれるが、 まだ定着は難しい状況であるようだ。

イ・サンユン 一般市民の目の高さから見れば、 労災予防管理をおろそかにした企業が入札審査で競争力を持つことは理解し難いだろう。 そのような点で労働安全制度はあるが、 入札審査では優先順位が下がるとしか見られないのではないか。 事業計画を樹立して、この課題を取りまとめて選定する各段階で労働安全基準を適用するように制度化されているのかを調べる必要がある。 今までは経済性の項目が最大の影響力を行使してきた。

チェ・ミョンソン 産業安全保健法を改正して設計から発注、施工、監督まで、 元請・下請の協力構造や安全インフラなど、 総合的に労働安全を保障するための体系が来年に作られる。

残る問題は、この過程で労働者の参加を保障できるかということだ。 建設業では元請と下請労働者が産業安全保健委員会を共同で構成できるようにする。 われわれは特に発注処が元請・下請労働者が共に参加する元下請安全保健協議会、 または元下請の産業安全保健委員会を直接関与させなければと話している。

相変らず横行する不法下請け

チェ・ミョンソン これ以外にも労働者労災には多様な問題が絡んでいる。 韓国では建設工事で1年に500〜600人が死亡する。 非常に深刻な数値だ。 発注の問題の他にも、根本的には多段階下請けの問題がある。 元請、下請、その下に降りて行ってはいけない。 九宜駅の時も下請に降りて行ったので危険伝達体系が作動しなかった。 明らかに伝達があるのに、働いていた下請労働者は知らずに命を失った。

イ・サンユン 現在下請、多段階下請けの問題を発注書に反映させるのか? これが重要な問題なら、インセンティブなどにも政策的に反映させられれば良い。

チェ・ミョンソン この点では2つが重要だ。 一つは直接施工を拡大すること。 直接施工制が導入されてから10年近くになるが、まだとても規模が小さい。 もう一つは不法下請けの問題を解決しなければならないということだ。 多段階下請けが不法になって10年経ったのに、現場ではまだ横行している。 不法下請けをなくす一番良い方法は労組だ。 10年間、制度があってもすべて無駄で、 労組がある事業場は下請企業と直接契約を締結して不法な下請けを減らしていった。

クォン・ミジョン 雇用形態の差が労働安全にあたえる影響も重要だ。 今、現場は下請、委託、多段階下請けなど、多様な非正規職雇用形態をおく。 雇用形態を分離したので彼らは管理範囲から抜け出せる。 危険の死角地帯に処しているのだ。 政府や公共機関が発注する時、統合システムを備えるのも重要だが、 雇用形態の面からも接近しなければならない。 発電所でのキム・ヨンギュンの死もそのようにして起きた。

制御できない「総合管理」

キム・ハンジュ 総合管理の次元で話をしてみたら良い。 今回の木洞事故で見ると、制御状況室が2つあって、ドアロックも違った。 陽川区庁の職員が水門の試運転関係者に、 関係者が現代建設職員に大雨注意報が発動されたと言って点検を要請したが、 現代建設の関係者は現場までくるのに8分かかり、 ドアロックの暗証番号を尋ねてまた時間が遅れた。 そんな制御管理が統合されていないのに、これは発注構造が持つ必然的な問題なのか?

クォン・ミジョン 行政機関が統合的な管制システムを持たなければならない。 ソウル市がその権限を持つが、運営の体系にはまた陽川区庁が混じっている。 マスコミの報道によれば、昨年8月に水が逆流したのでソウル市議会が議論して水門開放方式を手動から自動で変えたと理解する。 そのような意味で、ソウル市にその権限があると思うが、 具体的にどんな手続きがあるのか分からない。 これについての資料要請をしている。

*イ・サンユン 最近、社会的に注目される事故の特徴は、介入主導者が多いという点だ。 それでその主導者間に責任がどこまでかなどの問題が語られる。 特に公共工事関連の発注は関連の機関が多い。 だからコントロールタワーが重要だが、存在しない。 ガスや水道などの社会間接資本の設備運営に関しても、 労働者安全管理責任の主体をどう構成するのか悩まなければならないだろう。

また安全の責任は雇用労働部だけがするという認識が強い。 国土部や国防部、防衛事業庁など、 発注事業が多い部署には危険を管理する体系がないことが問題だ。 雇用労働部の安全対策が他の部署に与える影響は制限的に現れなければならない。 核心事業主体が部署など安全や健康に対する体系を独自に持ち、 事業を進めることが重要だ。

チェ・ミョンソン 最近発表された公共機関安全対策は2つの争点がある。 一つは公共機関に労働者安全のための部署と体系、人員を備えること。 実際の人員配置と予算は来年執行される予定だ。 そうすれば少なくとも300か所ほどの公共機関は安全に対する専門担当体系ができる。 これをモニターすることが重要だ。 もう一つは地方行政の問題だ。 民主労総は地方自治体が直接雇用した労働者に対して、 まず産業安全保健法を守れと話している。 これ以外にもソウル市を筆頭に約10か所の地方自治体が感情労働保護条例を作ったが、 ソウル市とソウル市が出資する機関で感情労働保護のような 労働者安全のための自主的な対策を用意しなければならないということだ。 京畿道は労災予防条例を作った。 忠南と慶南は推進だ。 これまで地方自治体や学校の労働者の闘争により引き出した成果だ。

公共部門労組の重要性が増す

クォン・ミジョン 労働安全を現実化するために何が必要なのかを考えななければならない。 現場の労働者たちがこの過程の主体になれなければいけないが、 これをどうして作り出すのかが重要だ。 実際に、彼らが現場で声をあげ、権限を実行できるようにするべきだが、 どうすればこれが可能だろうか。 私たちにとって重要な課題だ。

チェ・ミョンソン だから労組の組織が重要だ。 労働者たちが産業安全保健委などを現場で作れるようにしなければならない。 これを媒介として闘争を作り、現場安全を変えていくことが重要だ。 今までずいぶん戦ったが、現場で労働者が参加しなければ無駄だと思う。 残された課題は労働者たちが実際に労災予防の主体になれるように、 闘争を全面化しなければならないということだ。 そのためには労組がひとつの事業場を中心として、 労働安全を核心事業に押し上げて戦いを作ることが重要だと思う。

イ・サンユン 特に公共部門の労働組合が重要だと思う。 公共部門が広がり、重要性が増している。 今まで労働者安全や健康問題は、主に建設や金属が議論してきた。 もちろんそれも重要だが、新しく浮上している社会的な問題を考慮すれば、 公共部門が重要になっていると思う。 今、公共発注工事で安全死角地帯が広がっている。 しかしこの問題についての視角も整頓されていない。 公共領域に対する関心と研究が切実な時期だ。[ワーカーズ58号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-09-01 14:22:34 / Last modified on 2019-09-14 04:27:40 Copyright: Default

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