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罪なき移住民の監獄

[ワーカーズ]華城外国人保護所ルポ、長期拘禁者と会う

キム・ハンジュ記者 2017.08.10 16:50

6月14日。 水原のある建設現場に入管公務員たちが押しかけた。 入管の公務員は中国出身の移住労働者Y氏を見るとすぐ集団殴打した。 Y氏の顔を拳と足で攻撃し、三段棒で脚を打ちつけた。 二日後、Y氏は全身あざだらけのまま華城外国人保護所に移送された。

今回の出入国管理当局の摘発過程が報道され、暴力摘発に対する非難の世論が起きた。 だが問題はこれで終わらない。 摘発後、移住民が閉じ込められる所、 「ワーカーズ」が訪れた華城外国人保護所は「保護所」ではなく「刑務所」に近かった。

[出処:サゲ]

難民の罪

「出たいです。 ここでは言いたいことは多いのに話せません。 あの人(保護所公務員)たちは聞き流します。 私たちは話す所もありません。」

華城外国人保護所の面会室。 A氏は鉄窓をはさんでこう訴えた。 少数分派に所属する彼は自国で宗教迫害を受けて韓国に来た難民だ。 多数分派中心の本国で、各種の差別、弾圧ばかりか、殺害の威嚇まで受けた。 彼の家族も現在、親戚の保護で危険な生活を続けている。 彼の家族は電話で彼に本国に戻るのは危険だといった。

A氏は韓国で家具、食品、自動車工場を転々とした。 そのうちに京畿道のある宿舎に入管公務員たちが押しかけた。 公務員たちは彼の名前を呼び、暴力的に連行した。 標的捜査であった。 そのようにしてA氏は華城外国人保護所で2年以上の時間を送った。

A氏は一足遅れて難民申請をした。 昨年だけで1000人を越える外国人が難民申請をしたが、 難民認定率は4.5%に過ぎなかった。 それも国連難民支援センターを通じて難民申請をしたが、棄却された。 なぜ外国人保護所にきて難民申請をしたのかという理由だ。 彼は収監される前に出入国管理所が難民申請をするために来た移住民を未登録滞留(不法滞留)として捉まえたという知らせを何度も聞き、 申請する意欲が出なかった。

別の長期拘禁のB氏は、健康状態が深刻だ。 彼は華城外国人保護所で1年以上過ごしている。 刑事事件にまきこまれ、保護所にくる前の1年間、拘置所にいた。 この拘置所で別の外国人から暴行された。 加害者はB氏が寝ている時に窓枠をはずして顔を攻撃した。 8時間を越える大手術をした。 刑事事件は大法院(最高裁)で無罪判決を受けたが、 拘置所で発生した暴行事件訴訟のため、彼はまだ外国人保護所にいる。 被害者なのに未登録の身分だからだ。

B氏は現在、片耳が聞こえず、口からは出血が続く。 彼は10日、「ワーカーズ」との通話で「耳からよく血が出て、あごが痛く、食べ物もかめません。 何か月か前にはCT、MRIまで撮影しました。 しかしまだ検診の結果がわかりません。 保護所が知らせてくれません。 保護所の職員に結果を知らせてくれ、所長に会わせてくれと話しても 『なぜ知りたいのか』と無視します。とてもつらい」と話した。

B氏は治療を目的に保護一時解除を請求したが拒否された。 長い間の未登録滞留期間で逃走の恐れがあるという法務部の判断だ。 90年代に韓国にきて誠実に働いてきた彼だ。 彼は拘置所にくる前は衣類会社で働いていた。 12時間以上の労働時間に耐えて、自国にある家族にお金を送った。 しかし刑事事件でこうした境遇になるとは夢にも思わなかった。

拘置所よりひどい保護所で4年以上生活したC氏。 彼は篤いキリスト教信者であった。 本国でも信仰が違うという理由で殺害の脅迫を受け、2012年に韓国にきた。 難民だった彼は、バスターミナルで未登録滞留だとして捕まった。 彼は「ワーカーズ」との通話で 「捕まる前に難民申請をするために入管事務所にも行きました。 しかし公務員は私が難民だということ信じずに捕まえました。 そうして外国人保護所で4年以上、待ちました。 私は悪い人でもなく、罪もありません。 死にそうです」と鬱憤を晴らした。

くやしさだけだったのだろうか。 彼は長い時間を地獄のような保護所で過ごした。 横になれば空間が一杯になる狭苦しい部屋で18人が共に過ごす。 彼は「保護所の中でみんな鬱病にかかったりします。 毎日泣いている人、病気の人も多いです。 鬱病のためにみんな敏感になって、よく喧嘩します」と伝えた。

華城外国人保護所の関係者は11日 「ワーカーズ」との通話で、 保護所内の人権弾圧について 「保護所として話すのは難しい部分がある」として返事を避けた。

刑務所のような外国人保護所

崔順実(チェ・スンシル)氏の娘、鄭ユラ氏も未登録滞留の容疑でデンマークのオールボー拘禁施設で150日を過ごした。 鄭氏はここで午前7時から午後8時30分まで、多様な活動をした。 体育館と卓球場の使用も可能だった。 一週間に二回、ピザを注文することができて、TVゲームもすることができるという事実が大々的に報道された。 鄭氏は1月にデンマークのオールボー地方法院で拘置所生活について、 「デンマーク警察でも他のデンマークの人たちがとても良くしてくれている」と話した。 韓国の代議制の根幹を揺るがした事件にかかわった鄭氏は、 デンマークで未登録滞留の容疑でこの程度の生活をしていた。

韓国の外国人保護所はどうか。 D氏は「韓国は経済規模10位に入るのに、人権水準はとても低い」とし 「ある職員は私たちにののしって殴る。 職員の暴行に抗議すれば、独房に入れられる。 また韓国語がよく分からずにぞんざいな言葉使いをすれば、怒る職員もいる。 それなのに、その職員は自分より高齢な収監者にぞんざいな言葉を言う」と話した。

日常的な蔑視は基本だった。 鉄格子に囲まれた部屋には陽光も入らない。 収監者の証言と大韓弁護士協会の外国人保護所実態調査によれば、 華城外国人保護所の独房と雑居房室のほとんどは窓がない。 D氏は部屋には窓はあってもテープで密閉され、地下で暮らしている感じだと伝えた。 またB氏は「木を見たくて、機会があれば窓がある2階の廊下にわざわざ行く」とし 「運動時間になればみんな自然を感じようと靴を脱いで運動場の土を踏む」と伝えた。 運動時間は1週間に3回、30分だけだ。

国家人権委員会の調査によれば、現在、華城外国人保護所は約350人を収容している。 1人が平均1.77坪を使う。 10坪余りの部屋に16〜18人程度が生活している。 刑務所などの矯正機関の1人平均の使用面積0.75坪とほぼ同じ数値だ。 みんなが横になれば事実上、空間がない。 実際に清州外国人保護所は清州女性刑務所の一部を改造した施設だ。

トイレには水洗式便器が設置されているが、扉はない。 便器の仕切りも腰の高さで、用便をする人が露出する。 清州外国人保護所には換気装置があるが、華城にはなく、悪臭も抜けない。 国家人権委員会は「トイレとシャワー施設を利用する収監者の姿を同じ部屋の他の人々も見られるだけでなく、 居間内に設置されたCCTVでこれをモニターする職員にまで露出しており、 人格権を侵害する憂慮が非常に大きい」とした。

難民に責任を押し付ける韓国政府

「ワーカーズ」が会った人々は、みんな1年以上拘禁された長期収監者だ。 摘発を経て、劣悪な保護所環境で数年を過ごす人たちの人権問題は深刻だ。 彼らの拘禁が長期化した理由は、ほとんどが難民申請のためだった。 出入国管理当局の難民審査期間だけで6か月から1年、訴訟はさらに2年かかる。 この期間には「難民」ではなく「未登録」という理由で閉じ込められているのだ。

現行の出入国管理法第63条は、 外国人の保護期間が3か月を越える場合、その後3か月ごとに法務部長官の承認を受けなければならない。 1年が越える長期拘禁者が説明するように、 拘禁延長は形式的になされている。 拘禁期間の上限もない。

大韓弁協によれば、 2013年基準で2か月以上拘禁されている移住民は、 華城外国人保護所に191人、清州外国人保護所に57人、 麗水出入国管理事務所に60人がいる。

アジアの友のキム・デグォン代表は、拘禁期間を最長6か月までに制限すべきだと主張する。 キム代表は 「長期拘禁者は難民申請者がほとんどだ。 彼らは自分の意志ではなく他意で韓国にきて、保護所に閉じ込められた人々だ。 政府が問題を外交的に解決し、人員と財源をかけて難民審査の時間を画期的に短縮しなければならない。 政府が難民問題を解くべきで、移住民に保護所でそのまま待機しろという方式で責任を転嫁するのは正しくない」と主張した。 また「更生機関よりひどい保護施設も小さな部屋に鉄窓で閉じ込めるのではなく、 外で生活していたことのほとんど保障する出国準備の場所水準の施設しなければならない」と付け加えた。

公益人権法財団共感のパク・ヨンア弁護士は 「韓国社会はすべての外国人問題を出入国管理問題に還元させる」とし 「出入国管理法の未登録滞留問題を優先視し、長期拘禁の問題は無視する」と指摘した。 彼は「特に雇用許可制は、移住労働者が事業場を変更できないように束縛し、 制度的に未登録移住労働者を量産するという問題もある」とし 「彼らが社長の同意なく事業場を離脱するなどして『不法労働者』になれば、 当局は彼らを検挙して保護所に拘禁してしまう。 2010年から2015年までに事業場変更で未登録滞留者になった移住民の数だけで4万3000人に達する程、状況は深刻だ」と指摘した。

政界では、共に民主党の琴泰燮(クム・テソプ)議員が移住児童の拘禁を禁じて拘禁期間を6か月、最長12か月に制限する改正案を去る29日に代表発議した。 だが展望は良くない。 政界の関心がますます弱まっており、 昨年5月に憲法裁判所は事実上、長期拘禁を可能にする出入国管理法第63条1項の違憲審判で却下の判決をした。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領も候補の時に市民団体が送った外国人保護所の違憲性に対する質疑書に対し、 肯定的な回答は出したものの、 当選以後に具体的な政策は提示していない。

盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は2004年当時、雇用許可制を導入し、 移住労働者の「社長」を「御主人様」に変えた。 2007年には麗水外国人保護所で火事が起きたが、逃走のおそれで鉄の扉をあけなかったために10人の外国人が死亡した。 政権とは無関係に、移住労働者はさまざまな差別に苦しんできた。 難民の地位を認められて、韓国で働きたいという彼ら。 果たして文在寅政府は移住民に対する公権力の象徴である保護所の塀を壊せるだろうか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-08-17 19:13:16 / Last modified on 2017-08-17 19:13:17 Copyright: Default

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