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「通り魔殺人」ではなく「女性殺害」だ

ワーカーズ11号 - デスク コラム

ホン・ソンマン編集長 2016.05.24 10:54

江南駅女性殺害事件で韓国社会の「女性嫌悪(ミソジニー)」の問題がまた爆発している。 事件の被疑者が殺人の動機について「女性に無視された」とし、 未明に一面識もない女性を殺害したと語った。 しかし警察は事件の被疑者が「2008年から統合失調症・恐慌障害などで四回にわたり入院した記録がある」とし、 女性嫌悪殺人だとは断定できないと強調した。 精神科の病歴がある人による単純な「通り魔殺人」だということだ。 実際、オンラインではこの事件が女性嫌悪なのか、精神異常者の仕業なのかをめぐり激論が行われている。

しかし昨年11月、水原のネットカフェで起きた「通り魔殺人」で男性1人が死亡した事件を思い出す必要がある。 この事件の加害者も精神科の病歴があると言われるが、 共同体の崩壊、社会的弱者の疎外などの社会的問題に原因を求めようとした。 しかし女性が殺害された事件については加害男性の精神科病歴や、孤独な人だなど、 個人的な問題として片付けようとしている。 女性嫌悪が殺人を呼ぶという現実を否定したいためであろう。

こうした意図は「通り魔殺人」という表現にもあらわれる。 通り魔殺人は文字通り殺人の動機や理由が不明確だということだ。 理由なく誰でも殺すということだが、果たしてこれが理由がない通り魔殺人なのであろうか?

2015年7月、19歳の少年が17歳の少女を性暴行殺害後に遺体毀損。
2015年1月、道の真中で女性を凶器で刺して殺害。
2014年7月、バス停留場から帰宅する女子高生を凶器で刺して殺害。
2014年3月、母親に怒られて腹立ちまぎれに道を歩いていた女性を殺害。

いわゆる「通り魔犯罪」の10人中9人は女性と社会的弱者を対象にする。 凶悪犯罪の被害者のうち女性が被害者になる割合は1995年に72.2%、2005年に83.2%、2013年に90.2%と、増加し続けている。
重犯罪の被害者10人のうち9人も女性だ。 女性学者ダイアナ・ラッセルは、こうした現実を「女性殺害(femicide)」と定義する。 女性殺害は「女だという理由で男が女を殺害すること」だ。
単に通り魔式の犯罪だけで女性殺害が起きるわけではない。 韓国女性の電話が2015年一年間、マスコミで報道された殺人事件を分析した結果によれば、 夫や恋人など親密な関係にある男性に殺害された女性は最低91人、 殺人未遂で生き残った女性は最低95人だった。 少なくとも1.9日の間隔で1人の女性が夫や恋人など親密な関係にある男性に殺害されたり殺害される威嚇に置かれている。

「通り魔殺人」という曖昧な言葉で女性嫌悪と女性に対する暴力が隠蔽、幇助され、 多くの女性たちが死んでいった。 人質殺害の数日前、刃物で刺された夫人が警察に行って相談を要請したが、 微温的な警察の対応のためそのまま戻った後に起きた安山人質劇事件、 一人の女性が拉致されて警察に通報したが、殺害されて遺体まで既存されたオ・ウォンチュン事件など、 被害女性が助けを要請して一定の措置を取ったのに、生命を失ったり脅かされる事件が繰り返し発生している。

どのような形態であれ、弱者に対する嫌悪は人種差別だ。 特に女性嫌悪こそ人類の半分を差別して攻撃する反倫理的で許せない犯罪行為だ。 こうしたことが問題になるという現実が、韓国社会がいかに野蛮で性差別的かを反証するだけだ。(ワーカーズ11号)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-05-29 13:27:13 / Last modified on 2016-05-29 13:27:14 Copyright: Default

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