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記者会見、1人デモも不法集会?...法学者が違憲性を提起

法律・人権団体、集示法の事前申告制に違憲審判請求を予告

キム・ドヨン記者 2011.03.29 16:34

「さあ、シュプレヒコールで終わります。 最後の部分だけ二回ずつ繰り返してください。 安全な核エネルギーはない。 危険な核エネルギー拡大政策を放棄しろ!」
「放棄しろ、放棄しろ!」
「○○警察署警備課長○○○です。 シュプレヒコールは集会に該当します。 またシュプレヒコールをあげれば『未申告不法集会』と見なして解散措置します」

記者会見でしばしば見られる場面だ。警官たちは記者会見に参加した市民社会 団体会員を脅迫するような調子で怒鳴り、参席者はさっさとシュプレヒコール を唱えて記者会見を終えるという調子で何とかまぬがれる。

最近、李明博政権になってから、記者会見や1人デモ、追慕祭や文化祭なども未 申告集会を理由に処罰されるという現象が頻発している。プラカードを持った りシュプレヒコールをあげたという理由で、複数の人々の集りではないのに、 処罰の対象になっているのだ。憲法が保障する基本権を行使するのに、なぜい ちいち警察に申告しなければならないのか。

3月28日、西江大学校キムデゴン館では、こうした『集会およびデモに関する法 律(集示法)』の事前申告制の意味と問題と、申告制を根拠とする処罰の正当性 に問題を提起する場が用意された。西江大学校法学研究所・人権法センターと、 民主社会のための弁護士の会、民主主義法学研究会、人権団体連席会議公権力 監視対応チーム、参与連帯が主催する『集示法の申告制の違憲性と未申告集会 処罰の問題』の学術発表会では、五人の法学者が研究結果を発表した。彼らは 「申告制は集会に対する『事前検閲』」であり、「申告義務の強制は憲法の精神 に反する」と主張した。

「事前申告制は事実上、憲法が禁じる『許可』制」

ベジェ大学学校法学部キム・ジョンソ教授は、「法院と憲法裁判所は集示法が 規定する申告を、単に協力義務の強制なので『許可』とは言えず、また、過剰 禁止の原則にも反していないと正当化してきたが、実際にはそうではない」と、 これに反論を提起した。

キム教授は憲法裁判所が集示法上の事前申告の性格について「『協力義務とし ての申告』と把握」し、『事前申告制』は許可制ではないという立場を堅持し ているのに対し、「事前申告制は『集会の順調な開催』には目を塞ぎ、『公共 の安全の保護』を理由とする警察の統制可能性を残す契機になるだけでなく、 申告内容についての警察の実質審査を可能にするという点で、事実上の許可制 として作動して」おり、「集示法上のその他の規定、特に禁止通告制度と結合 し、必然的に許可制として作動する」と指摘した。そのため過剰禁止の原則に 違反するかどうかとは無関係に、それ自体が違憲だということだ。

憲法第21条第2項 言論・出版に対する許可や検閲と集会・結社の許可は認められない。

キム教授によれば、集示法上の事前申告制は、憲法第21条第2項が禁じる言論の 検閲とほとんど同じ構造を持っている。彼は「ある規制が憲法が禁じる検閲だ とするには、許可を受けるための表現物の提出義務、行政権が主体になる事前 審査の手続き、許可を受けない意思表現の禁止、審査手続を貫徹する強制手段 という要件を備えなければならないが、集示法の事前申告制度は屋外集会に事 前に申告をさせ、申告の内容についての警察官署長の審査を経て、集会の可否 が決定される。許可が受けられなければ禁止通告を受けるか未申告集会の解散 や処罰規定の対象になるなど、検閲の四要件をすべて備えている」と説明した。

キム教授はまた、申告制が許可制に当たらないという前提を受け入れたとして も、基本権の制限に関する一般原則である過剰禁止の原則(目的の正当性、手段 の適切性、被害の最小性、法益の均衡性)に反すると付け加えた。

続いてキム教授は「事前申告と禁止通告および罰則という現行集示法の三つの 軸がとても強く結びついていて、司法機関もこれを当然視しており、現在の集 示法の体系をそのままにして憲法と法律の解釈による合憲的な運用の可能性を 見つけるのは難しい」とし「憲法が保障する集会の自由を完全に具現するには、 集示法は即刻に廃止すべきで、百歩譲っても全面的な改編が必要」と主張した。

「未申告集会の処罰は基本権行使の犯罪化」

西江大法学専門大学院のイ・ホジュン教授は、未申告集会の処罰の違憲性を 指摘した。イ教授は、憲法裁判所が未申告集会の主催者の刑事処罰を規定する 集示法第22条第2項を合憲とした論理を批判した。

集会およびデモに関する法律第22条(罰則)(2)第5条第1項または第6条第1項 - 屋外の集会やデモを主催しようとする者は、それに関する次の各号の事項 すべてを書いた申告書を、屋外集会やデモの720時間前から48時間前に所轄の 警察署長に提出しなければならない… - に違反したり、第8条により禁止が 通告された集会またはデモを主催した者は、2年以下の懲役または200万ウォン 以下の罰金に処する。

イ教授は「未申告集会の主催者に対する刑事処罰は、『無申告集会の開催』が 犯罪行為になるということで、単に申告をしなかったという理由だけで基本権 の行使が犯罪になる」とし「これは、憲法の集会の自由を過度に侵害する」と 指摘した。

彼は続いて「集会の自由は、第三者の利益の侵害が前提となる基本権で、衝突 する利益間の調和と均衡を模索するのは集示法の役割」とし「集示法は憲法に より保護されるべき平和的集会の自由を任意に制限したり縮小してはならない」 と付け加えた。

イ教授はまた未申告集会に参加した人は、未申告集会に対する警察の解散命令 に応じなければ、すべて集示法第24条第5号により刑事処罰の対象になる『解散 命令規定』についても「申告制本来の趣旨が協力義務だという点を本当に尊重 すれば、平和に進められる集会に対し、申告義務の懈怠を理由に解散命令をす ることはできず、これは過剰禁止の原則に違反し、平和的集会の権利を過度に 侵害する」とし「暴力などで公共の安寧秩序に直接の危険が差し迫った状況で なければ、平和的集会の権利は保護されなければならない」と主張した。

第20条(集会またはデモの解散) 1. 管轄警察官署長は次の各号のどれか一つに 当たる集会またはデモに対して、適切な時間以内で自主的に解散することを 要請し、これに従わなければ解散を命じることができる。
2. 第6条の第1項による申告をしなかったり、第8条または第12条により禁止 された集会またはデモ

第24条(罰則) 次の各号のどれか一つに該当する者は6か月以下の懲役または 50万ウォン以下の罰金・拘留または過料に処する。
5. 第16条第5項、第17条第2項、第18条第2項または第20条第2項に違反した者

それと共にイ教授は「結局、申告制を許可制として機能させる源泉は、『申告 義務の強制』」だと指摘した。彼は「申告は、集会の主催側に強制される義務 ではなく、警察の協力を得る権利という意味で、申告制が合憲的であるために は主催側の集会の自由が侵害されないように、申告するかどうかを集会主催側 の判断にまかせなければならない」とし「そうすれば申告をしなかったという 理由で解散を命じるのは違法な公権力行使に当たり、さらに未申告集会の処罰、 その他過怠金などの行政上の制裁を賦課することも許されない」と話した。

この日の学術発表会には、この他にも人権運動サランバンのチェ・ウナ常任活 動家が『未申告集会の実態と処罰現況』について、江原大学校法学専門大学院 のムン・ビョンヒョ教授が『ドイツの集示法上の申告制度と未申告処罰に関す る問題』について、高麗大学校法学専門大学院のパク・キョンシン教授が『集 会の定義の違憲性』について、亜洲大学校法学専門大学院のオ・ドンソク教授 が『集会の概念をめぐる自由と制度の拮抗作用』について主題発表した。

彼らは今後、未申告集会処罰の問題についての公論化作業を続ける予定だ。 チェ・ウナ活動家は「現在、未申告集会の実態を把握する情報公開請求をして いる」とし「現在1、2審が進行している未申告集会処罰の主な事例から適切な ものを選び、違憲法律審版提案を申請したり憲法訴訟を提起する」と述べた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-03-31 08:07:10 / Last modified on 2011-03-31 08:07:12 Copyright: Default

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