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海洋輸送路、平和協定、核脅威、経済実利論、民族主義など論争

[韓半島討論会](5) -金スングク、イヘヨン、イムピルス争点討論

チョ・シネ記者 shin@jinbo.net

金スングク、「新自由主義世界化の戦争指向性を止揚することが東アジア平和の課題」

発表が終わり、指定討論者からの発言が続いた。金スングク平和作り発行人は、 「ソンジュミョン教授の複合的な力の秩序関係という規定に同意する」と述べ た。続いて「そうした複合的な情勢の底辺に、新自由主義世界化の戦争指向性 があると思う」とし、「そのような指向性を止揚することが、東アジアの平和 の課題」と話した。

金スングク発行人は「東アジア問題において、経済と安保平和の二つを総合す る視点が必要だ」と指摘し、「平和体制構築の問題は、政治経済学的な接近を しなければならない」と話した。彼は「労働と生産の柔軟性、軍事の柔軟性の 相互関係と、この二つの大きな柱の接点を考えて東アジア問題をながめよう」 とし、「軍事の柔軟性、代表的に米軍の戦略的柔軟性は、新自由主義世界化の 軍事体制といえる」と伝えた。

金スングク平和作り発行人

また「窮極主義的な新自由主義路線を解体することが東アジア平和ための急務」 とし、「これは、資本の問題に関係するのでドルの国防色化をいかに牽制する か、国防色資本の流通をいかに牽制するかの問題につながる」と主張した。金 スングク発行人はこれについて、ドル・ボイコット運動の必要性を提起した。 彼は「資本と連動して考えると、ドルを使わない運動が必要だ」として「ドル が日米韓の軍事共同体、軍事システムを維持・プッシュする物質的生産体制と 関係しているという点で、アジアの民衆がドル・ボイコット運動をしてアジア の貨幣代案がない状況ではユーロを使わざるを得ない」と主張した。

金スングク発行人は、中国と日本が海洋の権益をめぐり気力の戦いをしている 状況で、新しい陸上交通路について考えるべきだとも主張した。彼は「海洋側 ばかりを見てアジアの平和共同体を語るのではなく、ユーラシア間のピース・ ブリッジ、海洋輸送路の代わりをする新しい陸上交通路を考える発想が必要だ」 と伝えた。

ソンジュミョン、「北朝鮮問題も平和の問題とともに新自由主義の問題をいかに解決するかを考えるべき」

これに対してソンジュミョン教授は、「東アジアでは、経済的には新自由主義、 政治的には軍事主義が同時に影響を及ぼすので、政治経済的な接近が必要だと いうのは正しい言葉だ」と受けた。ソン教授は「北朝鮮に対しても、窮極的に はそうした新自由主義の問題が関係する。東アジア多者主義を民衆的に再構成 し、米国の攻撃的一方主義、日本の攻撃的ナショナリズムをいかにしてなくす か、中国の成長をいかに管理するのかを考え」るべきで、「北朝鮮問題は平和 の問題とともに、新自由主義の問題をどう解決するかも同時に接近していかな ければならない」と指摘した。

金スングク発行人の海洋輸送の代案を考えるべきだという発言に対しても同意 を示した。ソンジュミョン教授は「この構図でこのまま行けば不安定になる海 洋輸送路の問題で摩擦が増大する。韓国は、米中、日中の摩擦のどちらかを選 ぶほかはない」として「代案として基本的に鉄道を中心とする陸上輸送と、そ の次にパイプラインがある」と話した。「エネルギー問題に関係するが、これ まで海洋にばかり依存していた部分をパイプラインに変えることも南北関係や 東北アジアのエネルギー問題で画期的」と付け加えた。

イヘヨン、「歴史的接近で導き出された結論、構造分析は無理」

イヘヨン韓神大教授

イヘヨン韓神大教授はカンジョング教授の発表に対する指定討論を行った。イ ヘヨン教授は「カンジョング教授が韓米関係の脱神話化作業に決定的な寄与を してこられた方であることは間違いない」という言葉で発言を始めた。イヘヨ ン教授は続いて「カン教授が数種類の韓米同盟の根本的属性を導き出す論理は 非常に歴史的な接近だが、歴史的接近で導き出された結論をそのまま構造分析 に進めることは無理がある」と指摘した。

また、「国家の相対的自律性の問題は非常に重要だが、カンジョング先生の文 を読むと、結局われわれは米帝の植民地だ」と話し、「先生が言及された歴史 的事実は資料の上で大変に重要だが、理論的な水準から見ると、それほど簡単 な問題だろうか」という問いを提起した。続いて「若い世代は、絶対的な親米 から、すでに相対的な親米へと移っており、若い世代に米崇拝主義を見つける のは難しい」と話し、「イデオロギーのカスを取り除くためにやむを得ずこう した親米、米崇拝主義的な態度を語ることになる」と話した。

イヘヨン教授は平和協定締結の問題についても懐疑的な立場を明らかにした。 「歴史的接近で導き出された結論のうちの一つが平和協定を締結しようという 話だが、協定を締結すれば平和になるとは思わない」とし、「実質的な平和体 制が整わず、軍縮などで支えられなければ、100の平和協定を結んでも効果が ない」と話した。続いて「国際法物神主義や過度な法律主義的な接近の限界に を指摘せざるをえない」と付け加えた。

最後にイヘヨン教授はカンジョング教授が経済実利論に言及した部分に対して 問題を提起した。彼は「韓米関係は二つの輪、すなわち銃とパンで回る」とし、 「銃や大砲の論理で導き出された言葉には疑問の余地がないが、経済関係、飯 やパンの論理から見れば、韓米関係が強化するほど韓国経済は陰になるのが現 実」と話した。

カンジョング教授はイヘヨン教授が歴史的接近と構造的分析について提起した 問題に対して「歴史と構造を互いに結合させて接近してこそ、分析も正しくな り、解決方案も正しく提示できる」と答えた。

カンジョング、「冷戦の聖域を崩さずに構造的な限界は克服できない」

カンジョング教授は「韓米関係の従属性は、歴史と結びつけて話さなければ解 決策が出てこないので、歴史性が重要な意味を持つ」と話し、「脱神話化と言っ ても冷戦の聖域を崩すことが自分自身の学問的座標でありアイデンティティー で、過去60年間の冷戦分離体制の下で強固に形成されてきたイデオロギーを打 ち破らなければならない」と話した。カン教授は「冷戦の聖域を崩さなければ 現実的に運動的次元で構造的な限界を克服できない」と強調した。

また、平和協定と平和体制問題に対して「法律還元主義ではなく平和協定とと もに平和体制に進もうということ」として「六カ国協議の枠組みの中で、平和 協定と体制を模索することが必要だ」と付け加えた。また「多者間体制を追求 し、米国の力を分散させなければならない」と話し、「これに対して私たちの 問題を他人が語るのは非自主的だというように考えず、米国の力を分散させる ために6か国の枠組み持続させて、連合的な力を発揮させる構図を作ろう」と 主張した。

イムピルス、「米軍基地、軍事戦略関連運動に拡張されたが局地的、制約的な闘争」

社会進歩連帯のイムピルス政策編集局長は、ペソンイン教授の発表への討論の 前に、主催側が要求した最近の韓半島平和のための運動の流れを簡略に説明し た。イムピルス政策編集局長は「今年、平沢と仁川などの地でパトリオット・ ミサイル基地反対運動、基地拡張反対運動などがあった。既存の米軍反対運動 が、米軍犯罪関連の運動に限られていたとすれば、最近になって米軍基地や米 軍の軍事戦略に議題が拡張された」と伝えた。

イムピルス社会進歩連帯政策編集局長

続いて「闘争の争点、気勢が高まったのは事実だが、平沢闘争だけを見ても平 沢住民と一部の反戦平和運動勢力だけしか参加しない局地的な闘争に制限され ており、全国的な流れに拡張できなかった」と指摘した。彼は「イラク派兵反 対運動も小康状態で、反戦反米平和運動が拡張を続けているのは事実だが、一 時的な小康状態と見られる」と話した。

「果たして韓半島の核威嚇は減少したのか?」

イムピルス政策編集局長は、六カ国協議に関するペソンイン教授の発表に対し て大きく3つの問題を提起した。「一つは今回の六カ国協議合意がジュネーブ 合意と比べて進んだと見るのか、そして韓半島の核脅威は果たして減少したの かを評価する必要がある」という指摘と、「別途のフォーラムを作ると言うが、 韓半島平和体制の形はいったいどんなものなのか」という問題であった。

イムピルス政策編集局長は、「北の核放棄と南の電力支援の対等交換が今回の 会談で一番大きいものだが、ジュネーブ合意から11年以上の時間を考えれば、 これが進展と思えない」と主張した。「したがってなぜこのような持続的な後 退が起きるのかに対する評価が必要で、自画自賛に忙しい南韓政府に構造的な 評価と責任性を尋ねなければならない」という立場だ。彼は「対北電力供給も 米国の意図が貫徹される中で、結局は米国の負担を減らす方式になったのでは ないか」とし、「これは米国の戦略に追従、追随する行為で、10年の時間の後 退、あるいは固着」と主張した。

また、全般的に韓半島の核脅威が減少したという楽観的結論も出せないと指摘 した。「非核化宣言を確認したというが、不平等条約と糾弾されるNPT体制に 復帰することが韓半島の核脅威を減少させるとは見にくい」という主張だ。ブッ シュ政権は、NPT内の非核国家が持続的に要求する消極的な安全保障、すなわ ち核保有国の非核国家に対する先制核攻撃禁止を撤回し、反拡散政策を積極的 に押し通す二重的態度を見せていると同時に、米国が非核国家への威嚇を強化 しており、南韓も核開発の欲求を持つ状況で、核脅威が減少したと言うことは できないということだ。

現在議論されている平和体制も虚構的という指摘も付け加えた。彼は「民衆運 動の観点から見れば、韓米日の同盟構造が維持される枠組みを韓半島の平和体 制と呼べるのか」とし、「これが解体される方向に進むのでなければ、どんな 合意も同じ」と話し、「駐韓米軍の撤収や韓米同盟の再検討の要求が必要だ」 と主張した。

「経済問題も韓米同盟の階級的性格、経済的従属問題で接近すべき」

イムピルス政策編集局長も、カンジョング教授の経済実益論関連の発言に異議 を提起した。彼は「カン教授の経済実益論の話で、韓半島に平和が定着すれば 利益あるのではないかとの話したが、韓米戦争や韓米同盟が特定の集団に利益 を与えるように、経済的な問題も韓米同盟の階級的性格と経済的従属の問題と して接近するのが適当ではないのか」と異議を提起した。

ペソンイン、「政府の立場の選択で、市民運動勢力のソフトパワーで変わる」

ペソンイン明知大教授は「平和体制に関しては、まず六カ国協議が目的になっ てはいけないという認識が重要なようだ」として平和体制と平和協定に関して 前の議論について意見を述べた。ペソンイン教授は「これまでの展開の過程で は、やや分断の安定した再生産がなされる可能性がある」とし、「韓半島の統 一ではなく、現状態に留まらせる平和体制の構図になりかねない。したがって 非常に慎重であるべき問題」と話した。また「平和協定をまず議論するると、 米国は平和状態を管理できるようになる。これは平和維持軍などの形で現れる」 と付け加えた。

果たして今回の会談の成果がジュネーブ合意より進んだのかというイムピルス 政策編集局長の質問に対しては「ジュネーブ合意で失った10年は、果たしてど んな方法で補償されるのかという提起だが、私は進んだと見る」と答えた。ペ 教授は「認識できれば実践の可能性が生まれるという点を念頭に置くと、これ は進展だ」と話し、「核の脅威が減少したと考えるのは難しいが、韓国政府が どんな立場を取るかにより変わることができると考える」と明らかにした。 「中国威嚇論は、共に認識している米日関係が位置しており、日米は韓米日の 同盟体制に引き込もうと努力しているが、韓国政府の選択により変われる」と いうことだ。

最後にペソンイン教授は「韓半島平和体制、東北アジア平和体制が関連すれば、 私たちがどんな形でソフト・パワーを発揮するかの問題が重要だ」として「最 小限の東アジアの民衆の連帯でわれわれのソフト・パワーを育てていかなけれ ばならない」と主張した。彼は「市民社会の力量を今よりさらに育て、向上さ せることが、その小さな方法ではないか」という言葉で討論を終えた。

金スヘン、「資本家支配階級の利益ために民族主義が使われることが多い」

指定討論が終わり、司会の金世均教授が参席者からの質問を受けた。金スヘン 教授は『民族主義』という単語の使用の問題を提起した。「よく民族主義とい うが、、各国の政府や国家が国民全体の利益であるかのように、資本家と支配 階級の利益を貫徹しようとして糊塗される側面がある。現実的に民族主義とい う単語を使わないほうが良いのではないか」という主張だった。

カンジョング、「民族主義は両面性を持つ..平和統一指向する民族主義は開かれた民族主義」

これに対してカンジョング教授は「重要な指摘だが、一方では韓米関係で米国 の政策や立案する人々が憂慮しているのが韓国の民族主義的な感情がどう変わ るのかという点」であり「東北アジア、東アジア、米国の支配戦略で、米国が 最も気をつかっているのが民族主義」と話した。

カン教授は「民族主義そのものは、帝国主義と結合すると途方もない問題があ るが、しかし韓国のように第三世界の民族主義運動に出会うと途方もない動力 になるという両面がある」と主張し、「知識人は、民族主義にこうした両面が 同時にあるということと、望ましい民族主義は人類社会普遍主義につながると いう方向に進み得ると人々に知らせていかなければならない」と注文した。ま た、「むしろ知識人は、民族主義を国家主義・帝国主義的な民族主義、閉鎖主 義とだけ規定する側面がある」とし、「それでは民族主義の片方を見のがす」 と主張した。

カンジョング教授のこのような答についてソンジュミョン教授が「では韓国の 民族主義はどう考えるのか」と質問し、カン教授は「朴正煕時代か、歴史的社 会的な条件によって別に考えなければならない」とし、「脱冷戦後の平和統一 を指向する民族主義は、民主化と平和統一、開かれた民族主義指向に進むが、 民族主義が行きすぎれば他方にひっくり返るという事実を常に自省して緊張し つつ進まなければならない」と答えた。

「もっと議論が必要な点は多いが、時間の関係で今日はこれで整理しよう」と いう金世均教授の言葉で予定時間より一時間ほど超過してこの日の討論会は終 了した。

2005年10月04日5時13分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2005-10-06 10:41:00 / Last modified on 2005-10-06 10:41:39 Copyright: Default

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