本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:国連12の機構がいっせいに「性少数者人権保障」を要求
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1444031888953St...
Status: published
View


国連12の機構がいっせいに「性少数者人権保障」を要求

暴力から保護、差別的法条項の廃止、差別から保護などを要求

カル・ホンシク記者 2015.10.02 14:09

▲国連12機構が9月29日に発表した英文版声明書。[出処:ビーマイナー]

国連の12の機構がいっせいに性少数者が味わっている差別と暴力を終わらせるよう、 世界各国に要求した。

国際労働機構(ILO)、 国連人権高等弁務官事務所(UNCHR)、 国連児童基金(UNICEF)、 国際保険機構(WHO)など12の機構は9月29日 「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス(LGBTI)への暴力と差別を終わらせるために」という声明を発表した。 単独の機構ではなく共同名義で性少数者の権利保障声明を発表するのは例がない。

国連の12の機構は世界的に性少数者に加えられる差別を防げなければ、 HIV感染のような公衆保健上の脆弱性の増大、 社会的・経済的な排除、家族と共同体の緊張の誘発、経済成長と進歩の阻害、 適切な労働の侵害といった社会的な影響を呼ぶと憂慮した。 そのため国連の12の機構は性少数者差別を国際人権規範の違反と規定し、 各国の国家機構と民間機構、大衆媒体などが至急性少数者差別問題を解決するよう強調した。

彼らは最近、各国で性少数者に殺害、襲撃、拉致、強姦、性暴力、拷問などの深刻な暴力が強行されているとし、 各国政府に暴力に露出している性少数者を保護する措置を要求した。 その方案として、性少数者や彼らの人権を擁護する人々を法的に救済し、 嫌悪犯罪と嫌悪発言を処罰する法規を作るなどの方案を提示した。 また、性少数者を難民として認め、彼らが人権を侵害される場所に送還されない権利を保障するよう主張した。

続いて彼らは、76か国で同性成人の合意された性関係を処罰しており、 少なくとも5か国で性少数者であることを理由に死刑が求刑されるなど、 相当数の国家で性少数者を不当に処罰する法律条項があると指摘した。 そのため各国に対し、同性成人の合意された性関係、 性的指向・性別アイデンティティを根拠として人々を逮捕・処罰・差別するなどの法規を廃止するよう要求した。

また性少数者が社会的に疎外されないように、 各国政府に国際人権基準の遵守を要求した。 彼らは性少数者が教育、雇用、医療、住宅、社会保障、刑事制裁、難民、拘禁など、 すべての領域で差別されることがないようにするべきであり、 暴力的な要求事項なくトランスジェンダーの性自認を認めるよう強調した。 また社会的に教育課訓練を通じ、性少数者にかぶせられた偏見を矯正し、 性少数者が自分の人生に影響する法律と政策の設計への参加を保障することを要求した。

国連の12の機構は 「会員国政府と利害当事者がすべてのLGBTIの人権を尊重、保護、増進、保障するために、 このような課題を遂行する過程で憲法、立法、政策的変化、関連国家機構の強化、教育、訓練などに関する支持と助力を提供する準備ができている」と明らかにした。

〈レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス(LGBTI)1)に対する暴力と差別を終息するために〉

国際労働機構(ILO)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連エイズ計画(UNAIDS)事務局、国連開発計画(UNDP)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連人口基金(UNFPA)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連児童基金(UNICEF)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、国連UNウィメン(国連Women)、世界食糧計画(WFP)、世界保健機構(WHO)

注1)この声明書は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックスを明示していますが、他の用語で自分を表現し、 自分の実際の、または認知された性的指向、性自認、性的特性により、 暴力と差別を直面するすべての人のための声明書です。

われわれ国際連合の12の機構は、各国に対し、 LGBTIの成人、青少年、児童に対する暴力と差別を終息させるために 至急に行動をすることを要求します。

すべての人は暴力、抑圧、差別、烙印から自由に暮らす平等な権利を持っています。 国際人権規範は各国に対し、すべての人に例外なくこのような権利を保証しなければならないという法的義務を付与しています。 多くの国家でLGBTIの権利を保護する努力が拡大していく傾向を歓迎しつつ、 われわれ国際連合の12の機構は世界数百万人のLGBTI、LGBTIと言われる人々、 そして彼らの家族が広い人権の死角地帯にいる点を憂慮します。 われわれはこの事態に警鐘を鳴らし、行動を取ろうと思います。

LGBTIの人権を支持し、暴力、差別的法規と慣習などの弊害から彼らを保護することに失敗することは、 HIV感染などの公衆保健の脆弱性増大、社会的、経済的排除、家族と共同体の緊張誘発、持続可能な発展のための経済成長と適切な労働、および進歩の阻害といった深刻な社会的影響につながる国際人権規範の違反行為です。 各国は国際人権規範上、すべての人を暴力と差別から保護する最も重要な義務があります。 したがってこうした国際人権規範の違反は、行政府、立法府、司法府、そして国家人権機構が至急、解決すべき問題です。 共同体、宗教および政治指導者、労働組合、民間領域、医療界、市民社会、そして大衆媒体も重要な役割を担わなければなりません。 人権は普遍的なものです。 文化的、宗教的、道徳的慣習や通念、社会風潮がLGBTIをはじめ、いかなる集団に対しても強行される人権侵害行為を正当化することはできません。

人々を暴力から保護しましょう

各国は以下のように拷問や虐待を含む暴力からLGBTIを保護しなければなりません:

  • LGBTIの成人、青少年そして児童、そして彼らの人権を擁護する彼らに加えられた危害行為の調査および起訴、法的救済;
  • このような暴力の防止、監視、そして報告のための努力強化;
  • ヘイトスピーチを処罰する法規で、同性愛嫌悪やトランス嫌悪を加重処罰要件と規定
  • LGBTI、およびLGBTIと認知されて迫害される人々を難民と認定し、彼ら難民の人生と自由が脅かされる所に送還しないこと;

国際連合とその他の国際団体は最近世界的に起きているLGBTIを対象とする肉体的、精神的暴力を文書化しました。 殺害、襲撃、拉致、強姦、性暴力だけでなく、拷問、施設保護機関などでの虐待のような深刻な暴力が強行されています。 LGBTIの青少年やレズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーの女性は、家族と共同体の内部で特に深刻な肉体的、精神的、性的暴力の危険に直面しています。 LGBTIはこうした人道主義的な危機状況で、迫害を避けて身を守っていますが、しばしば暴力と差別に露出しています。 LGBTIはまた医療的な虐待を経験しています。 例えば、性的指向を変える「治療」の名前で強行される非倫理的かつ有害な行為、強制的不妊手術、強制的生殖器および肛門検査、そしてインターセックス児童に対して無断で行われる不必要な手術と治療などがあります。 多くの国家でこうした侵害への対応が充分ではなく、きちんと報道されたり適切な調査や起訴が行われることもありません。 そして加害者が処罰されず、正義が実現されない事件が広く起きており、法的な救済と被害者への支援は不足しています。 こうした暴力に反対する人権運動家自身が迫害され、彼らの活動は差別的な制約に直面しています。

差別的法規を撤廃しましょう

各国は以下のような法規の再検討、適用中止、廃止などを含み、 国際人権規範を尊重する措置を取らなければなりません:

  • 成人間の合意のある同性間の性関係を処罰する法規;
  • ジェンダー表現に基づいてトランスジェンダーを処罰する法規;
  • 性的指向、性自認、ジェンダー表現に基づいて人々を逮捕、処罰、差別するために活用されるその他の法規;

76の国で相変らず成人間で合意のある同性間性関係を処罰する法規が存在しており、 人々は恣意的な逮捕、起訴、拘禁の威嚇を受けています。 少なくとも5つの国では死刑の危険も存在しています。 服装転換(Cross-dressing)を犯罪化する法規は、トランスジェンダーを逮捕および処罰するために使われています。 ある法規はゲイ、レズビアンおよびトランスジェンダーを困らせ、抑留し、差別したり、 彼らの表現、結社、平和的集会の自由を制限するために悪用されています。 こうした差別的法規は嫌悪犯罪、警察権乱用、顧問と虐待、家族および地域社会の暴力行使、健康およびHIV感染者の支援に対する接近制限による公衆保健的な悪影響、 そして何よりも永続的な烙印と差別を持続させる原因として作用しています。

人々を差別から保護しましょう

各国は以下のような方法で 差別禁止に関する国際人権基準を遵守しなければなりません:

  • LGBTIの成人、青少年、児童が処した教育、雇用、医療、住宅、社会保障、刑事制裁、難民、拘禁などすべての領域での差別禁止;
  • トランスジェンダーの性自認に対する暴力的な要求事項のない法的認定;
  • 対話、公教育、そして訓練によるLGBTIに対する偏見の矯正;
  • LGBTIに影響を及ぼす開発、人道主義的計画を含む法、政策、プログラムの設計、それらの施行および監視に参加して諮問を受ける機会の保障;

LGBTIは、性、人種、民族、年齢、宗教、貧困、移住、障害、健康状態を基盤とする何重もの差別をはじめ、すべての領域で広範囲な差別と排除を体験しています。 LGBTI児童は自分または父母による実際、または認知された性的指向および性自認により、いじめ、差別、退学を体験しています。 家族から拒否されたLGBTI青少年は高い自殺率を示し、多くが野宿や飢餓状態を経験します。 差別と暴力はLGBTIを社会的に疎外し、彼らをHIV感染のような健康の悪化に対し脆弱にします。 それでもLGBTIは医療現場での治療拒否、差別的態度、そして病理化に直面しています。 トランスジェンダーは、自分が好む性別への法的な認定がない場合には排除と疎外を体験しているのに、 彼らはしばしばこの認定を拒否されたり、このような認定を得るために強制的不妊化、治療、離婚などを要求されています。 LGBTIに影響する法律、政策、プログラムの設計、それらの施行および監視に参加し、諮問を受ける機会を剥奪することは、LGBTIの社会的、経済的疎外を永続化します。

国際連合は支持します

われわれ国際連合の12の機構は、会員国政府と利害当事者がすべてのLGBTIの人権を尊重、保護、増進、保障するために、 この声明書に明記された課題を遂行する過程での憲法、立法、政策的変化、関連国家機構の強化、教育、訓練などに関する支持と助力を提供する用意があります。

2015年9月

(翻訳:性少数者差別反対ムジゲ行動)

英文原本

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-10-05 16:58:08 / Last modified on 2015-10-05 16:58:09 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について