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海外のセウォル号批判を防ぐ? 駐ドイツ外交公館、ジャーナリストに外圧議論

個人情報人権、プライバシー、表現の自由侵害...「大統領気持ちだけを考えて」

チョン・ウニ記者 2014.04.23 13:18

海外の外交公館が政府のセウォル号の災難対処に対する国民の怒りを記録した在独同胞ジャーナリストに 事実上の政治的外圧をかけ、プライバシーを侵害したという論議がおきている。

駐ドイツ韓国大使館所属のドイツ文化院のユン・ジョンソク院長は最近 「韓国人の怒り(Die Wut der Suedkoreaner)」というの題名の文をドイツの日刊紙ツァイト(Zeit)に寄稿した在独ジャーナリスト、チョン・オッキ氏に朴槿恵(パク・クネ)大統領に関する部分を訂正してほしいと連絡した。

▲ツァイトに掲載されたチョン・オッキ氏の文[出処:http://www.zeit.de/]

8歳でドイツに移住し、38年間滞留しているチョン・オッキ氏は、セウォル号事件の発生から二日目の4月17日(現地時間)にツァイトに文を寄稿し、 当時のセウォル号事故への対処をめぐる政府、政治家、旅客船員と言論などの問題を批判した。 この寄稿文は、国内の非営利外信翻訳専門サイト「ニュースプロ」が18日、「独ツァイト、旅客船事故で韓国国民が政府に怒る」という題名で報道し、韓国に知らされた。 この内容は、ポータルサイトとコミュニティなどに広がり、ダウム・アゴラだけで約20万件(22日基準)の照会数を記録するなど、大きな関心と反応があった。

チョン氏がユン・ジョンソク院長からの思いがけない連絡を受けたのは、韓国に該当ニュースが伝えられてから二日目の20日朝だ。 ユン院長は寄稿文の中見出しの「ポーズを取る大統領」という内容は事実ではないとし、訂正を要求した。

当初、17日の午後、朴槿恵(パク・クネ)大統領が珍島室内体育館を訪問した後、朴大統領がその時現場にいた6歳の子供の顔をさわった姿を朝鮮日報などが 「両親を探す子供を慰める朴大統領」などの題名で掲載し、動員されたという議論が広がっていた。 チョン・オッキ氏はこれを元に「単に共に写真を撮るために女の子を体育館に連れていったようだ」と記録し、 ツァイトの編集陣は該当の部分に「ポーズを取る大統領」という中見出しをつけ、記事を掲載した。 18日午前、その子供の叔母のインタビューがオーマイニュースで公開され、この疑惑は事実ではなかったと発表されたが、チョン・オッキ氏の寄稿が掲載された時間はこれより早い17日(現地時間)だった。

該当記事の内容が事実に外れる場合、訂正報道などで訂正することができるが、 ユン・ジョンソク院長の方法は違った。

チョン・オッキ氏によれば、ユン・ジョンソク院長は20日の午前5時48分と6時46分の二回にわたりチョン氏の自宅に電話をかけ、内容の修正を要請した。 どうして家の電話番号を知ったのかというチョン氏の質問に対しユン院長は 「(チョン氏を)知人を通じて受けた」と明らかにするだけだった。

ユン院長は20日以外にも、駐ドイツ韓国大使館公使参事官名で、またチョン・オッキ氏とツァイトの編集者にEメールを送り、 チョン氏には「ポーズを取る大統領」という中見出しを変えろと要求したが、ツァイト編集陣には「真摯かつ包括的な内容修正」を要請した。

チョン・オッキ氏はチャムセサンとの通話で 「なぜ公共機関が休日の夜明けに個人の自宅の電話番号を調べて話すのか」とし 「私的領域を侵すとんでもない事件だ」と舌を打った。 チョン氏はまた、「私はドイツ市民だが、韓国人でもこれはおかしい」とし 「韓国ではこれが正常だと思うのかも知れないが、韓国国籍でも公共機関がこんなことをするべきではない」と指摘した。 彼は特に「非常識的なことがこのドイツでも行われるのは理解できない」と明らかにした。

外交官僚による国家情報院式の世論介入

一方、ユン・ジョンソク文化院長がチョン・オッキ氏に送ったメールで、 彼は「公使参事官(Gesandter-Botschaftsrat)」という名義を使った。 以前、文化院は安全企画部出身が掌握していたという点で、国家情報院の職員ではないかという疑惑も提起されている。 しかしユン・ジョンソク文化院長が実際に国家情報院と関係があるかどうかは確認されていない。

外交部の西ヨーロッパ課は、4月22日にチャムセサンの「ユン・ジョンソク氏は本当にドイツ文化院長か」という質問に対し「そうだ」と答えた。 しかし外交部は「彼が韓国に出張中なのか、国家情報院との関係があるのか、また該当活動をしたのかについては知らない」と明らかにした。 駐ドイツ韓国大使館側は、事実確認のためチャムセサンの質問に電話通話とEメールで「彼は韓国にいる」と明らかにする一方、 「連絡先は個人情報なので伝えられない」と知らせてきた。

その後、ユン・ジョンソク院長は取材中にあったチャムセサンの記者にEメールで連絡をしてきたが、 チョン・オッキ氏の家の電話番号を取得した経緯などの質問には回答をしなかった。

ユン・ジョンソク ドイツ文化院長が国家情報院との公式的な関係がないとしても、 海外同胞の個人情報を集めてプライバシーを侵害し、寄稿文の修正を要求する政治的外圧をかけた点は、公人にふさわしい態度とは言えないと指摘される。 最近、一部の言論でセウォル号惨事に関する大学教授への「インタビュー統制」に国家情報院が介入しているという疑惑まで提起されている状況で、 政府の世論介入が続いていることは問題の深刻性を加える。

個人情報人権、プライバシー、表現の自由を侵害...「大統領の気持ちだけを考える」

進歩ネットワークセンターのチャン・ヨギョン活動家は 「電話した時間帯も問題だが、連絡先を入手した経緯に個人情報侵害の余地があり、新聞記事に介入しようとした点には表現の自由の侵害という問題がある」と指摘した。 彼女はまた、「朴大統領がフランスを歴訪した時に現地大使館が海外同胞のデモを禁止してほしいとフランス警察に申請して拒絶されたが、 大使館が政権の安保次元で海外同胞の活動を統制したり、世論に介入しようとする態度があるようだ」とし 「表現の自由への理解が浅いことの反証だ」と説明した。

言論連帯のキム・ジョンチャン企画局長は 「セウォル号事件が世界的な問題になっている状況で、 誤った事実を現地の外交公館が正することはできる」としつつも 「しかしメディアではなく、寄稿者に連絡を取ったのは不適切だった可能性がある」と明らかにした。

民主社会のための弁護士の会のパク・チュミン常任弁護士は 「電話番号を調べること自体がとてもおかしい」とし 「情報機関の介入が十分に疑われる。電話番号を調べる過程で不法性もあったようだ」と指摘した。 彼はまた、「公式の手続きがあるはずだが、私生活を侵害して、すべて無視するのは大統領の気持ちしか考えていない態度」とし 「民主社会では政府の批判は当然だが、最近の政治家たちは言論の多様性と批判の自由に対する感覚が全くないようだ」と批判した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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