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韓国:またやって来る選挙、ニューコア-イーランド労組の選択
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またやって来る選挙、ニューコア-イーランド労組の選択

総選挙で非正規職労働者に何ができるのか

イ・コンマム記者 iliberty@jinbo.net / 2008年03月13日23時46分

ニューコア労組とイーランド一般労組の交錯した選択

総選挙を控えて労働界の動きもせわしい。政治と社会的問題から遠ざかってい る国民の関心が、大統領選挙、総選挙で集まる局面だからだ。特に長い間闘っ ている非正規職の労働組合は、総選挙で非正規職労働者の問題をどうすればさ らに多くの人々に知らせることができるのかをめぐって苦悩している。

こうした中、ストライキから9か月を越えたニューコア労組とイーランド一般労 組は、選挙戦術の選択が交錯した。イーランド一般労組は組合員総会を行い 53%の賛成でイ・ナムシン首席副委員長を進歩新党の比例代表候補に立てた。 ニューコア労組は候補を立てて総選挙に対応するかどうかを悩んだが、結局、 組合員の2/3に近い反対で候補を立てないことにした。

なぜ二つの労組は、どちらも総選挙に候補を立てることに悩んだのだろうか。

まず二つの労組とも、総選挙で非正規職問題を国民に知らせる方法の一つが、 直接組合員を候補に立てて国民と会うことだという判断があった。イーランド 一般労組のキム・ギョンウク委員長は、「いくら闘争しても、以前のように強 力な闘争が作れずにいる状況で、民主労働党の提案もあり、このまま行けば私 たちの戦いは総選挙という空間で忘れられらるか、党に動員されるしかなくな ると思った」と伝えた。ニューコア労組のチェ・ホソプ事務局長も「総選挙の 時に私たちの状況を争点にするために候補戦術で悩んだ」と伝えた。

民主労働党の分党、そして選択の岐路

しかし選択は違った。

ニューコア労組のチェ・ホソプ事務局長は、「組合員は私たちの闘争が政治的 に活用され、壊されかねないと判断した」と組合員の状況を伝え、「特に民主 労働党が割れ、候補戦術を使えば党を選択しなければならないという問題があ る。そうなるとさらに政治的に活用される公算が大きく、無所属候補を提案し ていた」とし「しかし総選挙で候補を立てることそのものに、組合員には否定的 な意見が多かった」と話した。

民主労働党が割れた後、イーランド一般労組の選択は、やさしくはなかった。 イーランド一般労組のキム・ギョンウク委員長は「元々、進歩新党側は悩んで いなかった」とし「しかし民主労働党がホン・ヒドク氏を選択し、総会ではす でに候補戦術が確定したので、自然に進歩新党を選択した」と話した。13日の 午前、ファイナンシャルセンター前で開かれた記者会見に来ていた組合員たち は、「民主労働党が割れなければもっと良かったのだが」と話していた。

民主労働党の分党が民衆運動全体に残した後禍は多様だが、ニューコア-イーラ ンド一般労組の組合員にはまた一度の政治的活用を憂慮する選択を残した。

ニューコア労組の選択には、先日の大統領選挙での記憶も大きく作用した。 ニューコア労組のパク・ミョンス組合員は、「大統領選挙で私たちが労働者候 補、労働者政治勢力化が必要だといっても、私たちが主体にならなければ脇役 になりかねないと考えた」と、大統領選挙での記憶を語った。続いてパク・ミョ ンス組合員は「総会の時に議論をして、私たちの中にもさまざまな政治的見解 があることを知った」とし「イーランド労組も50%をいくらも越せなかった数で 決めたというが、政治的な立場をひとつに整理することは、労働組合という大 衆組織ができることなかと思った」と話した。

大統領選挙に対してイーランド一般労組のキム・ギョンウク委員長は「大統領 選挙の時、集会申告も出せない状況でイーランド問題を伝えるために民主労働 党の遊説場所で共に集会を開いて闘争をした」とし「これを政治的に活用され たとは思わない」とも話した。続いてキム・ギョンウク委員長は「ある人は、 私たちの選択がイーランド闘争を政界に売り飛ばすというが、どんな展望でも 切り開きたいと思う組合員の切迫した気持の反映だ」と付け加えた。

「私たち皆の責任だ」

こうした交錯した選択には、現在まで労働者政治勢力化運動と非正規労働運動 が持つ限界が影響したと指摘されている。

民主労総ソウル本部のオ・サンフン総務部長は、「これまで労働者政治勢力化 運動を党だけに任せてきた民衆運動全体の限界を見定めなければならない」と し「新しい下からの労働者政治と、地域での日常的な政治活動を繰り広げるこ とができなかったことを反省しなければならない」と指摘した。結局、総選挙 などの選挙の時期、党を越える運動の希望も示せない現在の労働運動が、党と いう組合員の限界的な選択を持たらしたという分析だ。

続いてオ・サンフン総務部長は「民主労働党、進歩新党、民主労総、そして ニューコア-イーランド労働者と連帯したすべての勢力が、勝利どころか、勝て るという希望さえ持たせられなかった」とし「これは必ず勝利できなくても、 組合員と民衆運動の課題を認識して正しい非正規闘争の方向はどうなのかを真 剣に考えることも出来ない私たちすべての責任」と話した。

二つの労組、「最善を尽くして戦う」

一方、選択は異なっているが、二つの労組とも総選挙の時には最善を尽くして 戦うと話している。ニューコア労組のチェ・ホソプ事務局長は「民主労働党や 進歩新党が対応する地方区の候補に、共に戦うよう提案したい」と話した。 イーランド一般労組のキム・ギョンウク委員長は「候補を立てることは闘争 戦術の一つでしかない。最も重要なことは組合員と共に作っていく現場での 闘争だ」と伝えた。

選挙の時だけに非正規職と疎外階層に関心を示すという冷笑的な反応が、進歩 政党全体にあふれるこの時期。9ケ月が越えるストライキ、生計費も出ない状況、 闘っても以前のように多くの人が連帯してくれることもなく、見守ってくれる こともない現在を、かろうじて頑張っているニューコア-イーランド非正規労働者 の選択が総選挙後にどのような結果で現れるのか、関心を持って見守るべき時だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-03-22 19:09:41 / Last modified on 2008-03-22 19:09:42 Copyright: Default

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