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「私はこの法廷で五回の涙を見た」

竜山惨事の結審公判が開かれた311号法廷に広がった悲痛な叫び

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キム・ヨンウク記者 batblue@jinbo.net / 2009年10月22日10時33分

あなた、あなた〜。8年を求刑された夫はついに妻の声を聞けなかった。チョン・ ヨンシン氏は結審公判が終わって法廷の一番前で拘置所に行く夫に手を伸ばし たが、夫イ・チュンヨン氏は妻が呼ぶ声を聞くことができなかった。8年という 刑を求刑されたイ・チュンヨン氏も衝撃が大きそうに見えた。イ・チュンヨン 氏は法廷を出るまでは妻を振り返った。彼はそれでも妻に笑いを見せた。手も 取れない妻は手を振った。それでも初めのうち、二人は目で多くの対話をした。 イ・チュンヨン氏の後について出た他の被告の家族は、それでも手ぐらいは取 れた。刑務官は声まで遮り、彼らが手を握るのを防いだ。

被告人が法廷を離れても、ソウル中央地法311号法廷はなき声とため息が止まら なかった。チョン・ヨンシン氏は限りなく涙を流した。近くにいたビョン・ヨ ンシク カトリック人権委員長が「まだ宣告が出たわけではないじゃないか。今 は求刑だ。頑張ろう」となだめた。

2009年10月21日午後2時、ソウル中央地法311号法廷。カンス・サンナ検事は事 務的な声で竜山惨事被告人撤去民に対する求刑を提示した。

イ・チュンヨン竜山4商工撤去民対策委員会委員長、懲役8年。彼の父、故イ・ サンニム氏の死を参酌した刑量だと検事は説明した。検事によれば、イ・チュ ンヨン氏は犯罪団体の首魁になっていた。検事はイ・チュンヨン氏が法廷闘争 を主導し、反省の兆しが全く見られないと、さらに強硬に刑量を求刑した。

求刑を聞いたイ・チュンヨン氏の夫人チョン・ヨンシン氏とお母さんのチョン・ ジェスク氏は、限りなく涙を流し始めた。金某8年、チョン某7年、チョ某 6年.... カンス・サンナ検事の口で他の被告人らの刑量も流れ出た。傍聴席の すすり泣きはさらに大きくなっていった。検察の求刑意見提示は一時間ほどだった。

まもなく弁護団の最後弁論が始まった。弁護団ではキム・ヒョンテ弁護士が最 終弁論をした。彼の声には震えがあった。彼は首が少し曲がっていた。キム・ ヒョンテ弁護士は当初この裁判の弁護人ではなかった。検察が警察指揮部捜査 記録3千ページを出さず、これに反発した弁護団が弁論を拒否して辞任した後、 新しく弁論を担当したのは1か月半ほど前だった。裁判が終るまで、捜査記録は 出てこなかった。平凡な入居者の座り込みに、警察特殊部隊の出動を最終決定 したキム・ソッキ前ソウル地方警察庁長官も証人にはついに出なかった。

キム・ヒョンテ弁護士はまずこの事件を資本の貪欲とそれに同調した国家と警 察、そして用役の関連関係と規定した。そして検察が発火原因だと主張する火 炎瓶の証拠能力を無力化させていった。彼は証人に立った特殊部隊員の名前を 一つ一つあげ、彼らの証言を想起させた。自分たちの同僚を作戦中に失った特 殊部隊員が撤去民に有利な証言をするはずがなかった。そんな特殊部隊員が、 捜査機関が作成した調書と違う証言をすることもあった。「権ソンチョル隊員 は、控訴事実にあるが火炎瓶を見ませんでした。金某隊員も、金某チーム長も、 シン某梯隊長も... 特殊部隊員の誰も火災が起きた2次進入の時、火炎瓶を投げ たのを見ませんでした。その上、隊員二人は1次進入の時も、撤去民は櫓の中に 火炎瓶を投げなかったと証言しました」

金弁護士は続いて「まだ櫓が完成していないのに一日や二日後に違法が予想さ れるから予め防ぐと言って特殊部隊投入を決めるのは適法ではない」と公務執 行の不法性を指摘した。彼の弁論は、犯罪が起きる前に犯罪を予測し、犯罪者 を断罪する先端治安システムを描写した映画、マイノリティリポートを連想さ せた。SF的な想像力で警察特殊部隊を投入したその映画と似ている。検察と警 察は一日にも7万台の車両が通過する漢江路の危険は当然予想されたので、特殊 部隊の早期投入は適法な公務執行だといった。

キム・ヒョンテ弁護士も一時間に近く最後弁論を続けた。彼は最後弁論の最後 に、この法廷で四回か五回の涙を見たと話した。彼は水を飲んだ。彼が311号法 廷でみた初の涙は警察の尋問の時だった。櫓の鎮圧に投入された特殊部隊のあ るチーム長は、故キム・ナムン警士と最後に対話した。「チーム長さんも来た んですね〜」死の櫓の階段に上がった彼が残した最後の言葉を伝え、彼は喉を つまらせた。彼は自身が撤去民への怒りで初めは偽りの陳述をしたと述べた。 それでも2次進入では火炎瓶を見ることができなかった。

二回目の涙も警察が見せた。証人席に立ったソウル地方警察庁所属の情報課の ある職員は、竜山惨事が一度も交渉できずに起きたことがつらいといった。彼 はその事件の自責感で、地方庁での一線警察署に自ら行ったと言って涙を流し た。三回目の涙は全撤連の事務局長だった。彼女は5年生の息子を持つ母だった。 彼女は「当初、建設資本が合意した賃貸住宅を履行していれば、私がまたこう して監獄にきたか」とし「私も息子を塾にやり、平凡に暮していただろう」と 資本と用役にやられた悲しみを法廷で吐き出した。そして被告人だった。被告 人の1人は自分の夫人が用役に殴り倒され、腹を足で踏まれる状況を語り、涙を 抑えられなかった。

キム・ヒョンテ弁護士は「無力な被告人だけでなくここにいる検察や裁判長様 も、こうして用役から不当な被害にあえば、じっとしていられず、櫓でなくて も何かせざるを得ないだろう」とし「寛大な処罰を望む」と弁論を終えた。

法廷にはすすり泣きの声が高まり始め、涙をのむ声が後に続いた。被告人の 最終陳述が続いた。

一番先に最終陳述をした被告人A氏は「法と制度が正しく立って、私たちのよう な撤去民がなくなってほしい」と話した。

B氏は「今回のことで亡くなった方に...」として言葉をつなげず、「あまりに も残念でつらい。またこんなことが起きないように制度的な方策を立ててほし い」と述べた。

C氏は「亡くなった方の冥福と遺族に慰労を差し上げる。惨事を防止する可能性 があったのに。どんなに苦しくて座り込みをしただろうか。急に公権力が入っ てきて、余裕と忍耐で交渉を配慮することも出来なかったのが残念だ。真実が 歪曲されて、とても残念だ。実体的真実と公正性を裁判長に望む。相手の立場 で考え、寛大な善処と容赦望む」と述べた。彼の陳述が終わると、長いため息 とすすり泣きが法廷のあちこちでさらに高まった。

D氏は「社会に物議をかもしたことを骨に凍みて反省する。椅子に座っている間、 小さな娘のことを考えた...」彼も涙を流した。座っていた被告人もすすり泣き 始めた。「裁判長様、善処を望むだけです。」

E氏は「私たちが1月19日、20日にやられたのは、公権力がつよく圧迫するのを 防御しただけだ。大きな事故がおきたが、私たち誤りとだけ言わないでくれ。 善処を願う」と話した。

イ・チュンヨン委員長は「私たちが望む世の中は、共に生きる世の中です。裁 判所が歴史に残る正しい判決を願う」と最終陳述をした。彼が一言一言、最終 陳述をしている時、傍聴席で被告人に近い右側二列目に座っていたお母さんチョ ン・ジェスク氏のなき声はさらに大きくなった。最前列に座っていたチョン・ ヨンシン氏はひざまずいてしくしく泣いた。法廷の中にもなき声とため息はさ らに大きくなった。

F氏は「事が起きて見ると、撤去民ではなかった時、家族とよく遊びに行き、趣 味生活を熱心にすれば良かったのに。撤去民なので貧しいが、子供たちをなだ めながらちゃんと育てた。お父さんは普通、子供がわき道にそれるなと殴るが、 ここにきて見たらお父さんに殴られたのではなく、お父さんが呼んだ叔父に多 くの撤去民が殴られたのは嘆かわしい」と述べた。

G氏は「明け方まで寝られず少し書いてきた」として3分ほどの短い陳述を読ん で行った。彼は「再開発過程で施工者、用役チンピラに暴行され、小さな子供 たちがつまみ出されるのを見て苦しかった。妻と小さな子供が傷を受けた」と し涙を流した。彼は「家族の生存権が破壊されるのを理解して耐えることがで きなかった」とし「自分の権利を放棄しないという覚悟で家族を守るため櫓に 追いやられた撤去民を人間として助けてくれと叫んだ」と最終陳述を続けた。 G氏は「全撤連に反政府団体の烙印をおす警察と検察、政治家が私たちに関心も 持たない時、同じ境遇の人々と連帯することの何が誤りか。イ・チュンヨン委 員長が『私たちの仲間をののしらないで下さい、私たちを助けられる人は仲間 しかいない』と言った言葉が胸に残っている」と続けた。涙を流しながらも、 静かに読み続ける彼の最終陳述に被告人席も傍聴席も涙の海になった。

彼は「警察が少しでも撤去民の呼び掛けに耳を傾けてくれたら、いや安全を考 えれば、この不幸な事態は起きなかっただろう。他人を害するために櫓に上がっ たのでなく、資本の貪欲に傷ついた家族を守るために上がった。今日裁判長様 が撤去民に最後の温情を施して私たちが家族を守れるように、日常に送れるよ うに、懇々と願う」と最終陳述を終えた。

H氏は「生きるために櫓に上がったのに、何がそんなに恐ろしかったのか、無慈 悲な公権力はたった22時間後に私たちの仲間を遺体にした。これから子供にこ の国は正直に暮しても暮せないと話すだろう。願うことがあるとすれば、全国 で開発が進められるが、開発地域で私たちののような境遇を体験せず、共に暮 せる国になることを願う。私たちの境遇をしっかり判断して、罪があれば罪を 問い、罪がなければ無罪を宣告して下さい」と最終陳述した。

この裁判の宣告公判は10月28日午後2時、ソウル中央地法311号法廷で開かれる。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-10-24 14:41:28 / Last modified on 2009-10-24 14:41:29 Copyright: Default

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