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政府、特殊雇用保護法案を国会に提出

労働権の一部を制限... 労働界・経営界どちらも反発

チェ・イニ記者 flyhigh@jinbo.net / 2007年06月15日15時06分

6年間、難しい議論を続けてきた特殊雇用労働者問題に対して政府は14日に 法案を提出した。

労働部は「6月5日に特殊形態勤労従事者対策推進委員会を開き、関係部署が 合意した特殊形態勤労従事者の保護などに関する法律案を用意し、14日にこの 法案を国会に提出した」と発表した。なお、政府が法案を提出する場合、 さらに3ケ月の時間が必要である点を考慮し、6月の臨時国会で審議できるよう に議員立法の形を取った。

政府案の骨子は、「勤労者と自営業者の中間領域に『特殊形態勤労従事者(特 殊雇用従事者)』という新しい領域を作り、彼らを労働関係法で一定水準の保 護をする」と要約できる。労働部は「この法の制定は、これまで労働関係法の 死角地帯に置かれていた特殊雇用従事者の権益保護に役に立つものと言える」 と自評し、「企業の負担を考えて特殊雇用従事者の要件を法で定めた後、最終 的な適用対象は大統領令で定めるとし、特殊雇用従事者には労組ではない団体 の結成権と協議権だけを与えた」と明らかにした。

大統領が決める職種に限り労働二権を保障

民主労総は、特殊雇用労働者の議論を要求してきた。政府案が提出できないた めに国会では議論できないというのではなく、民主労働党の段炳浩議員案、 ヨルリンウリ党のウ・ウォンシク議員案などについて審議を始めるよう主張して いた。

しかし今回の国会に提出された政府案は、特殊雇用労働者を労働者と認め労働 三権を付与するなどの労働法的保護が必要だと主張してきた労働界の要求に反 しているため、反発が予想される。

政府が新しく導入した概念である「特殊雇用従事者」の定義は「契約の形式に かかわらず勤労者と同様に労務を提供しているが、勤労基準法など労働関係法 が適用されずに保護する必要がある者として、 △主に一つの事業または事業場にその運営に必要な労務を常時的に提供して報酬により生活し、 △労務を提供するにあたり他人を使わないという要件を備えた者のうち大統領令で定める職種に従事する者」 となっている。

二つの要件をすべて備えた者とはいえ、該当職種が大統領令で特殊雇用とされ なければ法が適用されず、過度に厳格な面がある。労働部はこれに対して「労 働市場の現実を反映し、特殊雇用従事者の範囲をその時々に柔軟に決められる ようにするため」と付け加えた。

労働三権が保障される「みなし労働者」、ゴルフ場競技補助員だけに適用

政府が特殊形態勤労従事者のうち勤労者と見なして労働三権をすべて認めるのは、 △労務提供時間と場所および業務内容が事業主によって決定され △事業主から直間接の指揮監督を受ける場合 などの要件を備えた『みなし労働者』という規定を導入した。

政府はみなし労働者制度に対して「雇用形態の変化にもかかわらず、一度特殊 雇用従事者になれば、特殊雇用従事者として限定的な保護しか受けられなくな るという硬直性から脱するために、特殊雇用従事者の雇用形態が変わって勤労 者性を持てば、勤労者と見なすように柔軟性を高めた制度」と説明した。

こうした「みなし労働者」以外の特殊雇用従事者は、「労働組合ではない団体 の結成権」が認められる。集団行動権(スト権)を除く団結権と団体交渉権の2つ の権利だけを保障するという内容だ。

特殊雇用従事者が団体を結成する場合、従事者の過半数がその団体に属してい ることを証明しなければならず、事業主と協議する権限がある。紛争が発生し た時は労働委員会の調整と仲裁制度を経て、特殊形態勤労従事者委員会の仲裁 回付決定等により解決できるようにした。

スト権排除、貨物・ダンプ運転手の保護は遠く

「便法」だという一部の批判を甘受してまで政府が議員立法案という方式を使 い法案を推進するのは、「労働組合と使用者側の紛争を終息させるため」だと 説明されているが、その労働界と経営界は即刻反発した。

政府案では、労働組合を結成しストライキもできる特殊雇用従事者はゴルフ場 競技補助員ぐらいで、さらに労働二権が保障される特殊雇用従事者は、保険設 計士と学習誌教師などわずかでしかない。「特殊雇用労働者も労働者だ、労働 三権を保証しろ」と叫び続けてきた労働界の立場とは大きく異なる。トラック とダンプ運転手、バイク便運転手、アニメーター、介護人、代理運転手など、 その他の特殊雇用労働者は完全に除外された。

民主労総はこれまで特殊雇用労働者労働三権立法を要求するにあたり、政府案 がないことを理由に立法の議論を先送りしてきた国会を激しく糾弾し、特殊雇 用労働者の労働基本権争奪のための6月総力闘争を宣言した状態だ。民主労総 が「あれこれ言い訳をして特殊雇用労働者を裏切ってきた政府はいっそ議論か ら抜けたほうが良い」と、議員案を中心とする審議を主張していくらもたたな い時点で、要求にはるかに及ばない政府案を出したことにより、さらに大きな 反発を呼ぶ展望だ。

労働界「すべての特殊雇用労働者に労働三権を」
経営界「政府案は『便法』... 失業が増加する」

「特殊雇用従事者は労働者ではなく明らかに自営業者」とし、特殊雇用TFTに も参加しないなど、関連の議論を徹底的に排除してきた大韓商工会議所、全国 経済人連合会、韓国貿易協会、中小企業中央会、韓国経営者総協会の経済5団 体も即刻声明で反発した。

経営界は「政府は労使の立場が明確に対立する法案を強行処理するために政府 の法案ではなく議員立法の形式を借りて推進するのは、国会と国民との約束を 破る無責任な処置」とし「特殊形態勤労従事者に対する労働法的保護を骨子と するもので、関連産業の負担が増加するばかりか、従事者にとっては所得減少 と失業などの影響が出る」と主張した。

議員立法の形式を借りた政府案の発表直後に労働界と経営界から強い反発があっ たことで、6月の国会では特殊雇用労働者関連の議論が円滑に行われるかどう かわからない。時間がかかる法の施行まで混乱が続けば、盧武鉉政権の任期内 にまともな特殊雇用労働者の保護方案が成立する展望は暗くなった。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-06-17 00:46:23 / Last modified on 2007-06-17 00:46:24 Copyright: Default

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