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デパート労働者を監視する数百の目...CCTVと覆面監視団

[監視統制、崖っぷちの感情労働者](3)強要された笑い、デパート販売労働者

ユン・ジヨン記者 2013.11.17 20:26

1月と4月、ロッテデパートで働いていた販売労働者二人が続けて投身自殺した。 二人とも「仮売上』の圧迫に苦しみ、そのうち1人は解雇者だった。7月にも イーランドグループのNCデパートで働いていた販売労働者が自ら命を絶った。 「これ以上、デパートで働けない」という遺書を残して。

マスコミは「連鎖自殺」の容疑者に注目した。販売女子職員に仮売上を強要し、 監視と統制を日常化したデパートやテナントが第1の容疑者であった。労働者に 暴言を浴びせる、いわゆる「モンスター・カスタマー」も容疑線上に上がった。 だが、世論と警察は即座に容疑者の容疑を黙認した。第1の容疑者が迅速に 「セルフ改革案」を発表したからだ。

大型デパートが発表した「セルフ改革案」のおよその内容はこうだ。 「デパート-協力業者」間の契約書を作成する時に「甲」と「乙」の名称を 使わないということだ。明らかに言葉の遊びに過ぎないが、世論喚起には 役立った。世論が静かになるに従い、被害者に対する監視と統制はさらに 隠密になった。もう被害者は誰が本当の自分の「甲」なのかも知らないまま、 多くの監視の目に耐えなければならない。

彼女を見守る数百の目
CCTVと覆面監視で労働者監視、統制...「感情」まで評価

17年間、大型デパートで化粧品販売労働者として働くA氏。彼女は最近になって 空にも目があると信じている。それでずっと空に挨拶をする。人がいても、い なくても関係ない。彼女をひそかに見守っているのは本当の「人」の目ではなく、 デパートのあちこちに設置されたCCTVだからだ。

「最近『サービスライン』という制度ができました。デパートには『職員動線』 と『顧客動線』があって、職員が店の中に入る時に『顧客動線』に挨拶をする 制度です。サービスラインは金縁で表示され、その前にまっすぐ立って、空間 に向かって『こんにちは』と目礼で挨拶します。人がいなくても挨拶をしなけ ればなりません。CCTVがありますから。挨拶をするかどうか、摘発される時も あって、これを破った人のリストをチェックしたりもします」。

「理解できない制度」だと言うと、「私も初めは理解できませんでしたが、今 では適応して、あまり変ではない」と言う。ほとんどのデパートが施行しており、 CCTVという明らかな監視システムが作動しているため適応も早かった。

CCTVが彼らの日常を監視しているとすれば、ミステリーショッパーという 覆面監視団は、さらに具体的な彼らの感情と口調、行動を監視する。ミステリー ショッパーは、デパートやテナントが顧客を装った監視団を現場に送った後、 労働者の感情や口調、行動などを評価する制度だ。正しい姿勢と視線、言動、 話法、見送りなどの行動以外にも、「真心」のような感情の評価もする。

「いい点数がつけば幸いだが、もし点数が悪ければデパートの人事考課にマイ ナスになると聞きました。個人的にとても圧力を感じます。もし3回悪い点数に なると、そのデパートを退社しなければなりません。他にローテーションされ ます。特にデパートでは、職員のブラックリストを管理すると聞きました。点数 が悪くて退社すれば、またそのデパートに入ることができません」。

13年間デパートで販売労働者として働いた韓国資生堂労組のキム・ヨヌ委員長 も、何度も覆面監視団を経験した。キム委員長は「点数が悪ければ、サービス 教育をまた受けたり、職員の出勤時間に出入口に立って挨拶をさせたりもする。 ある所ではボランティアをさせたりもする」と説明した。

10月31日、労働環境健康研究所が発表した「デパート販売分野健康実態調査 最終報告書」によれば、調査対象労働者447人のうち89%(385人)が「会社が派遣 または雇用したモニター要員を経験したことがある」と答えた。

また約52%の回答者が覆面方式のモニターの後「評価点数が低い人の人格を冒涜 する措置があった」と答えた。約34%は「苛酷な人事考課があった」と説明し、 約62%は「個人評価の結果をチーム全体の責任にする状況が発生した」と明らか にした。

デパート労働者の財布まで狙うテナントとデパート
仮売上をあおる慣行...極度の監視と圧力

最近、大型デパートは契約書の「甲」と「乙」の名称をなくし、デパートと テナントの同等のパートナーシップを企てるという計画を発表した。だが 「同等のパートナーシップ」の機会は、二つの「甲」に踏み付けられている 「丙」には届かない。現在、デパート販売労働者の90%以上はテナントに所属 する職員で、デパートに派遣されて働いている。彼らの使用者はテナントだが、 監視と統制、指示、圧迫はデパートとテナントの両方からくる。

「私が働く店舗は相対的に売り上げが少ないところです。そのためデパートの 売り上げ圧力のストレスが激しいです。売り上げがないことを付随的なことを 利用してストレスを与えるのです。暇さえあればデパートのサービスマネジャー が写真を撮りながら歩き回ります。

職員は順番で食事、間食の時間を取ります。そのため一人で働かなければなら ない時間があります。その時に、もしデスク勤務(電算作業)をしていれば職員 が摘発します。1人勤務の時間にデスク勤務をせず、ただ前を見つめて働けとい うのです。サービスのための摘発なのか、摘発のための摘発かわかりません」。 (A氏)

「前は『1日売上』といって、毎日毎日デパートに売り上げを報告していました。 デパートはそれを分析した後、労働者に顧客数と売上額がどれほど減ったかを 圧力をかける手段として使います。社会的な問題になったので、最近は以前ほど 激しくはありません。しかし厳格に区域ごとにデパート担当管理者がいて、 売り上げの圧迫は相変らずです」。(キム・ヨヌ委員長)

デパートとテナントの売り上げの圧力は、労働者の「仮売上」をあおる。今年、 デパートの女子職員を続々と自殺に追い立てたのも、仮売上の圧力だった。 売り上げ低下の責任が労働者に転嫁される構造は慣行になっており、二つの 使用者から圧力を受ける労働者たちは、どうしようもなく数千万ウォンのカード 決済をしまくる。

「例えば、デパートや本社が売上額1億を目標にして、8千万ウォンしか売れな ければ、職員がいくらずつ出して埋めろと言います。笑い話でマネジャーにな ろうとすれば信用不良者にもなれないと話したりします。カードで決済したら ほとんどキャンセルをしますが、キャンセルが出来ないこともあります。最近 はそんなことはあまりないそうですが、衣類側ではまだこんなことが多いそう です」。(A氏)

「とても前からの構造です。私も最高2千万ウォンまで仮売上をしました。少な ければ10万ウォンから多ければ何千万ウォンまで仮売上をします。デパートと 本社の双方から圧力がかかるので、半分は自発的、半分は強制でするのです」。 (キム・ヨヌ委員長)

監視と統制は強くても...労働者の問題解決方法はない

監視と統制は強いが、まさに労働者の問題を解決しようとする使用者はいない。 モンスター・カスタマーの言語暴力、セクハラ、職業病などは、そのまま労働者 が耐えなければならない。

労働環境健康研究所の報告書によれば、デパート販売労働者の70%が、顧客から 人格冒涜発言を聞いた経験があり、45.9%は悪態などの暴言で苦しんだ。13.4% は顧客から身体の威嚇を受け、14.5%はセクハラ被害の経験があった。

だが被害を加えた顧客に法的責任を問うことを会社が支援したケースは3.8%に 過ぎない。54.3%の労働者はただ言葉で慰労を受けるだけだった。会社が「ただ 我慢しろ」というケースも21.8%に達した。「文句を言わず、とにかく顧客に 謝罪しろといった」という応答も18.1%であった。

「デパートにある相談室に行けと言います。しかし相談室の人はどうせ私たち を摘発するサービスマネジャーです。相談室の職員が発令されればまた私たち を摘発しにきます。あえてそこに行って話しても、改善の余地はなく、誰が話 したのかだけが露出するのです。いっそ外部から迎え入れれば信頼でもできま すが、皆自分たちの中で順番にしているので、行ったところで不利益を受ける だけです」。(A氏)

「多くはありませんが、悪性の顧客がいます。顧客の不注意でトラブルになっても 大声を出すのは普通で、悪口を言ったり製品を投げ、ある職員は横っ面を殴られた こともあります。男性が来てハンドマッサージをしてくれと言われても拒絶でき ません。ハンドマッサージの途中に感じが妙でも、対応する方法もありません。 何かの化粧品を直接顔に塗ってくれという男の人もいますが、やむを得ずします。

そんな顧客がくれば、デパートの保安に話はしまするが、保安チームもただ 見守る程度です。職員が自主的にデパートに助けを要請しても、特に助けには なりません。デパートは自分たちのイメージが傷つくことを嫌がって、対応は 消極的ですね。どんな状況でも、最後は私たちが自分で解決しなければならない 構造です」。(キム・ヨヌ委員長)

会社が配給したハイヒールを履いて10〜12時間の長時間労働に耐え忍ばなけれ ばならず、職業病にもかかる。キム・ヨヌ委員長はデパート販売職員の慢性的 な職業病の下肢静脈瘤を抱えている。行きたい時にトイレにも行けず、膀胱炎 にかかったり、骨盤が歪むこともよくある。

相当数の労働者が鬱病と自殺衝動、脱力などを体験する。労働環境健康研究所 がデパート販売労働者の憂鬱水準を調べた結果、心理相談が必要な集団の割合 は何と40%に達した。最近1年間で自殺衝動を感じた経験は33.6%で、9.3%は実際 に自殺を試みたことが明らかになった。業務で脱力を経験した場合も59.3%だった。

デパート販売労働者たちは、今年のような連鎖自殺の輪を断ち切るためには、 会社の過度な業務、強圧的な親切教育、顧客の暴力に対する会社側の積極的な 防御などを先行させなければと訴える。

顧客ストレスを解決するための企業次元の役割を問う質問に、労働者の20.5%は 「過度な業務量を減らさなければならない」と答え、19.5%は「覆面方式のモニ ターをなくさなければならない」と答えた。16.1%は「顧客からの暴力から逃げる 権利がほしい」と要求した。

キム・ヨヌ委員長は「会社は労働者の鬱病や業務環境などの問題に関し、言葉 では理解するというが、解決策や予防策は何もない」とし「何よりも具体的な 議論と対策が必要だ」と説明した。

また、労働環境健康研究所は「デパート従事者の感情労働と憂鬱水準などの 事項は、会社の過度な業務目標設定と権力型のいじめ、モニターなどとかなり 関係がある」とし「現行法により職務ストレス原因調査を行い、健康障害を 味わっている労働者の管理と支持が必要だ」と強調した。

この企画はニュースミン、ニュースセル、メディア忠清、蔚山ジャーナル、チャムセサン、チャムソリの共同企画です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-11-19 20:47:27 / Last modified on 2013-11-19 20:48:06 Copyright: Default

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