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複数労組の登場...20年の労組の『民主化』、一気に後退

[複数労組企画](6)役員任期延長、締結権削除など規約変更

ユン・ジヨン記者 2012.09.13 15:27

民主労組陣営の念願の事業だった『複数労組』が導入されてから1年。金属と 公共部門を筆頭に、現場には続々と企業労組の旗が立っている。複数労組導入 の趣旨だった『自律競争』の意味が面目を失うほど、競争もできずに短期間で 少数労組に転落する例も増えた。

複数労組の導入以後、民主労組陣営が非常事態になったのは、複数労組の趣旨 がおかしくなりはじめてからだ。労組間の自由な競争どころか、会社の支援や 『窓口単一化』という悪法が競争の出発点を妨害しているためだ。

さらに大きな問題は、短い間に民主労組を奪還した企業労組の民主性だ。最近 設立された複数労組は指導部の任期を延ばしたり、締結権を削除するなど労組 の民主性を後退させる様相を見せている。数十年間、労組の民主性を向上させ るために積み重ねてきた歴史が一発で後退し、労組は民主労組再建のために、 さらなる戦いを準備しなければならない状況に置かれた。

[出処:チャムセサン資料写真]

企業労組の『新労使文化』...20年前の労使関係への回帰

民主労組無力化の過程で生まれた第2労組は、民主労総の政治ストライキと産別 労組運動からの決別を宣言することで、『企業労組』のアイデンティティを打 ち出している。新しい労使文化創出のために、会社と協力、共生するという 『合理的労使関係』が核心だ。

マンド労働組合は、7月30日の発足宣言で「25年間、マンドを支配してきた 『87年式』の労働運動はその寿命が尽き、質的変化が不可避な局面に達したこ とを痛感した」とし「会社の経営と組合員の雇用安定の価値が相互に尊重され る、共生と協力の新しい労働文化が定着する契機になる」という。

ヴァレオ電装労組のチョン・ホンソプ委員長は労組を設立した時、民主労総の 闘争を『不法労働運動』と規定し「合理的労使関係を確立するために民主労総 も賛同するよう望む」と強調した。ユソン企業(株)労組も、活動理念として 『対話と妥協による共生的労使文化創出』を押し出し、綱領で『先進労使文化 創出』を指摘した。

だが、これらの企業労組が掲げる『新労使文化』が、87年体制を越え、新しい パラダイムを創出できるかは未知数だ。むしろ87年以後の労組の民主性と自主性 を向上させてきた『民主労組』の歴史性を後退させ、過去の労使関係に回帰す る可能性が高い。企業労組は役員の任期を延ばし、締結権条項を削除するなど、 これまでの労組の『民主性』を担保してきた規約をすべて後退させているためだ。

ヴァレオ電装労働組合とマンド労働組合、KEC労働組合は、これまで2年だった 労組役員の任期を3年に延長した。またヴァレオ電装とマンド、KEC、ユソンの 企業労組は、団体交渉後の『締結権』を削除したり、委員長の独自の権限に 縮小させた。

マンド労働組合は、『団体交渉および締結権』条項で「委員長は組合員のため、 使用者または使用者団体と交渉して団体協約を締結する権限を持つ」と明示した。

従来の金属労組マンド支部は『団体協約の締結』条項により、支部の団体協約 は組合員総会を経て委員長の承認で締結することになっている。組合員総会を 経ず、委員長だけに独自の締結権を委任すると、職権調印などの問題が発生 しかねないからだ。

ユソン企業、ヴァレオ電装、KECといった企業労組では、締結権条項そのものを 削除した。彼らは共通して『組合が団体交渉の当事者であり、委員長が交渉 委員長になる』という団体交渉権限だけを指摘している。

役員任期延長、締結権削除の傾向
「労組御用化、委員長の職権調印問題が発生する」

労働組合および労働関係調整法(労組法)によれば、労組役員の任期は3年を 超えないことになっている。また締結権は委員長の権限だと規定している。

だが、労組法による役員任期と委員長締結権限は、労組の民主性確立に大きな 障害になってきた。労組指導部は、3年の任期中に2回の団体協約と、3回の賃金 交渉をするため、指導部が御用化すると身軽な労組体質改善の着手が難しい。

特に、団体協約による締結権を委員長独自の権限とすることで、職権調印など の問題も発生した。だから民主労組陣営では87年の労働者大闘争以後、90年代 を経て、規約を通じ労組の民主性向上に力を注いできた。

金属労組労働研究院のアン・ジェウォン研究委員は「87年以前、韓国労総所属 の労組は、ほとんどが任期3年で、今も韓国労総所属労組の指導部の任期は3年」 とし「だが3年間の任期の間に指導者の御用化と職権調印などの問題が発生し始 め、民主労組を中心に90年代初めから任期を2年に縮めてきた」と説明した。

ある労働界の関係者も「労働組合の執行部は誰でも御用化するが、労働組合は そのまま維持されなければならないので、労組自身がすぐ正常化できるように 任期を2年に減らした」とし「複数労組施行後に生まれている親企業労組がまた 任期を3年に延ばすのは、3年という時間を稼いで、親企業的指向を強固にしよ うとする意図」と強調した。

組合員総投票による締結権条項は、労組民主性の核心だった。委員長の職権調印 を牽制し、労組内部のコミュニケーション体系の重要な装置として活用されて きたためだ。

アン・ジェウォン研究委員は「労働法上、団体協約の締結権は委員長にあるが、 90年代以後は民主労組を中心として組合員総会を開く伝統があった」として 「組合員総会を通じた締結権条項は、使用者側と戦って確保した慣行」と説明 した。

そのためすでに企業労組の内部では、締結権をめぐる内部対立が起きている。 金属労組ユソン企業の関係者は「賃金団体協議を説明するために組合員総会を 開いたが、指導部が組合員を脅迫し、組合員の多数が退場する事件が発生した」 とし「また、これまでは団体協約締結前に、組合員の賛否投票をするが、今回 は拡大幹部に全てを委任して問題になった」と明らかにした。

このように、複数労組施行前後に設立された第2労組は共通して『任期延長』と 『締結権削除』を主導し、少数労組に転落した既存労組の再建事業にも赤信号 が灯っている。

労働界の関係者は「委員長の職権調印は、会社の懐柔、脅迫で発生したが、今 は完全に資本が後ろで労組を操縦するようなものなので、組織の復元が容易で はない」とし「組合員が反発しても、会社が頑張っているので、これから現場 意見が通るのはさらに難しくなりそうだ」と憂慮した。

アン・ジェウォン研究委員は「ヴァレオマンドを始め、クァンジンサンゴン、 ユソン、KEC、マンドなどでも第2労組を中心とする類似の規約が作られている」 とし「これらの事業場はほとんどが創造コンサルティングの介入があった所で、 これも創造コンサルティングの作品である可能性が高い」と説明した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-09-15 01:42:40 / Last modified on 2012-09-15 01:42:40 Copyright: Default

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