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LNJ Logo プレカリアートユニオン:70歳を迎えた警備員のNさん、全社的な賃金改善を実現
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プレカリアートユニオンの清水直子です。

警備会社で働く組合員が、今年の春闘の団体交渉で、70歳以降の日当減額を廃止させ、月
1万円程度の賃上げを実現しました。
組合員Nさんの手記を紹介します。
非正規雇用でも1人からでも春闘の交渉は可能です。2026年の春闘に取り組みたい方は、
プレカリアートユニオンへご連絡ください。

【解決報告&組合員の手記】
70歳を迎えた警備員のNさん
25年春闘で日当500円減額を廃止させ
全社的な賃金改善を実現
https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2025/10/18/112133

 私は警備会社に勤務する警備員で、現場に立ち続けて19年になります。今年8月で7
0歳を迎えました。契約は6か月ごとの更新となる有期雇用、日給制。基本給と手当を合
わせた額が1勤務ごとに計算されます。

■70歳、現場の声を団交で形に
 この職場には、「70歳以上になったら、日給の基本給から500円を減額する」とい
う労働条件がありました。週5日勤務すると、1週間で2500円、1ヶ月で1万円以上
、同じように週5日働く70歳未満の人と差がついてしまいます。
 すでに70歳を超えた同僚からも「納得がいかない」といった声が上がっていました。

■なぜ減額されるのか?
 理由として考えられるのは、在職老齢年金制度への対応です。
 在職老齢年金制度は、老齢年金を受給している高齢者が、働いて賃金を得ている場合、
年金と賃金を合わせた額が一定の額(支給停止基準額)を超えると、老齢年金の報酬比例
部分が減額される仕組みです。年金財政を維持するためという合理性がありますが、高齢
者にとっては、年金が減額されることが働かない理由になります。会社としては、賃金を
少し下げる=時給単価を少し下げることにより、その分労働時間を長くする、という対応
を考えました。
 しかし、現在では、70歳以上でも健康で働ける人が増え、年金だけでは生活水準が低
下してしまう現実があり、70歳以上でも働きたい人が増えています。社会も「高齢者の
労働参加」を求めています。
 在職老齢年金制度でも、支給停止基準額が引き上げられ、現行制度では、70歳以上の
場合、年金と賃金を合わせた額が月額約50万円を超えると、超えた分の半額だけ老齢年
金の報酬比例部分が減額されるという制度になっています。
 そんな高収入の70歳は、少なくとも私の周囲の警備員の中には存在しません。
 それでも「70歳以上は一律に500円減額」という決まりが残っていました。

■春闘で団体交渉を申入れ
 私は今年3月、春闘の時期に組合を通して会社に団交を申入れました。その要求事項の
一つが、この「70歳以上減額規定」の廃止でした。
 会社に制度の目的を尋ねると、やはり年金制度への対応との回答。そこで「現行制度と
はそぐわないのだから廃止してほしい」と要求しました。回答は「検討します」。
 そして8月、会社から「70歳以上の者に対する500円減額を廃止する」との知らせ
が届きました。給与明細を確認すると、確かに減額はなくなっていました。現場で同僚に
も確認したところ、全員が同じ状況に。
 会社は公表を避けたようですが、実質的に全社で改善が行われたのです。
 静かな形ではありましたが、確実な成果です。

■現場から始める組合活動
 ここ数年、社会全体でも賃上げの動きが広がり、企業も「人手不足対策」として賃金改
善を容認してきています。
 いまは、現場の声を会社に届け、実際に変えていくチャンスの時期です。
 確かに、会社組織の中で、一人の従業員の声は小さいものです。
 しかし、労働組合という場を通じて会社と話し合えば、道は開けます。
 組合員一人ひとりが、自分の職場の現状に目を向け、声を届けること。
 それが次の改善につながる第一歩です。
 N(組合員)

Created by staff01. Last modified on 2025-10-18 12:18:33 Copyright: Default

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