

20日投・開票の参院選挙で、参政党と国民民主党が大幅に議席を伸ばしました。各メディアの事前の予測通りで驚きはありませんが、その重大性はいくら強調しても強調しすぎることはありません。
両党の躍進によって、日本の政治・社会の右傾化、戦争国家化は間違いなく加速します。外国人に対する規制・取り締まりの強化による排外主義、「核武装」志向を含む軍備増強、それらの基盤としての皇国思想の広がりが非常に危惧されます。
参政と国民民主は政治思想・政策的に近い関係にあります。
参政党の神谷宗幣代表自身、こう述べています。
「参議院の(国民民主党の)榛葉(賀津也)幹事長とは何度も話し合いをしているので、もし『話し合いをしましょう』ということであれば、そういう場を作る。(国民民主との)政策がすごく遠いとは思っていないので、そこを詰めていくことはできるのかな、ということは考えている」(20日のBS朝日の番組で=20日付朝日新聞デジタル)
両党の支持層にも類似性があります。
「朝日新聞が大阪大の三浦麻子教授と共同でおこなったネット意識調査で、参院選比例区は国民民主党に投票するつもりだと答えていた人の2割が、5月以降に(国民民主の候補者問題のトラブルなどがあって―私)投票先を参政党に変えていたことが分かった」(20日付朝日新聞デジタル)
もちろん躍進したとはいえ、参政と国民民主の議席だけではたかが知れています。しかし、両党が“右バネ”となり、自民党の排外主義・歴史修正主義が勢いを増すことが危惧されます。石破政権が参政党の主張に引きずられるように「外国人対策の新組織」(15日発足)をつくったことにすでにその兆候が表れています。
具体的には、弾圧法としてかつて葬られた「スパイ防止法」が息を吹き返し、成立する恐れがあります。自民党内では高市早苗氏らがその意向を示していましたが、今回の参院選で参政、国民民主両党が政策に挙げていました。
衆参両院で自民・公明の政権与党が過半数を割ったことで、新たな政権の枠組み(政党連立)が焦点になってきます。その際、参政、国民民主両党がキャスティングボードを握ることが予想されます。
両党が自民と新たな連立政権をつくるか、あるいは野党連立に加わるかは予断を許しませんが、いずれにしても両党の発言力が強まるのは必至です。
そしてなにより重大な両党の共通した特徴は、50代以下の青壮年層の支持者が多いことです。それにはSNSを駆使した政治・選挙活動が原動力になっています。このままでは次の衆院選挙でも両党が躍進する可能性は小さくないでしょう。
日本の政治・社会はきわめて重大な地点に立っています。加速する右傾化にどうやって歯止めをかけるのか―容易に答えは見出せません。