

渡部通信(6/6) :
明けない夜はない(314)<若者を再び戦場に送るな!(64)島
を捨てバッグ一つで島を去れと言うのか>
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本日(6月6日)午后、衆院議員会館の多目的ホールで
「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」の対政府交渉が行われ、
200名が参加しました。
政府側からは、内閣府、防衛相、経産省。、国交省、外務省、環境省から、
各10名前後(入れ替えも重複あり)来ていたと思います。
<質問・要請書>には、以下のようなことが書かれていました。
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・・・国会での十分な議論を経ない閣議決定による2022年安保三文書の改訂に加え、
平時有事を問わず自衛隊・海上保安庁が使用する特定利用空港・港湾、さらには道路まで
指定され、
ジュネーブ条約が求める軍民分離原則もないがしろにされています。
専守防衛がすでに有名無実化している中で進められている
現在の日本の軍事態勢づくりは、単に「中国からの防衛」を目的とするのではなく、
米国との共同による「対中国戦争態勢」、すなわち「中国への攻撃態勢」を
整備するために行われていると私たちは考えています。
米軍は日本と協力し、「第1列島線」を突破する軍事態勢と
能力の確立を目指しており、台湾はその戦略上の要衝です。
米国が台湾に軍事顧問団を配置し、
自衛隊も台湾軍との協力関係構築を進めています。
現在日本政府が巨額の予算を投じて進めている大軍拡は、
国民を守るためというよりも、「中国への攻撃、すなわち戦争態勢」
のためであると判断せざるを得ません。
また、日本政府が中国への戦争態勢を構築し、
米国を中心とするNATO諸国と共に、中国を仮想敵とし、
その近隣で頻繁に実施している合同軍事演習は、
日中平和友好条約第一条の相互尊重と平和共存の原則、
及び武力による威嚇をしないという条項に反します。
日本国憲法が条約の誠実な遵守を定めていること、
そして国務大臣らが憲法尊重擁護義務を
負っていることも改めて指摘いたします。
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ここに、今回の政府交渉の基本的な考えがまとめてあると思います。
そうして、以下の8つの柱ごとに、この間に起きてきている
具体的な事例について、多くの要求・質問が出されました。
【1、地域の緊張激化を招く軍事拠点設置の中止、
日中平和友好条約及び憲法との整合性に関すること】
【2、安保三文書と防衛費増大に関すること】
【3、新たな軍事拠点建設と住民への説明に関すること】
【4、長射程ミサイル配備計画に関すること】
【5、ミサイルの製造と保管に伴うリスクに関すること】
【6、弾薬庫問題に関すること】
【7、国民保護、避難(計画)に関すること】
【8、「特定利用空港・港湾・道路」に関すること】
いずれも、地域に根差した極めて具体的かつ切実な要求や質問でした。
しかし、ここではとても全部は紹介できませんので、
特に印象に残ったところについて【1】と【7】の二つだけ紹介します。
(ご容赦下さい)
【1】では、<要求>として、
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東アジア、殊に中国との緊張激化を招く自衛隊基地の強化・新設、ミサイル部隊の配備、
ミサイル弾薬庫の建設、民間施設の軍事利用などを中心とする新たな
軍事拠点の設置を直ちに中止することを求めます。
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と述べられていましたが、「回答」はありませんでした。
そこで、「沖西ネット」の参加者から、
・防衛庁は一刻もはやくミサイルを持ち帰ってください。
・「誰が緊張激化を作っているのか」
・「ワンシアターなどといって、中国の防衛ラインのそばまで行って
合同演習を繰り返している。中国はアメリカの近くまで行ってやってるのか」
・「アメリカ・日本などが戦争の危機を作り出しているのではないか。」
などの声が上がりました。
また、欠陥機オスプレイ配備強行を中止する要求も出されていましたが、
それに対する「回答」もありませんでした。
そして、広島・呉の「多機能な複合防衛拠点化」や「馬毛島」の滑走路建設、
さらには「長射程ミサイル配備計画」について、中止要請や質問が出されましたが、
「自治体と調整して」とはいうものの、「住民への説明会」については
やるとは言いませんでした。呉についても「市長は容認した」といい、
「住民説明会」には明確な回答はありませんでした。
25年度中の「長射程ミサイル」の配備予定地についても、
「どこにするか検討中だ」と述べるだけでした。
そこで、沖縄の方が、「知事は受け入れ反対と言っている。
それでも配置するつもりか」と聞いても、「検討中」としか答えませんでした。
【7】については、3+1の質問がありましたが、最初の質問は以下のようなものでした
。
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避難が長期にわたる場合に想定される生活支援、職業や学校の問題、医療体制の確保、
介護などの支援体制、経済補償の検討状況について説明してください。
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これに対しては次のような回答でした。
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1 就労支援に関して、個別の状況に応じて対応すべきものであるため
一概には申し上げられませんが、一般的には、「厚生労働省国民保護計画」に基づき、
雇用維持等の要請、被災者のための臨時職業相談の実施ハローワークに来所することが
困難な地域における巡回職業相談等の実施等、
早期再就職等の促進に向けた措置を講ずることが考えられます。
2 また、医療体制の確保に関しては、医師を確保した上で救護班を編成することとして
おり、
介護などの支援体制に関しては、関係団体と連携して、
避難者の受入施設等への介護職員等の応援派遣により支援を進めることとしています。
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ー
などと、一般的なことしか述べてありません。
これに対して、先島諸島の住民から、
「島を捨てバッグ一つで島を去れと言うのか。
島では毎日、あちこちで、畑はどうする、ペットはどうする、牛はどうする等などが
話題になっている。」
「沖縄本島の人たちはどうなるんだ。九州や山口は本当に大丈夫か。
佐世保ではホテルではなくドームに避難させるようだ。避難はしたくない。」
などの声が上がりました。
また、「武力攻撃事態が発生した場合というのはどういう場合に判断するのかか」
という質問には、「判断基準はむずかしい」と述べるだけでした。
以上からも明らかなように、政府は、
アメリカのヘグセス国防長官が2月29日に「日本は最前線に立つ」と述べ
中谷防衛大臣がそれに呼応したように、もはや住民の事など二の次なのです。
また、日本の人々がアメリカの「対中包囲網」の「台湾有事」の為に
戦争の最前線で犠牲になることも二の次なのです。
しかし、今回このようにして、
「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」の対政府交渉が行われ、
基本的な問題だけではなく、具体的に切実な多くの問題を政府に問いただしたことは
大きな前進であったと思います。
ある参加者は言いました。
「ここに私たち主権者の国民がおり、そちらに政府がいるんだ」、と。
これが一つの新たな出発点となって、
「草の根」からの全国的な反戦平和の運動を発展させることが
求められているのだと思います。
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渡部通信(6/10):明けない夜はない(315)<若者を再び戦場に送るな!(64)トラン
プのカリフォルニアへの軍隊派遣について>
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「アメリカ第一」を掲げるトランプ大統領は、
6月7日カリフォルニア州のロサンゼルスに州兵2000人の派遣を指示、
9日には海兵隊700人を派遣することも確認し、
ロサンゼルスでは現在大きな衝突が起きている。
カリフォルニア州のニューサム知事は、
「火薬に火をつけ違法行為を行った」
「独裁大統領の狂った幻想を実施した」
などと述べトランプを批判している。
(これに対しトランプは「知事は逮捕されるべきだ」と述べている。)
また、同州の民主党下院議員のディプ・ミン氏は、
「トランプ氏はルビコン川を渡り、独裁国家への道を歩もうとしている」
と述べているようだ。
トランプは最近では、コロンビア大学やハーバード大学などの対立も激化し、
蜜月だったマスク氏との対立も激化している。
また、国際的には、国連安保理(15か国)での決議案を、
アメリカだけが拒否権で反対し否決した。(6月4日)
6月15日にカナダで開かれるG7でも
「アメリカ第一」を掲げるため首脳声明が見送られるようだ。
このように、1月20日のトランプ就任以来、5か月弱になるが、
彼は内外共に大きな障害物にぶち当たりつつあるようだ。
私は、「明けない夜はない」(300、3月3日)<利根過ぎたる大将>
に以下のように書いた。
少し長いので恐縮ですが、参考までにお読みください。
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ところで、和辻哲郎の『日本倫理思想史』(1952年)の、
「第五章 後期武家時代における倫理思想」の
<第二章 戦乱の間に醸成せられた道義の観念>に、
『甲陽軍鑑』(甲州武士の「軍法」を解き明かした書)のことが紹介されている。
そこでは、「我国をほろぼし我家をやぶる大将」として、以下の四つの類型が述べられて
いる。
(1)馬鹿なる大将、或いは鈍過ぎたる大将
(2)利根過ぎたる大将
(3)臆病なる大将、或いは弱過ぎたる大将
(4)強過ぎたる大将
このうちの「(2)利根過ぎたる大将」には次のようなことが述べてあった。
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(それは)利害打算に鋭敏な大将のことである。・・この大将は、賢でもなければ剛でも
ない。
「大略がさつなるをもって、をごりやすうして、めりやすし」という風の人物である。
この性格は武士としては非常に大きい欠点だといはなくてはならない。
よき武士は好運に際しても驕らず、不幸に会ってもめいらない。
賢にして剛なるが故である。
が、利害打算に鋭敏であるということは、さらに一層大きい欠点、
即ち無慈悲な態度を導き出してくる。・・・侍たちもまた百姓を誅求し、
その困窮にかまわず取り立てようとする。・・
しかしそれのみではない。利害打算に鋭敏であるやうな大将は、
馬鹿大将と同じく、必ず自慢心を伴うものである。・・従って古今の名大将や
名人の仕形を用いないで、すべてを自分の独創によって仕出さうと思案する。
・・堂や宮を建立するのも「人みせの善根」に過ぎないのであるから、
人民を悩ますことを少しも意としない。
だから地下の分限者や町人などは、すぐに大将の心を見ぬいて、気に入るように持ちかけ
てくる。
・・やがて家中の有力な武士の家と縁組が出来る。
その背景によってその連中はだんだん威張りだしてくる。
・・家風はすでに町人化したのである。
・・・・あとには「よくよくの賢人、一両人ありて、各(おのおの)と付きあはねば、
その人終にその家を去る。」残った愚人どもは、
そのよき人が去った後にさへも、散々に悪くいふ。
かうして一家中、町人的形儀に譲歩しないものは、すべて抹殺されてしまふ。
これが利根過ぎたる大将のみづから作り出す結果なのである。
・・それを筆者は、家老より小者に至るまで「意地きたなくなり、
人をぬかんと存ずる、」という風に云ひ現わしている。
・・がこの箇所では著者はさらに念を入れて、
「よき大将」の姿を対照的に描き出している。
「惣別(総じて)能(よ)き御大将は、武辺の儀は申し及ばず、文有って慈悲深く、
行義能(よ)くて、常は柔なれども、いかり給ふ時は・・・威光つよし。」・・
「末代迄も名大将と名をよぶ国主に、無行儀なるは一人もましまさず。」
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これを読むと、トランプにそのまま当てはまると思われる。
今後、世界情勢がどう変化するかわからないが、
最終的にはトランプは「我国をほろぼし我家をやぶる大将」になり、
最後に述べてあるような人物が「よき大将」として残るのではないだろうか。
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また『甲陽軍鑑』には次のような言葉もあった。
「敵を誹(そし)るは、必ず弓矢ちと弱き家にての作法なり。」
これもトランプによくあてはまる言葉ではないだろうか。
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