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JR福知山線脱線事故から20年に当たっての声明/安全問題研究会 | ||||||
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黒鉄好@安全問題研究会です。
すでに報道されているとおり、2005年4月25日に発生したJR福知山線脱線事故から20年を迎えました。これに伴い、安全問題研究会が声明を発表しました。 当研究会公式サイトでも読むことができますが、念のため、こちらにも全文を掲載します。印刷に適したPDF版をご希望の方は、安全問題研究会公式サイト内の以下のURLからダウンロードしてください。 https://transportation.sakura.ne.jp/amagasaki-accident/250425amagasaki20y-comment.pdf ----------------------------------------------------- <安全問題研究会 声明> 公共交通「安全危機」の中で迎えた福知山線脱線事故20年 持続不可能なJR体制に別れを告げ、地域から鉄路再建を 乗客・乗務員合わせて107名の犠牲者を出したJR福知山線脱線事故から20年を迎えた。安全問題研究会は、犠牲者の冥福を改めてお祈りするとともに、心身の傷が癒えないまま今も回復過程にある多くの負傷者にも改めてお見舞いを申し上げる。 福知山線事故の起きた2005年は鉄道事故多発の年であった。福知山線事故から8か月後の12月にも、強風の中で羽越本線の列車が転覆し5人が貴い犠牲となった。この事故を最後に、乗客が犠牲となる鉄道事故がなく20年を経過したことは、この間の市民・労働者による鉄道安全への地道な取り組みによるものである。 だが、この20年間にも、日本の公共交通では大小様々な事故・トラブルがあった。その中でも最大のものは、26人が死亡・行方不明となった2022年4月の知床遊覧船事故である。それに次ぐのが、2011年5月に起きたJR北海道・石勝線での特急列車火災事故と、2024年1月、羽田空港におけるJAL機・海保機の衝突事故である。石勝線火災事故では、車掌から何の指示もないまま、乗客が自主的判断で列車から脱出した。羽田事故では、機体焼失前のギリギリのタイミングで乗客乗員全員が脱出に成功したが、海保機の5名が死亡した。いずれも乗客に死者を出さなかったのが奇跡であり、福知山線事故以降では最も重大局面だった。 JR北海道では、その後、函館本線大沼駅付近での貨物列車脱線事故やレール検査データの改ざんなどが相次いだ。最近も貨物列車の脱線事故、また線路閉鎖をしないまま保線作業が繰り返されていたことも明るみに出ている。会社の経営危機が安全要員の不足、ローカル線の廃止などの事態を連鎖的に引き起こしている。 2024年に入り、新幹線では重大事故が相次いだ。7月、東海道新幹線で保線車両同士が衝突する事故があった。東海道新幹線が、国鉄時代のリフレッシュ保線や天候不良以外の理由で丸1日、運休となるのは1964年の開業以来、初の異常事態だった。 東北新幹線では、2024年9月、併結運転中の「はやぶさ・こまち」の連結器が走行中に外れ、分離する事故が発生した。原因が究明できないまま、JR東日本は併結運転を再開したが、今年3月、「はやぶさ・こまち」の連結分離事故が再び発生した。東海道新幹線の開業から60年――安定した実績を誇ってきた新幹線で、これだけ短期間に、これだけの重大トラブルが続いたことはかつてなかった。 1つの大事故の前には、29の小さな事故と300のヒヤリ・ハットがある。昨年から新幹線で相次ぐトラブルは、来るべき大事故の明らかな予兆である。JRグループに対し、国がこのまま何の対策も講じなければ、新幹線で2〜3桁の死傷者を出す重大事故は、2020年代のうちに必ずや起きるであろう。 福知山線脱線事故以降の20年が私たちに突きつけた課題はすでに明らかである。コロナ禍で基礎体力を低下させたJRグループは、利益優先の民営化体制の下、ただでさえ不十分だった安全投資への意欲を完全に失ったように見える。市民・鉄道利用者・労働者のために、採算性を度外視して安全投資を可能とする新しい体制下に日本の鉄道を再編することが必要だ。 これと並んで、住民との協働の下、国・地方公共団体があるべき地域交通の姿とその中で鉄道が果たすべき役割を改めて位置付け、自動車偏重から鉄道を中心とする公共交通中心へ、交通政策を抜本的に転換することも重要である。2023年施行の「改定」地域公共交通活性化再生法ではこのような抜本的転換には対応できない。国鉄分割民営化の責任を不問に付したまま、その微修正で危機を乗り切ろうとする弥縫策に過ぎないからである。 1949年に発足した旧国鉄は、1987年に分割民営化されるまで38年間の歴史だった。そこから今日まで、JRグループも38年が経過した。国鉄と同じ歳月を経たJR体制に「判決」を下すときが来ている。当研究会は、東日本・東海・西日本と、北海道・四国との間に著しい格差を生むのみならず、大都市と地方の格差を再生産し、地方を持続不可能に追い込んだJR7社体制に対し「退場」を宣告したいと考える。 とりわけ、鉄道事業体として持続不可能であることが明らかなJR北海道は直ちに改革が必要だ。当研究会は、すでに再国有化などいくつかの再建案を公表している。 福知山線脱線事故の刑事裁判では、神戸地検によって起訴されたJR西日本安全対策部長(当時)と、検察審査会の議決によって強制起訴された歴代3社長がいずれも無罪となり、誰ひとり責任を問われなかった。これを教訓に、遺族の多くが「組織罰」制度の創設を求めている。英国では、企業犯罪に上限のない罰金刑を科することができる「法人故殺法」制定後、公共交通の事故が3割減ったとする報告もある。一度でも事故や犯罪を起こせば事業継続が不可能になるとの危機感を持たせ、企業に自主的な取り組みを促す制度の必要性は日本でも明らかとなっている。当研究会は現在、「組織犯罪処罰法案」(仮称)の決定に向け準備作業を行っている。 事故から20年を経過したが、今なお心身の傷が癒えない遺族・負傷者は少なくない。この8月には、日航123便墜落事故からも40年の節目を迎える。当研究会は、これらの課題実現のため、今後もあらゆる努力を続ける。 2025年4月25日 安全問題研究会 Created by zad25714. Last modified on 2025-04-29 01:16:03 Copyright: Default |