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パレスチナの人びとの苦しみは停戦合意では終わりません
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浅井健治@週刊MDS編集部です。

イスラエルとハマスとの停戦合意が発表されました。ガザの路上で歓喜する人びとの写真
を見て、わたしはうれしさよりも、なぜこんなにも犠牲者を生んだ後でなければ停戦にこ
ぎつけられなかったのかと悔しさ、申し訳なさのほうが先に立ってしまいます。

パレスチナの人びとの苦しみは停戦合意では終わりません。以下、おととし10月以降のさ
まざまな抗議アクションで聞いた声を週刊MDSバックナンバーから抜き書きしました。

−ここから−

▼2023年12月22日 1802号
 12月10日、国会正門前。パレスチナと日本がルーツの女性は「私の夢は祖父母が生きて
いる間に祖国が解放されること。私たちは単なる停戦を望んでいるのではない。土地に戻
る権利を望んでいる」。
 「占領やめろ」「入植やめろ」「川からパレスチナ/海までパレスチナ」のコールが響
き渡った。

▼2024年1月26日 1806号
 1月13日、イスラエル大使館前。ガザに友達がいるというザックさんが訴える。「友達
が暮らす難民キャンプが先週、イスラエルに空爆された。友達の姪は僕の電話に『日本の
みなさん、ありがとう』。ここでの行動はガザに届いている」。続けて「甥っ子は『ガザ
ってどこ? もうないよ。すべてが破壊された』と。この言葉を脳裏に刻んでほしい。僕
たちの要求は停戦に限ってはいけない。その後のことを考えないといけない。空爆が止ま
っても抗議をやめては絶対だめ。それ以上の強さで叫び続けなければならない。パレスチ
ナが自由になるまで」。
 雪が舞い始める中、「川から海まで自由を求めて」と繰り返し叫んだ。

▼2024年4月19日 1818号
 4月7日、首相官邸前。ナクバ(大災厄)生存者の孫娘で、パレスチナと日本の血を引く
タチヤナさんがマイクをとる。「6か月連続で毎日85人の子どもたちが殺されている。日
本は即時停戦を求める国連人権理事会決議に棄権した。私たちの政府が、日本のロボット
が作ったミサイルがパレスチナ人の肌を焼いている…」と話したところで30秒以上絶句。
涙を拭いつつ「この事実に私は強い怒りと恥を感じる」と続けた。
 <パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会の皆本夏樹さんは「76年以上続い
ている占領が止まらない限り、私たちは誰も自由ではない。停戦が終わりではない。パレ
スチナ解放まで声を上げましょう」と呼びかけた。

▼2024年5月31日 1823号
 5月15日、ナクバの日。ガザ出身のハニンさんが訴える。「ジェノサイドは2023年10月7
日に始まったのではない。重武装したユダヤ人民兵がパレスチナ人を虐殺し、私たちの歴
史を抹消するため村を破壊し、土地を奪い始めた1948年5月15日以前にさかのぼる。
私たちが『川から海まで』と叫ぶのは、停戦だけではなく歴史的パレスチナ全土の占領の
終結を求めているから。この要求には、退去を強いられたパレスチナ人全員の帰還の権利
も含まれる」
 ナクバ生存者の証言が朗読された。「私は必ず村に戻る。私でなければ私の息子、息子
でなければ孫が戻る。1948年の出来事を集団の記憶から消してはならない。初期のシ
オニストは『この土地は無人の土地だ』と言ったが、私たちには誰も消すことのできない
文化と遺産がある」

▼2024年4月12日 1817号
 3月30日、土地の日。日本に暮らすパレスチナ人が次々にマイクをとる。「今はラマダ
ン(断食月)。ガザの人びとは断食後の夜、どのように食事すればいいのか。食べ物も飲
み物もない。あるのは死体、死の匂いだけ」「シオニストの狙いはパレスチナ人を抹消す
ること。みなさんがここでパレスチナの旗を掲げ、声を上げているのは、連帯の表明であ
るだけでなくレジスタンスの表明だと伝えたい」「48年前の出来事は単なる遠い記憶では
ない。パレスチナ人に対し現在も行われている残虐行為をはっきりと想起させる。植民地
化とアパルトヘイトを続けるイスラエルにボイコット・投資撤退・制裁を」
 日本語で「平和の前にパレスチナ解放」「川から海まで自由を求めて」、英語で韻を踏
みながら"From the River to the Sea, Palestine will be free! From the Sea to the 
River, Palestine will live forever! Gaza, Gaza, don't you cry, Palestine will 
never die!"のコールが力強く響きわたった。

−ここまで−

パレスチナ連帯の闘いは停戦で終わりではありません。イスラエルによる占領・入植者植
民地主義を終わらせ、パレスチナ"難民"の帰還の権利、パレスチナ人民の自己決定権が実
現されるまで、BDS(ボイコット・投資撤退・制裁)運動をはじめとした闘いをこれま
で以上に広げ、強めなければなりません。

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