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LNJ Logo 6月9日:関生大津2次コンプライアンス事件、控訴棄却の不当判決
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企業の法違反を摘発する活動が「犯罪」であって良いわけがない!

愛知連帯ユニオン

 大津2次事件は、昨年2月6日大津地裁1審判決で、コンプライアンスビラを配布した7人が無罪(確定)になる一方、現場活動に従事した2人は、恐喝未遂・威力業務妨害で懲役2年6月と懲役1年6月(共に執行猶予6月)の判決が出ていました。この日の大阪高裁・坪井祐子裁判長は、控訴した2人について一審判決をただただ追認、関西生コン支部の産業政策運動を全否定してこれを「犯罪」と決めつけたのです。許すことができない不当判決です。

100名を超える支援が駆けつける

 大阪高裁前の公園には正午を期して関西圏と東海の支援が続々と結集、12:40には裁判所を周回するデモを敢行、その後、公園に戻って前段集会が行われました。大阪全労協の南さんの司会、反弾圧大阪実行委員会・全港湾大阪の小林委員長の挨拶で始まり、京滋実行委員会の服部さん、「東海の会」の石田さん、教育合同の高田さん、そして郵政ユニオン、なかまユニオン、関西合同労組、ケアワーカーズユニオン、京都ユニオン、大阪全労協、全港湾大阪、全日建ゼネラル支部、関生支部・湯川委員長と発言が続きました。発言者は口々に、「事件になることがおかしい。今日は無罪しかありえない。」「企業のコンプライアンス違反と公益通報への報復が社会問題になる中、労組のコンプライアンス摘発活動を犯罪にしていいのか」「今日、裁かれるのは裁判体の方だ」と指摘しました。  13:40からの85名の傍聴抽選に並ぶ列は100人を超え、14:30からの201大法廷での判決に臨みました。

関西生コン支部の産業政策運動を「犯罪」として全否定した判決

 関生支部のコンプライアンス活動は、安全対策コストを節約して生コンを安売りするアウトサイダー企業の法違反を規制し、中小企業が秩序をもって協同組合に結集することを促し、ゼネコン企業に安売り競争をしなくてすむようにし、もって労働者の賃金と労働条件の向上のための源資を確保する正当な労働組合活動です。逆に、中小企業が生産コストを価格に転嫁できずに大資本に搾取されていれば、日本の70%の労働者が勤務する中小企業では必要な賃上げもできないことは、今日、誰の目にも明らかな事実です。

 ところが、この日、坪井祐子裁判長は、関生支部のコンプライアンス活動は施主・ゼネコンとの契約をアウト業者から協同組合業者に変更させることを目的としたものとして、「ゼネコン・施主は使用者ではない」「労働者の経済的地位の向上とは関係ない」等と無理解を曝け出し、労組法1条2項刑事免責の適用を否定したのでした。

 裁判では、建設現場ごとに、A元組合員はフジタ事件の「恐喝未遂の共犯」、O組合員はフジタ事件・日建事件・東横イン事件の「恐喝未遂と威力業務妨害の共犯」とされていました。この日の判決は、「たとえ個別の活動が脅迫とは言えない穏当なものであっても、関生支部の活動が一連一体のものとして契約の変更を威力をもって迫るものであった」と一審判決を追認したのでした。

契約の変更を求めることは「契約の自由を侵害する脅迫」なのか?

 坪井祐子裁判長は、建設現場で法違反があったことを指摘するビラを撒く行為は「常識的に考えて」、ゼネコン・施主がその影響を心配する等して契約の自由を侵害するものとなると指摘する。 読者の皆さんに是非考えてもらいたいが、例えば私たちがイスラエルのパレスチナでの暴虐を指摘し、イスラエル企業との取引やそれへの投資をしないことを迫る表現行為は「経営の自由を侵害するもの」として許されないと言えるのか。

一審判決維持の結論ありきだった控訴審の訴訟指揮

 判決終了後の報告集会で、弁護士が判決を解説、中井弁護士は「判決は一連一体がキーワード。個別の事実を全く無視している。労組法の刑事免責は使用者に当たらないと切り捨てた。コンプライアンスの指摘に中に事実でないものもあった等と言っていたが、そのようなものはどこにあったのかの指摘もない」、太田弁護士は「控訴審になってから一切の証拠の採用を拒否し、一審護持という結論が先にあることが見えていた。我々が書いた控訴状を全く読んでいない」と発言、上告の手続きに入ったことを報告しました。

 続いて湯川委員長が、「訴訟指揮から予想された不当判決だが、怒りしかない。労働法は知らないという裁判官が労働法学者の意見書を証拠採用しない。民事の大阪高裁の星山決定は多数で押しかけるのでなければコンプライアンス活動は違法ではないとした。何故、刑事で違法になるのか。裁判官がみな悪い人だとは思わないが、司法はくじのように当たり外れでいいのか」と述べました。

 最後に共闘の朝鮮総連大阪、反原発若狭の会、Xバンドレーダー基地反対京都連絡会が発言、「これは労働組合だけに問題ではない」「関生支部が以前のような規模の組織に戻るまで共に闘う」と熱いエールを頂きました。

注)Tansa報道より
坪井裁判長は、どのような法律家なのだろうか。
京都大学卒。刑事裁判を主に担当してきた。大津地裁や京都地裁、大阪地裁などで任官している。大阪地裁では部総括判事を務めた。 大津地裁で裁判長を務めていた際は、後に冤罪と判明する事件の再審請求を拒んだことがあった。
2003年に滋賀県内で起きた、「湖東記念病院事件」だ。看護助手が、患者の人工呼吸器のチューブを引き抜き殺害させた罪で、懲役12年が確定。出所後に再審が始まり、2020年に無罪が確定する。 しかし当初、再審が認められなかった。2010年9月に大津地裁に再審を申し立てたが、請求は棄却されたのだ。その再審請求審で裁判長を務めたのが、坪井氏だ。


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