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沖縄県民大会同日「米兵性暴力事件に抗議する東京行動」女性たちの発言
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浅井健治@週刊MDS編集部です。

きのう新宿駅南口で行われた「沖縄・相次ぐ米兵による性暴力事件に抗議し基地撤去を求
める東京行動」での発言のいくつかを文字起こししました。(文責:浅井)

◎「沖縄県民大会」実行委員会共同代表の高良沙哉(たから・さちか)さん(事前収録した
メッセージ)

東京での同時開催、ありがとうございます。

昨年12月、16歳未満の少女が米兵に誘拐され性的暴行を受ける事件が発生した。沖縄では
戦後も日本復帰後も、人間の尊厳を著しく踏みにじる軍事性暴力が起こり続けている。
1995年、「少女暴行」事件が起きた。あのとき、戦時中・米軍占領下・日本復帰後も起こり
続ける理不尽な軍事性暴力に沖縄じゅうが怒りに震えた。あれから今年で29年になるが、
沖縄の私たちの置かれた状況は変わらない。

非暴力平和主義を規定し、平和に生きる権利を掲げる日本国憲法の下では本来、軍事性暴
力など許されないはずだ。このような暴力が発生しない、子どもたちが安心して生活でき
る社会をつくっていくことは、沖縄そして日本社会の重要な目的の一つだ。

今回の事件では、被害者やご家族の勇気ある申し出にもかかわらず、約半年間、沖縄県・
沖縄県民に事件が隠されていた。今月13日、加害米兵に有罪判決が出されたが、少女の精
神的苦痛は計り知れない。事件が隠蔽され、適切に県に通報されなかったために、従来は
被害者に届いていた保護や救済がこの事件では届かなかったかもしれない。被害者のプラ
イバシーの保護と県への通報体制の適切な運用の両立は可能であり、当然だ。少女に精神
的身体的ケア・支援が届いていてほしいと願っている。

事件隠蔽によって再発防止策をとることもできず、後に4件も米兵による性暴力事件が発
生していた。強く抗議したい。また、今回の事件では被疑者の身柄は米軍が確保し、日本
側は身柄引き渡しを求めていない。95年の少女暴行事件を契機とした身柄引き渡しに関す
る日米地位協定の運用改善すら守られていない。地位協定による特権的な地位の付与は、
米兵による犯罪や粗暴な行為が行われ続ける背景になっているのではないか。地域協定の
不平等条項による不利益は、沖縄に多く生じる。明文改正を強く求める。

沖縄県議会はこの事件を受けて今年7月、抗議決議と意見書を全会一致で可決している。
そこでは四つのことが求められた。

一つは、被害者への謝罪と丁寧な精神的ケアおよび完全な補償を行うこと。二つ目に、被
害者のプライバシー保護と二次被害の防止を徹底すること。三つ目には、事件発生時の県
・市町村等の自治体への速やかな情報提供を確実に行うこと。四つ目に、米軍構成員等を
特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定を行うこと。

沖縄で本日開催されている県民大会は、この四つの要望が速やかに実現されるよう強く要
求するものだ。日米地位協定は日本とアメリカ合衆国との間の協定だ。その不利益は沖縄
に多く降りかかっているが、日本全体に影響のある事柄だ。ぜひ沖縄で沸き起こっている
声に共感し、日本の他の地域でも次々に地位協定改定や軍事性暴力に対する抵抗の声が上
がってほしいと思っている。

民衆の力が結集することで社会を変えることができると信じている。過去たびたび起こっ
てきた米兵による性的暴行事件も思い起こし、「あなたは悪くない。私たちはあなたの味
方だ」と伝え続けたいと思う。これ以上、誰も軍事性暴力の危険の犠牲にしてはいけない
。強く抗議の意思を示す。

再度申し上げます。本日は沖縄における県民大会に連帯して抗議のためにお集まりいただ
き、まことにありがとうございました。

◎宜野湾市出身の明有希子(あきら・ゆきこ)さん

きょうは沖縄との同日開催に参加いただき、意味のある行動だと思う。ありがとうござい
ます。

みなさんはやがて来るクリスマスをどう過ごしますか。昨年のクリスマスイブ、沖縄本島
中部の公園で嘉手納基地所属の米空軍兵士が十代の少女に「寒いから車の中で話さない?
」と声をかけ、車で基地の外にある自宅に連れ込み、性的暴行を行った。これから先、彼
女がクリスマス・シーズンに事件のことを思い出し、フラッシュバックするのではないか
と考えると、想像を絶する。

相手は人を殺す訓練を受けている兵士だ。断ると逆上される、抵抗したら殺される、と思
いませんか。現にこれまで命を落とした事件がある。どうして守ることができなかったの
か。どうしてそんな米兵と同じ土地で暮らさなければいけないのか。悔しさと悲しさで胸
が張り裂けそうになる。ずっと頭の中でぐるぐる思い続けている。

1995年、沖縄で米兵三人による小学生暴行事件があった。私は当時17歳で、集会に参加し
た。高校生ながら参加した会場は悲しくてつらくて、怒りで肌が焼かれるのではないかと
思ったぐらい、熱量は17歳の私にも伝わった。あれから29年。私は小学生の子を持つ親に
なり、まさかこうして同じ事件で新宿にて声を上げるとは想像しなかった。

沖縄戦から80年、何も変わらずただただ月日だけが過ぎ、私の前には押しつけられた米軍
基地という負の遺産が形を変えて暴力的に居座り、いつまでも住民が米軍基地があるが故
の事件・事故で命そのものを落としたり危ぶめたりする「魂の殺人」も起こる今日、いつま
で沖縄を犠牲にし続けるのだろうか。あとどれだけの人が犠牲になれば動くのだろうか。
そう思わずにはいられない。

いま本土にいる私は、少なくとも米兵による事件・事故に巻き込まれることに沖縄より遭
遇しない疑似的平和を享受していることで生活している。米軍基地がもたらすあらゆる公
害がない生活、沖縄とあまりにも違う生活をしていることに申し訳なく、それと同時に、
沖縄に戻ったらどうやって娘を米兵による事件・事故から守ればいいのだろうと考えずに
はいられない。

20万人もが命を落とした沖縄戦から80年が経とうしている今、米軍基地が70%も押しつけ
られた結果、米軍による事件・事故が毎年増加している。あとどれだけの被害者を出せば
沖縄の基地はなくなるのだろうか。

沖縄では「〇〇かもしれない」がとても多い。私が襲われていたかもしれない。家に侵入
してきたかもしれない。飲酒運転事故に巻き込まれていたかもしれない。強盗に遭ったか
もしれない。これはすべて米軍基地を過重負担し、米兵による事件・事故が毎週末という
ぐらいに起きるのが当たり前の日常があるからだ。

本土のみなさん、ボールはここ本土にある。これ以上「〇〇かもしれない」を沖縄に強い
ず、どうか本土だからできる行動を起こしてください。自分だったら、と想像力を働かせ
て現実を見てください。沖縄ごと、沖縄の事件・事故ではない。諸悪の根源の日米地位協
定を変えるためにも、本土が自分たちのこと、責任としてボールを動かしてください。

米軍基地があるが故に起きた。基地がなければ誰も被害者にはならなかった。被害者は何
も悪くない。次の被害者を出したくない。過去に事故に巻き込まれた人のために、声を上
げられない人のために、娘のために、そしていつかこのような行動や集会がなくなるため
に、私は声を上げていきたい。

◎うるま市出身の平安名流華(へいあんな・るか)さん

1975年4月、金武村(現金武町)で米兵が海水浴に来ていた中学生二人を暴行。1984年10月
、沖縄市で米兵三人が学校帰りの高校生をナイフで脅し、公園内で暴行。1985年10月、女
性を車で拉致し暴行を加えた米兵二人を女性暴行の疑いで現行犯逮捕。

1990年8月、沖縄市で女性が車を走らせると後部座席に潜んでいた米兵に暴行される。
1995年9月、沖縄本島北部で米兵三人が少女を暴行。2000年3月、米海兵隊員が知人の米兵
と交際中の日本人女性を基地の兵舎内で暴行。

2000年7月、民家に侵入し、寝ていた女子中学生に覆いかぶさった米兵を現行犯逮捕。
2001年6月、北谷町で米空軍軍曹が女性を暴行。2004年10月、本島中部の民家で女性に乱
暴し、暴行と住居侵入の疑いで米軍属を逮捕。

2005年7月、本島中部の小学生の胸を触り、米空軍二等軍曹を逮捕。2008年2月、海兵隊員
が女子中学生を暴行。2012年10月、沖縄市で米海軍兵二人が女性を暴行。

2016年4月、本島中部でウォーキング中の女性が米軍属の男によって殺害される。この事
件は私の近所で起きた。私の一つ上の女性だった。私だったかもしれない。2019年4月、
米兵が北谷町で女性を殺害。2021年7月、女性に性的暴行を加えようとした米軍属を強制
性交等未遂で逮捕。

2021年10月、米兵が帰宅途中の女性を車内に連れ込み、乱暴しようとして怪我を負わせた
。2023年10月、不同意性交等容疑で米軍属の男を逮捕。2024年1月、路上で女性にみだら
な行為をしたとして不同意性交容疑で米兵逮捕。

沖縄の米兵による性犯罪は分かっているだけで1000件以上。分かっているだけで、です。
あなたが防衛という言葉を口にしたとき、これらの事件を思い出してください。防衛の名
の下に犠牲になったこの人たちの顔や名前を思い浮かべてください。

沖縄は防衛のためにレイプが起きても仕方がない場所なのか。沖縄は防衛のために犠牲に
なってもいい場所なのか。沖縄は戦争が起きてもしょうがない場所なのか。あなたたちに
は沖縄の空を飛ぶ戦闘機の音が防衛の音に聞こえるのか。私には人を殺すための殺人の音
にしか聞こえない。沖縄は日本本土の防衛のためにいつまで諦めなきゃいけないのか。私
はただただ本来あったはずの安全で静かに暮らせる沖縄を取り戻したい。私が知らないけ
ど本来はあったはずの安全な沖縄を返してください。

そのためには、いま新宿駅の前を歩いているみなさん、私の話を聞いているみなさん、基
地の被害を免れているみなさん、あなたたちの意識が変わらなければいけない。あなたた
ちが沖縄に基地を押しつけている自覚を持ってください。持つだけじゃなくて行動を起こ
してください。

いつまでウチナーンチュに表に立たせるのか。いつまでウチナーンチュに怒らせるのか。
いつまでウチナーンチュにこの話をさせるのか。あなたたちが変えてください。これを伝
えたかったので私はいま新宿駅に立っている。いま東京に立ってこうやって話をしている
。これをなかったことにしないのもあなたたちだ。なかったことにしないでください。

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