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日本共産党に今必要なものは何か

2024年01月20日 | 日本共産党
   

 日本共産党の第29回党大会が開かれ、志位和夫氏に代わって田村智子氏が新委員長に選出されました。メディアは一様に「イメージアップを図った」と論評しています。しかし、共産党にいま必要なのはイメージアップではありません。

 政党の生命は政策とその実践です。共産党にいま切実に求められているのは、重要政策とその実践の立て直しです。その中心は次の3点です。

 第1に、天皇制について。

 共産党は「天皇制反対」の旗を降ろしてはいませんが、その廃止は「将来国民的合意によって」としました。これは当面は天皇制を容認するというものです。
 さらに問題なのは、共産党が実践行動において天皇制に順応する行動をとっていることです。

 機関紙「しんぶん赤旗」は1面の日付に元号表記を復活させました(2017年4月1日付から)。さらに重大なのは、かつては憲法違反だと批判していた、天皇臨席の国会開会式への出席に踏み切ったことです(2016年1月4日の通常国会開会式から)。志位氏は出席して天皇に頭を下げることさえしました(写真右)。

 第2に、自衛隊・日米安保条約について。

 これも共産党は公式には「自衛隊違憲・日米安保条約廃棄」の政策は下ろしていません。しかし、今では「自衛隊の活用」を主張してその存在を容認し、軍事費膨張を「人を殺す予算」と正当に批判した政策委員長(藤野保史氏=当時)を更迭(2016年6月)するなど、自衛隊批判は影を潜めています。諸悪の根源である日米安保条約=対米従属の軍事同盟についても、国政選挙はじめ各種選挙でその「廃棄」を主張することは控えています。

 第3に、野党共闘について。

 他党との共闘は必要です。しかし、それは政策の一致が大前提であり、その一致点をどこに求めるかが野党共闘の肝です。

 共産党は立憲民主との共闘を追求するあまり、肝心の政策を棚上げしてきました。たとえば、2022年の参院選に際して市民連合の仲介で交わされた「政策要望」(22年5月9日発表)には、「安保法制の廃止」どころか、前年の衆院選挙での市民連合との「共通政策」(21年9月8日発表)にあった「安保法制の違憲部分を廃止」の文言すらなくなりました(22年6月24日のブログ参照)。

 志位氏は今回の党大会の冒頭、「日本の政治を変える道は、根本的には共闘しかありません」(16日付「しんぶん赤旗」)と述べました(写真中)。しかし共産党が志位氏の下ですすめた「共闘」は、「日本の政治を変える」のではなく、立憲民主などに合わせて共産党の重要政策を実質的に変えるものになっていると言わざるをえません。

 こうした誤った「共闘」路線の背景には、志位氏と小沢一郎氏(元自民党幹事長)の親密な関係があります。国会開会式への出席・天皇制の容認も、小沢氏が進言したと自身が雑誌(「月刊マスコミ市民」2015年12月号)で公言しています(23年7月28日のブログ参照)。

 党内で自由な議論を行えるよう組織のありかたを再検討することはもちろん重要です。しかし、そうした組織改革はそれ自体が自己目的ではなく、活発な党内論議を行うためにこそ必要なはずです。
 政策・実践、組織原則(「民主集中制」)の検証・改革が前進するかどうかは、一人ひとりの党員の自主性・積極性にかかっているのではないでしょうか。

<付記> 改革の足を引っ張る沖縄タイムス社説

 19日付朝刊で朝日新聞、毎日新聞が共産党大会についての社説を掲げました。いずれも組織の在り方から「開かれた党」への脱皮を求めるもので、問題の本質を外した不十分なものです。

 しかし、それにも増して見過ごすことができないのは、沖縄タイムスの社説です。こう書いています。
「共産党が変われば日本の政治は変わる。…共産党が「開かれた党」に脱皮し、安保・自衛隊などの基本政策で他の野党と合意することができれば、日本の政治は間違いなく変わる」

 「安保・自衛隊などの基本政策で他の野党と合意する」とは、安保・自衛隊を積極的に支持している他の野党に合わせろということです。これは共産党に完全な右転落を求めるものです。方向が完全に逆です。たしかにそうなれば「日本の政治は変わる」でしょう、いまよりもっと悪い方向へ。

 この社説は、不十分というより、共産党の改革、ひいては日本の政治改革の足を引っ張る害毒をもったものです。これが日米安保に苦しめられ続け、自衛隊のミサイル基地化が進行している沖縄の県紙の社説かと思うと暗澹たる思いです。



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