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バングラデシュ衣料工場ビル「ラナプラザ」倒壊から10年 国際産別労働組合が声明
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ATTAC関西グループの喜多幡です。 2013年4月24日、バングラデシュ・ダッカにある衣料工場ビル「ラナプラザ」 が倒壊し、1100人以上の労働者が犠牲になった悲劇から10年。 前年(2021年)9月に「おおさか社会フォーラム」のゲストとして、バングラデシュ の女性労働者の組織化に取り組んでいるawaji財団の代表で、自身も「児童労働者」 としてこの産業の悲惨を経験してきたナズマ・アクテルさんを招いたことから、この 悲劇の直後にナズマさんから詳しい報告と支援要請がありました。 その後、労働組合やクリーンクローズ・キャンペーンなどの国際的キャンペーンによ り、ILOや衣料ブランドなども協力する形で、工場の安全への取り組みが進み、消 費者の間でもブランド製品や安い製品の裏側にある現実についての関心が広がってき ました。しかし、衣料産業の労働者たちの労働条件や生活に大きな変化はなく、さら に、コロナ感染の影響で仕事が激減するなど苦しい状況が続いています。 根本的な問題は、労働者の安全と生活と権利を守る労働組合の活動が困難なことです (経営側や警察の妨害、法律上の保護がない等の理由)。 工場での労働に希望を託していた労働者たち(その多くは若年の女性)の夢を一瞬に して奪った「事故」、忘れられてはならないと思います。 ヨーロッパのメディアでは毎年この日の前後に大きな特集が組まれているのですが、 日本ではあまり取り上げられていません。今年は「毎日」新聞も特集記事を掲載しま した:https://mainichi.jp/articles/20230415/k00/00m/030/090000c (残念なが ら電子版では有料記事です)。 以下は国際的キャンペーンで中心的な役割を果たした2つの国際産別労働組合、イン ダストリオール・グローバル・ユニオンとUNI グローバル・ユニオンの声明です。 +++ ラナプラザ工場崩壊から 10 年 インダストリオールと UNIの声明 2023年4月20日 [インダストリオール・グローバル・ユニオン、UNI グローバル・ユニオンはそれぞ れ製造業の労働者、商業・サービス部門の労働者を中心とする国際産別労働組合] <要約> 衣料品産業史上最大の災害となったラナプラザ工場崩壊から 10 年目を迎え、インダ ストリオールと UNIは世界の衣料品ブランドに対し、バングラデシュ、パキスタン、 その他の国での労働者の安全を守るために国際協定に署名するよう求める。 2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ郊外にある8階建てのラナ・プラザ・ビ ルが崩壊し、1000人以上の労働者が死亡、2500人以上が負傷した。グローバルブラン ド向けの製品を作る工場が入居していたこの建物には、悲劇の前日に深い構造上の亀 裂が発見されており、労働者たちは当日の朝、入構を躊躇していたにもかかわらず、 工場に入るよう強制され、悲劇に遭遇した。 10年を経た今、工場安全協定の適用対象となった工場で働く労働者が安全な環境で働 けるようになったことは間違いない。2013年にインダストリオールと UNIが呼びか け、グローバルブランドおよび小売店チェーンとの間で締結した法的拘束力のあるア コード(工場安定協定)は、その後、バングラデシュの縫製産業における工場の安全 性を改善し、労働者に危険な作業を拒否する権利を与え、命を救い、結社の自由を支 持し、団体交渉を拡大してきた。 現在、194のブランドと小売店チェーンがこの協定に署名しており、約240万人の労働 者がこの協定の適用対象となっている。この協定はパキスタンにも拡大され、パキス タンの協定には現時点で46のブランドと小売店チェーンが署名している。 しかし、サプライチェーンにおける労働者の安全に対して大きな責任を負うべきブラ ンド、特にリーバイス、GAP、ウォルマート、アマゾンなどの米国企業が、この協定 への署名を拒否しています。これらのブランドが署名することで、より多くの衣料産 業労働者を危険な環境から守ることができ、2023年10月に期限切れとなるこの協定の 更新を求める動きも強まるだろう。 インダストリオールのアトル・ホイエ書記長は「バングラデシュの衣料品産業では大 きな進展があったが、安全な工場の確保のためにはまだまだ闘う必要がある。・・・ この協定をより多くの国に広げ、真のグローバル協定とするために、特に北米で、よ り多くのブランドがこの協定に参加する必要がある」と指摘している。 UNIのクリスティ・ホフマン書記長は、「ラナ・プラザの悲劇によって失われた命を 悼み、このような災害が二度と起こらないようにする。そのための最善の方法は、ア コードを拡大し、参加するブランドの数を増やすことだ。アコードは労働環境をより 安全にしてきた実績がある。企業が実施する監査では不十分である。実際、ウォル ト・ディズニーなど一部のブランドは、工場がアコードの基準を満たすことを要求し ているが、協定に署名して協定の実施を支援することを拒否している」と指摘してい る。 バングラデシュの工場安全協定は、2013年5月15日にUNI、インダストリオール、バン グラデシュの8つの労働組合と40のブランドの間で締結され、2018年までに220以上の グローバルブランドと小売店チェーンが署名している。 同協定を継続・拡大するため、2018年6月1日に190以上のブランドと小売店チェ―ン が「バングラデシュの火災と建物の安全に関する2018年アコード(Transition Accord)」に署名した。2019年5月、アコード運営委員会はバングラデシュ縫製業者 協会(BGMEA)と覚書を締結し、バングラデシュでアコードの職場安全プログラムを 進めるために、全国規模の独立組織「RMG Sustainability Council(RSC)」を設立 することが合意された。 2021年には「繊維・衣料産業における健康と安全のための国際アコード」が締結さ れ、2023年4月20日現在、164のブランドと小売店チェーンが署名している。 さらに、2022年12月には「繊維・衣料品産業における健康と安全のためのパキスタン 協定(パキスタン協定)」が発表され、現在、46の企業が署名している。

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