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レイバーネットTV アンケート紹介 : わたしの2022年「一押し映画と本」

12月14日のレイバーネットTV「映画と本で振りかえる2022年」では、事前アンケートに多数の回答がありました。番組では紹介しきれませんでしたので、以下、紹介します。なお番組出演者(永田浩三・笠原眞弓・堀切さとみ)の推薦映画は含まれていません。ぜひアーカイブをご覧ください。

<本部門>

●「辛酸 足尾鉱毒事件と田中正造」/佐々木有美

 城山三郎の初期の傑作。谷中村での晩年の田中正造の闘いは、辛酸に満ちたものだった。財産も支援者もすべてを失ったが、ひるむことなく闘い続けた。権力や不正への激しい怒りと、苦悩する民衆へのやさしさは、時代を超えて読む者に勇気と希望を与える。

●「第三次世界大戦はもう始まっている」/柴田武男

 エマニュエル・トッドは、日本は核武装などと提唱するので忌み嫌ってますが、人口動態に基づく分析は正確です。ウクライナ戦争は、英米が参加して、すでに武器支援するNATO対ロシアの戦争になっているということです。

●「戦争よりも本がいい」/ジョニーH

 「戦争よりも本がいいね」とつぶやく、小さな町の古書店の店主が棚にに並べる。著者がその店主になったつもりで、池部淳子・道子編『田部君子歌集』から坂田和實著『ひとりよがりのいただきもの』まで、お気に入りの本を紹介する。雑誌『本』に「珍品堂目録」のタイトルで130回連載された。「価値観なんてバラバラのほうがいい、みんながそれぞれ『ひとりよがりのものさし』を持ってくれれば嬉しいな」と著者は、全体主義を暗に批判している。

●「格差に挑む自治体労働政策」/白石孝

 本については「硬派」の選択をしました。7人の執筆者で3部構成。「就労支援政策」「地域雇用政策」「公契約・公共調達」。正規職労組活動、非正規労働運動、反貧困運動がバラバラに進み、社会的連携が進まないことに加え、一時は盛り上がった「地方から変える」という自治体改革が再び中央集権化され、公共と民間という両輪の運動が見えなくなっている今、この本は「労働」「格差」「貧困」に関わる運動に示唆を与えている。

●「ルポ 自殺」/河添誠

 両者とも、日本の現状を鋭く描いている。「ルポ自殺」は、「生きづらさ」を正面から取材し続けてきたフリージャーナリスト渋井哲也氏による渾身の書。自殺するかしないかギリギリの人々と会って取材を続けてきた渋井氏ならではの深みのある本。映画も本も、日本の労働組合運動や社会運動がもっともっと正面から取り組まなければならない課題を提示している。

●「外国人差別の現場」/小野政美

 2021年3月、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(33歳)が名古屋入管で死亡し入管の闇が明るみになった。映画「ワタシタチハニンゲンダ!」(盪塵甸篤帖砲閥Δ貌匹鵑任曚靴に棔愕姐饋雄絞未慮従譟戞閉日新書:安田浩一・安田菜津紀著)。日本国内の入管での病死、餓死、自殺など過酷な実態。外国人を「犯罪者扱い」してきた外国人政策の歴史。ネット上にあふれる差別・偏見。日本は、外国人を社会の一員として認識したことがあったのか。無知と無理解がもたらすヘイトの現状に鋭く迫る安田菜津紀氏と安田浩一氏の徹底取材による共著。第1章絶望と死の収容施設;第2章人の死と向き合えない組織;第3章ウィシュマさんの故郷を訪ねて;第4章「悪意なき差別」の暴走;第5章搾取と差別に苦しむ労働者たち;第6章憎悪の向こう側にある風景。

●「自民党統一教会汚染ー追跡3000日」/松原明


 20年間、統一教会と自民党の腐敗追及を「突撃インタビュー」方式で、体を張ってやってきた鈴木エイトさん。「ジャーナリストは革命家」という言葉があるが、こんなジャーナリストが100人いれば日本は変えられる。

●「流謫の行路」/フクシマ陽太郎

 第六回丸山健二文学賞受賞作。丸山健二ひとりが読み水準に達した作品に授与する。300枚の小説に高いレベルを求め、賞発足10年にして6作目の受賞作。丸山健二をして「これぞ文学、秋沢陽吉にしか書きえない小説」といわしめた。個性ぞろいのなかでも出色。作者はレイバーネットメンバーでもある。

●「死刑について」/NY

 死刑は国家による殺人である。だが日本では世論調査でも死刑制度を容認する人が依然として多数を占める。「なぜ人を殺してはいけないのか」という根源的な問いに向き合う。最終章「<憎しみ>の共同体から<優しさ>の共同体へ」が、死刑廃止への道筋を示唆してくれる。‘死刑執行のハンコを押すジミな仕事’などと嘆いた前法務大臣にも是非読んでもらいたい。

●「悪い言語哲学入門」/わたなべ・みおき

 明らかに差別的な発言であるにも関わらず「そのような意味で申し上げたつもりはない」などと弁解し罰せられもしないことにもやもやしていた。言語哲学者である著者は、差別的発言は「話者の意図と無関係に何らかの制裁の対象となるべき」とする。「差別的意識がないとかあるとか、そういったことは表現の公共的使用と無関係」。言葉はナイフのような個人の道具ではなく、蒸気船やタンカーのように社会の中で巨大な位置を占めるため、慎重に運用しなければならないものだからと。心の中で何を思おうが発言は社会的行為であり、その結果引き起こしたことには責任を伴う。すっきりすると同時に襟を正す意味で、表現者には特にお薦めめします。

●「死刑になりたくて他人を殺しました」/相沢由美子
 
 「死刑になりたくて、、」は秋葉原事件後、絶えることのない無差別大量殺人は何故おきるかを探るべく専門家、関係者等10人にインタビューした衝撃の書。圧巻は秋葉原事件の加藤智大の元同僚が語る加藤像とツィッターで立場を明らかにして発信している彼のもとに、「事件を起こしたい」と相談が何件もあるということ。彼等は聞いて欲しいだけでのようだが。ほかにも心理士やもと刑務官など、いずれのインタビュー内容がそれぞれの立場から、現代日本社会のいきづらさを映し出す。生きづらさを感じているひとは、ますます追い詰められる社会であるというこわい現実を突きつけられる。

●「企業のヤスクニ「企業戦死」という生き方」/土屋トカチ

 本文中に何度も拙作『アリ地獄天国』が引用されていると知り、読んだ。「企業戦士」ではなく「企業戦死」という副題に注目してほしい。労働者運動が衰退したことで「24時間戦えますか?」とCMが連呼されていたバブル期が過ぎていった。その水面下で「過労死・過労自死」が蔓延していった日本社会。その文化的背景は、日本軍の思想と直結していると改めて思い知らされる。「日本すごい!」とか、とても喜んではいられない。いまも戦争の只中にいると思い知らされる。

●「中学生から知りたい ウクライナのこと」/志真秀弘

 ロシアのウクライナ侵攻以後、戦争と平和の問題が根本から問い直されています。ウクライナの歴史と現状を辿りながら、いま私たちはどう考え、どう行動したらいいのか?この本はそれを読み手とともに探ろうとしています。

●「わかな十五歳 中学生の瞳に映った3・11」/黒鉄好

 2022年に読んだ本の中で最も心の奥に迫ってくる本だった。福島県民が原発事故後、誰にも理解されず苦しんでいる心の葛藤を綴った本。すべての人々がこの葛藤を理解し、福島県民に寄り添うとともに、原発を止めてほしい。

<映画部門>

●「RRR」/ワニワニ

インド映画です。私は関西のラジオパーソナリティのインド人が紹介していて、なんとなく見に行きましたが、まさに「反英」映画。大英帝国がインドを支配していた1920年の物語。娯楽映画であり、勧善懲悪、インド人を人間と思わないイギリス人に対して、インド人の闘いがあり。歴史上の人物二人が、実際には出会ってないが、もし出会ったら?という映画。私は関西で見ましたが、まさか映画館で最後に拍手が起こるとは。韓国が舞台で日本に対して闘争する映画だったら、おそらく「反日映画!と決めつけられるでしょう。この映画は、インドでも、そしてイギリスでも大ヒットの由。映画の最後に、次々と紹介されるどうも偉人たち?と思うイラストは、全員、反英闘争のリーダーたちとのこと。インド史に興味が湧きます。

●「マイスモールランド」/柴田武男

映画「マイスモールランド」はクルド人難民の生活を通して日本の入管、そして日本社会の問題を描いています。主人公の父は、家屋解体業です。働くことも許されない、厳しい状況を描いています。エマニュエル・トッドは、日本は核武装などと提唱するので忌み嫌ってますが、人口動態に基づく分析は正確です。ウクライナ戦争は、英米が参加して、すでに武器支援するNATO対ロシアの戦争になっているということです。

●「マイスモールランド」/河添誠

両者とも、日本の現状を鋭く描いている。映画「マイスモールランド」は、クルド難民の問題を17歳のクルド人高校生の目を通して、その理不尽さをわかりやすく伝えている。青春映画としても劇映画としても成功させている。「ルポ自殺」は、「生きづらさ」を正面から取材し続けてきたフリージャーナリスト渋井哲也氏による渾身の書。自殺するかしないかギリギリの人々と会って取材を続けてきた渋井氏ならではの深みのある本。映画も本も、日本の労働組合運動や社会運動がもっともっと正面から取り組まなければならない課題を提示している。

●「土を喰らう十二ヵ月」/ジョニーH

新宿にあった「五十鈴」という四角ぐるりのカウンター式居酒屋は全員50歳以上の女性のレディースバーで、一組の客に割烹希を着たひとりのホステスがまるでお袋のように、話を聞きながらおつまみをだしたりお酌をしてくれる。戦後すぐから、原案者の水上勉は通った。料理研究家の土井善晴が原案者が紹介した土にこだわった精進料理を挑戦しこの映画で披露する。自然の四季の中で暮らす随筆家宅にお邪魔して料理をふるまわれ、レシピとともに逸話を聴く。そんな気分にゆったりと浸った。

●「ボブという名の猫2 幸せのギフト」/白石孝

理屈抜きで好きが満載です。主役ジェームス、猫ボブ、ストリートシーンの雰囲気、地域の福祉団体の存在など。理屈でいえば、日本の反貧困運動が見習うべき「地域でたまり場」「地域で公助・共助の福祉」が、軸に描かれていることです。

●「ワタシタチハニンゲンダ!」/小野政美

2021年3月、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(33歳)が名古屋入管で死亡し入管の闇が明るみになった。映画「ワタシタチハニンゲンダ!」(盪塵甸篤帖砲蓮入管による被収容者への非人道的処遇、無償化制度からの朝鮮学校排除、技能実習生への長時間・低賃金労働、暴力・不当解雇等の人権侵害事件、難民認定の極端な制限など、外国人差別の歴史と全体像を描いたドキュメンタリー。入管収容問題は、日本の侵略戦争・植民地支配と戦前の治安維持法体制を継続する戦後入管体制と深くつながっている。ウィシュマさん名古屋入管死亡事件裁判の法廷に座る私に、「なんでわたしたち動物みたいな扱いですか?」というウィシュマさんの声が聞こえて来る。

●「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」/松原明

アスペルガー症候群の天才弁護士が、様々な困難と立ち向かいながら自分の道を歩んでいく話。ウ・ヨンウ弁護士を演じるパク・ウンビンが、とてもうまい、愛らしい、ウキウキする。カネと利権が支配する世の中に、清涼剤のような作品だ。やっぱり人間、こうでなくては。今年のネットフリックス映画で一番よかった。

●「チェチェンへ アレクサンドラの旅」/NY

静かな感動に満たされた。舞台は第2次チェチェン紛争さなかのチェチェン共和国内のロシア軍駐屯基地。主人公はそこに駐屯する孫の将校に会いにきた祖母である。戦場での戦闘シーンなどは一切ない。声高に反戦を唱える映画でもない。ただ、老女の目に映るまだ幼さの残る兵士たちの表情や営みが、戦争のむなしさ、人間の愛おしさを語って余りある。日大映画学科の学生たちが企画した「領土と戦争」をテーマにした映画祭の一作品。若い人達の真摯な問題意識に希望を感じた。

●「魂のゆくえ」/Daniel Henri

個人にとって気候危機と戦争の文化の影響の話。この辛いことを直接に向かう映画からとても悲しくて美しいです。この世界にみんなはこういう辛いことを体験していると思います。

●「モガディシュ」/相沢由美子

昨年、韓国で人気第一位となった実話をもとにした映画。 ソマリア内線に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たちの決死の脱出劇で、主役のキム・ユンソクがまたあらたな顔を見せているので、キムファンとして個人的には一位です。日本ではあまり注目されていなかったのが残念です。ギリギリのところで、韓国と北朝鮮が協力するに至る場面が印象的でした。

●「WANDA/ワンダ」/土屋トカチ

俳優バーバラ・ローデンの監督、唯一の長編。1970年制作。2022年日本初公開。銀行強盗の共犯者となった女性の新聞記事をヒントに、自らの人生も「自伝的」に盛り込み、脚本を書き上げた。しかし、夫で映画監督のエリア・カザン(「波止場」「エデンの東」等)をはじめ、周囲は冷たい反応。あきらめない彼女は自ら資金を集め、4人のスタッフで撮りきった。米国の鉱山地帯出身の貧困女性、ワンダ。育児放棄の末、離婚。放浪中に全財産を盗まれる。酒場でビールをおごってくれるダメ男と仲よくなっては、捨てられる日々を繰り返す。果ては犯罪に手を染めることに…。彼女の行き場のなさは、今日もリアルだ。 1980年、バーバラ・ローデンは乳がんのため逝去。48歳。

●「砂の器」/小川治

1974年に松竹で制作された映画で最近初めて見ました。TVドラマも多数放映されていますが見たことはありません。原作も読んでいません。 ネタバレになるので詳しい説明はしませんが、ハンセン氏病を背景とする作品です。ラストシーン辺りになりますが、時は戦前、ハンセン氏病の父親と息子が物乞いをしながら放浪し行く先々で差別を受けます。台詞は一切無しで漁村や農村の景色の美しさが残酷なくらい親子の悲しみを際立たせます。父親役の加藤 嘉(かとう よし)の演技が素晴らしかったです。ハンセン氏病差別は過去形で語れるでしょうか。今この国では様々な差別がはびこりその水脈は尽きることがないのです。

●「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」/黒鉄好

大飯原発差し止め判決を下した樋口英明元裁判長と福島で再生エネルギーにより原発追放を目指す農家を追った映画。大言壮語せず「小さくても着実」に再生エネルギーに取り組む農家のみなさんの姿が見る人に希望を与える。

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