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人間の姿を描き切った6時間〜原一男の大作『水俣曼荼羅』いよいよ公開 | ||||||
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そこにいるのは「患者」ではなく「人間」〜私たちは「悶え神」になる笠原真弓
ところでこの映画は6時間、3部になっています。ホールで見たのですが、その6時間が長く感じなかったのです。 1部は「病像論を糺す」で、2人の医師はそれまでの定説「末梢神経障害」に疑問を抱き、丁寧に検査のやり直しをしていき、ついに「中枢神経の障害」と突き止めます。新たな論文によって裁判が勝訴していきます。そして、その検査の過程での医師の態度が、偉そうでも、学術用語で煙に巻くわけでもなく、丁寧にその検査研究内容と、何が分かったかを患者さんに説明していく過程が映し出されます。この説明あってのこの映画といえるくらいに、時間をかけます。 そしてもう一つ大きな特徴は、水俣病の患者さんを「患者」としてだけで括っていないところです。患者さんの日常が「辛く悲惨である」という視点だけではないのです。県職員の態度になぜ怒ったのか、なぜ許したのか、なぜ訴訟を取り下げたのか、人間としての深いところまで聞き込んでいきます。
監督は言います。この場面を撮るのに何年もかかったと。大阪からの通いで撮っている監督の都合と相手の都合はもちろんだけど、体調など、諸々が関係して、3人にしかインタビューできなかったというのも頷けます。 新婚初夜を語る生駒さん夫妻は、互いに患者であること、相手が韓国籍であることを知りつつ見合い結婚をした経緯と彼らの素朴な明るさが示されます。そして、生業の船の塗装を不自由な体で塗りなおす姿を丁寧に映します。 かといって「怒りの原一男」は健在で、認定をめぐる裁判や県との交渉、勝訴しても救済されないトリックなど、手を抜きません。大テーブルを挟んで、県職員との話し合いの最中に「謝らない」と書いたメモを見つけて素早く奪う場面も執拗に追い、セックスの感覚さえないことを嗚咽と共に訴える男性の姿も捉えます。 終盤、監督はまだ存命の石牟礼道子さんに会い行き、そこで「悶え神」という言葉を受け取ります。自分は何もできないけれど、共に苦しみ悲しむことはできるというのです。 *2020年/372分/疾走プロダクション/原一男監督作品 Created by staff01. Last modified on 2021-11-27 23:07:11 Copyright: Default |