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アリの一言〜コロナ対策で証明された「軍隊なき国」の優位性
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コロナ対策で証明された「軍なき国」の優位性

2020年05月18日 | 憲法と日米安保・自衛隊

    
 <「軍なき国」感染抑止成功>こんな見出しの記事(11日付沖縄タイムス=共同配信)が目を引きました。
 「中米コスタリカが新型コロナウイルスの感染拡大抑止に成功を収めている。政府の素早い対応に加え、1949年施行の憲法で軍隊を廃止した同国では、中南米の他の国々よりも保健や教育分野に多くの予算を費やしてきたことが背景にあるようだ」

 コスタリカ保健省によると、同国の感染者は780人、死者は6人(5月9日現在)。隣国のパナマ(感染者8千人以上、死者200人以上)と対照的です。
 コスタリカでは、国内初の感染者が確認された3月6日の直後から、大規模イベント禁止やテレワークを推奨し、同16日には国境を閉鎖、学校を休校にしました。

 ちなみに日本は、国内初の感染者が確認されたのが1月16日。しかし安倍政権は「東京オリ・パラ」開催に固執し続け、「感染対策基本方針」を決めたのはそれから1カ月以上経過し、国内感染者が150人を超えた2月24日でした。

 今年1月末にコスタリカを訪れた沖縄民間教育研究所の長堂登志子所長は、同国の現状をこう報告しています。
 「医療費は誰でも窓口負担はゼロ。夜間診療も全く同じ。旅行者も不法滞在者ももちろん移民も同じくゼロ。教育費も高校生までは国内の全ての子どもたちが無償。大学生も給付型奨学金が充実している。教育への権利は人権として確立している。500万の人口の中で100万人が主にニカラグアから移民としてやってきているが、全ての子どもたちに教育の権利を保障している」(14日付琉球新報「論壇」)。

 こうした政策がとれるのも、「憲法12条に『常設の組織としての軍隊はこれを禁止する』として、本当に軍隊を持たない国」であり、そのため「国家予算の3割を占めていた軍事費を主に『医療費』と『教育費』に充てている」(長堂氏、同)からです。

 軍隊を放棄した憲法に基づくコスタリカの政策の成果が今回のコロナ対策ではっきり表れたと言えます。コロナはじめ感染症との共存が不可避である限り、コスタリカの優位性は輝き続けるでしょう。

 一方、日本はどうでしょうか。軍事費は、2020年度予算で5兆3133億円、8年連続膨張し続け、過去最高です。一貫した軍拡政策の下で、医療はじめ福祉、教育予算は切り捨てられてきました。

 たとえば、全国保健所長会によると、いままさにコロナ対策の最前線で苦闘を続けている保健所は、1990年度に850カ所あったものが、2019年度には472カ所にほぼ半減しました(10日付毎日新聞)。軍事費膨張の一方で医療・福祉を切り捨ててきたツケが、いまコロナ対策の苦闘となって回ってきているのです。

 コスタリカと日本の根本的な違いがここにあります。しかし、そもそも軍隊を放棄したコスタリカの憲法12条は日本の憲法9条に倣ったものです。9条は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」(第2項)と明記しています。本来、日本が「軍なき国」の模範になるはずだったのです。それが歴代自民党政権によって踏みにじられてきました。憲法9条、前文に照らせば、「自衛隊」という名の軍隊も、「日米安保」という名の軍事同盟も、明白な憲法違反です。

 「コロナ後」の新しい政治・社会のあり方が問われているいまこそ、憲法9条、前文の原則に立ち返り、「軍なき国・日本」へ向かうべきではないでしょうか。


Created by sasaki. Last modified on 2020-05-18 08:08:26 Copyright: Default

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