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菅政権による、ベルリンの「平和の少女像」撤去要請に抗議行動
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菅政権による、ベルリンの「平和の少女像」撤去要請に抗議行動

 ドイツのベルリンに設置された「平和の少女像」を、日本政府が再三にわたり撤去する要請をしたことに対して、10月13日、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動が呼びかけて官邸前での抗議行動を行いました。

 日本政府が「日本軍慰安婦」メモリアルの設置を妨害したのは、今回が初めてではありません。アメリカ、ドイツ、オーストラリア、中国、フィリピンで設置妨害を繰り返してきましたが、これまでは「日本政府の立場と相いれない」と表現するに止め、妨害事実についても認めようとしませんでした。しかし菅政権は、加藤官房長官が露骨に「撤去を要請する」と言いきり、茂木外相がドイツ外相に撤去を要請したと臆面もなく発言しています。許せません。

 ベルリン市ミッテ区では、いったんは14日までに像の撤去命令を出しましたが、世界中から抗議と要請が続く中、現在は、像撤去は保留となっています。設置団体が撤去命令執行停止仮処文申請を出したため、その結果を待つということです。

 シュレーダー元ドイツ首相夫人は、「(撤去命令は)残忍な暴力の犠牲者として苦痛を受けたいわゆる『慰安婦』ハルモニたちの痛みを放棄した反歴史的決定」であり、「日本政府が、このような残忍な戦争と暴力の歴史を精算するどころか、むしろ沈黙するよう圧力をかけることは、歴史を忘却する行為」としてミッテ区に手紙を出しています。またドイツや韓国をはじめとして世界中から撤去反対請願運動が起き、そうした世界中の市民の声が撤去保留の力となっています。 ベルリン「平和の少女像」の碑文には、次のように書かれています。

 「平和の少女像は『慰安婦』と呼ばれた女性たちの苦難を記念するものである」「沈黙を破って立ち上がったサバイバーたちを讃え、このような惨禍が世界中で二度と繰り返されないことを求めるものである」。

 1991年に金学順さんが「日本軍慰安婦」被害事実を世界で初めて証言したあと、アジアやオランダなどの被害者たちが勇気をもって次々と声をあげ、日本軍の侵略・植民地支配の実相が次々と明らかになりました。そして30年にわたる粘りづよい闘いの結果、「平和の少女像」は、戦時性暴力を根絶し平和を願う象徴的なモニュメントとなり、現在の性暴力被害者も連帯し、性暴力反対の声に連なっています。 9月29日のベルリン「平和の少女像」の除幕式では、イスラム国による性暴力被害者のための人権団体活動家、ニジアン・グィナイさんも参加し、「韓国から来た少女像はヤジディ女性たちの姿そのものだ」と語っています。

 ベルリン「平和の少女像」は、まだまだ予断を許さない状況ですが、「戦時性暴力を根絶し平和を願う」モニュメントとして、日本政府の撤去要請を撤回させる取組みを今後とも続けていこうと思っています。(木瀬慶子)


Created by staff01. Last modified on 2020-10-18 09:20:02 Copyright: Default

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