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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(7.27) : 都教委は育鵬社歴史・公民教科書を不採択
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●根津公子の都教委傍聴記(2020.7.27)

都教委は育鵬社歴史・公民教科書を不採択

 都立中学校(中高一貫の中学校・中等教育学校10校、特別支援学校)が来年度から使用する教科書の採択が、今日の都教委定例会のメイン議題。結果は表題のとおり、歴史・公民が育鵬社ではなくなった。道徳もワースト1の日本教科書(=2016年に設立した当初の代表取締役は、安倍首相の政策ブレーンである八木秀次麗沢大学教授。育鵬社教科書の執筆も)ではなかった。皆で喜び合いたい。

 今回も一切の発言はなく、投票に入った。6人の投票で、4票取れば採択となる。過半数に届かない3票以下の場合は上位2社で決選投票となる。

★一回目の結果(pdf)★再投票の結果(pdf)

 結果は、一貫校の歴史は8校が山川4票〈育鵬社2票が3校、育鵬社1票が2校〉で採択となった。両国附属中・桜修館中等教育学校は〈山川3:育鵬社3:東書1〉で過半数に届かず、上位2社で決選投票。結果、両校とも山川4票、育鵬社2票で山川となった。したがって、歴史は10校とも山川出版が採択された。後期課程(高校家庭)が山川を使うだろうとの配慮からなのか。

 一貫校の公民は10校とも、過半数に届かず決選投票となった。1度目の投票結果を見ると、自由社・日文の票もあったので、期待はできなかったのだが、決選投票の結果は9校が教育出版(教出)、1校が日本文教出版(日文)となった。教育出版の公民教科書は、自衛隊については「憲法違反」という声もあると記述し、オスプレイ反対デモや安保関連法反対国会前デモ等の紹介もする、子どもたちに最も使わせたい教科書だ。歴史も公民も育鵬社版を採択してきた東京の教育委員会が、まさか、教育出版を採択するとは、思いもしなかった。

 公民の1回目と2回目の投票結果を下に示す。1回目で自由社・日文に投票した教育委員が2回目には歴史観・教育観がより近いだろう育鵬社に投票しなかったのはなぜ?自由社とは近親憎悪??

 とにもかくにも、歴史の事実を歪曲した扶桑社歴史教科書が出版されるや否や採択し、その後は扶桑社を引き継いだ育鵬社歴史教科書を(特別支援学校は自由社も)都立中の子どもたちはずっと使わされてきたのだが、そこから解放されたことは、本当によかった。

 特別支援学校の歴史は1回目の投票で全員一致で東書、公民は(日文3:教出2:東書1)となり、決選投票で日本文教出版(日文)を採択した(日文4:教出2)。道徳は、一貫校は決選投票5校を含め10校とも、廣済堂あかつきを採択。日本教科書への投票は5校に各2票。特別支援学校は光村を採択した。

 採択結果が出たところで、「意見を述べ合って投票するところもあるが、自分で教科書をよく読んで採択に臨むこの方法がよい。出された請願も良く読ませていただいた。」等、恒例の一人一発言があった。

 しかし、各教育委員が教科書をどう読んだかも市民にはわからず、請願書も配布されるだけでは、非公開の教育委員会と変わらない。傍聴者は、各教育委員の発言や議論を聞きたいのだ。

■「現在、都教委について報道が続いている。事実関係を調べている」

 これは、定例会が始まって冒頭の藤田教育長の発言である。何を指して言ったのかがつかめないが、7月に入って都教委に関する東京新聞の報道が続く。都の教育行政に怒りを持つ一人として、記事はとてもありがたい。

 記事をあげると、黒川訓告と比した都教委の「日の丸・君が代」処分(12日)、目黒区の中学校近くの路上でチラシまきをしていた都立高校生を学校が警察に通報し逮捕拘留させた件(18日)、飛沫懸念し校歌もやめたのに、都教委の指示で全校が卒業式で「君が代」斉唱を実施(20日)、「本音のコラム」で「都教委無責任体制」(斎藤美奈子さん22日)、「日の丸・君が代」の教員への強制は不当としたILO/ユネスコ勧告(22日)。事実関係を調べているのは、このうちの、どれなのか。

 高校生を20日も拘留するなんて、校長・副校長という「教育者」が生徒を警察に売るなんて、あってはならないことだ。


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