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自衛隊基地強化の宮古島でスラップ訴訟

2019年09月02日 | 日米安保・沖縄

     

 「宮古島市、市民を提訴」―沖縄タイムスの1面(8月29日付)の見出しが目を引きました。市が市民を訴えるとは!?
 記事の内容はこうです。宮古島市が行った不法投棄ゴミ撤去事業(2014年度)に不正があるとして、市民6人が提訴した(16年1月)。しかし、那覇地裁で敗訴(18年3月)し、最高裁も上告を棄却(今年4月)。この6人の市民に対し宮古島市が「虚偽の主張で市の名誉を毀損した」として1100万円の損害賠償を請求する訴えを起こす方針であることが分かった―。

 6人の市民の1人は、「高裁では行政のずさんさが指摘された。行政をただす意義のある裁判だった」「(市の)提訴は市民の萎縮につながりかねず、理解できない」と驚き怒り、訴訟で住民側代理人を務めた喜多自然弁護士は、「名誉毀損などあり得ない。市民の意見を封じるための訴訟としか思えず、通常では考えられない」と批判。横田達弁護士も「東村高江のヘリパッド建設を巡り国が住民を訴えた訴訟と同じ構図で、市政に反する市民を弾圧したい意図が見え隠れする」と批判しています(29日付沖縄タイムスより)。

  まったくその通りです。政治権力をもつ側が市民に高額の損害賠償を要求して提訴し、市民を恫喝し住民運動を抑止する典型的なスラップ訴訟です。

 重要なのは、これが一般的な住民運動の抑止ではなく、明確な意図をもったものだということです。それは宮古島で住民の反対を押し切って強行されている自衛隊増強・ミサイル基地化に対する住民の反対運動を抑えることです(写真は宮古島に配備された自衛隊<左>、宮古島の自衛隊基地<中>、沖縄防衛局に自衛隊配備反対を申し入れる住民<右=8月27日付琉球新報>)。

  宮古島における自衛隊基地増強は、一貫して住民をだまして強行されています。たとえば、沖縄防衛局は住民説明会では「弾薬庫は造らない、ミサイルは置かない」と言い続けてきましたが、東京新聞(4月1日付)が「保管庫、実は弾薬庫 宮古島民だまし討ち」と1面トップで暴露しました。弾薬庫には迫撃砲や中距離多目的誘導ミサイルの弾薬が保管されます。

  さらに、宮古島と与那国島に配備された陸上自衛隊に、スパイ組織である情報保全隊が配置されていたことが、小西誠氏(軍事評論家・元自衛官)の情報公開請求で明らかになりました。情報保全隊は2003〜05年の自衛隊イラク派遣に際し、反対運動を行っていた団体・個人を監視していたことが問題になった前歴をもつ組織です。
 小西氏は、宮古、与那国に配置された情報保全隊も「住民を調査・監視し、島嶼戦争の対スパイ戦の任務に当たることが想定されている」(7月6日付琉球新報)と指摘しています。
 この情報保全隊の設置も、住民には秘密にされていました。それが小西氏によって暴露され、「防衛機密を盾にした自衛隊の隠蔽体質の一端が表出」(同琉球新報「解説」)しました。

 軍隊(自衛隊)は住民に真実を伝えない、住民に秘密にし住民をだますのが軍隊の本質です。実態を隠しながらミサイル基地化をすすめる。そのために住民監視を強め、反対運動を抑える。それがいま宮古島で進行している事態です。

 今回の宮古島市によるスラップ訴訟の動きは、この自衛隊と一体となり、市がその戦略・謀略に加担するものであり、絶対に容認することはできません。

 これはもちろん宮古島(沖縄)だけの問題ではありません。日米安保体制下での自衛隊と地方自治体の一体化の悪例であり、日本国民全体の重大な問題です。


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