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ドキュメンタリー映画「共犯者たち」上映会〜韓国メディアにみる時代のダイナミズム
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ドキュメンタリー映画「共犯者たち」上映会〜韓国メディアにみる時代のダイナミズム

 6月28日、新潟県・アオーレ長岡において、「長岡アジア映画祭実行委員会!」が主催するドキュメンタリー映画「共犯者たち」の上映会が行われ、約30人が参加した。
 映画上映会後には、吉澤文寿・新潟国際情報大教授が「映画で観る韓国民主化の系譜、たたかうジャーナリズムを考えるために」と題して講演した。

 吉澤教授は「韓国と日本では、ジャーナリズムの現状に違いがある。日本のいまの政権で言えば、日本軍『慰安婦』問題に係る『国際戦犯法廷』のNHK番組に介入した人物が総理大臣になっている。映画の中では、盧武鉉元大統領が自身の任期の間に韓国メディア・KBSの社長に電話しないと言っていたが、盧武鉉が辞めた後の保守政権をみてみると、権力にとって言論と教育というのは、自分の政治的な意図をいかに浸透させるかという点で大きな意味を持つと考える人が多い。日本の現政権になってから、鋭く問題を明らかにしたり、権力に切り込んでいくようなジャーナリストや報道が少なくなったと思う。報道に、韓国は日本との約束を守らない、反日だとするものも多い。

 日韓の往来者数は1000万人時代になっている。2000年頃までは、日本人が韓国に行くことが多かったが、ここ最近は韓国から日本に来る人が多くなってきた。日本と韓国が国交を結んだ1965年に比べれば、往来者やハングル学習者の数は飛躍的に増えているし、東京・新大久保は連日多くの人で混みあっている。政治外交だけで物事を理解しようとすると日韓関係がどんどんと悪化しているようにみえるが、一般市民の間の文化社会面の交流を含めて、複眼的にみる必要がある。

 韓国は法を守らない国かというと、そうではない。正義にかなわない法、道義にかなわない法は、見直すべきだというのが韓国のダイナミズムである。なぜ、日本のメディアは闘わないのか。そういう風に感じているのであれば、韓国のダイナミズムに学ぶべきところも多い。韓国との関係は、私たち日本にとっても大事なことであると思う」と話した。

 現在大きく報道されている元徴用工問題については、まず日本の国会・政府・企業が解決しようとする意思を見せることが重要だ。邦字メディアは、日韓請求権協定の日本側解釈に寄っているが、同協定には被害者個人の請求権と財産権が国益に従属した形となった課題が残されている。

 歴史認識問題は、日韓の歴史を正しく知らないため、対立が深まるたびに誤解と偏見が増幅され、問題解決をより困難にしている。日韓の政府・政治家は、歴史問題がどちらか一方の決断や行動で永遠かつ完全に解決できるという幻想を国民に植え付けてはいけない。その上で、メディアは両国の歴史対立を煽る先頭に立つことなく、感情に染まった誹謗と中傷を自制し、事実と均衡の取れた報道と論評をしなければならない。

 日本政府は、元徴用工の韓国司法判決に対する事実上の産業対抗措置を発表した。元徴用工問題の解決から避け続けている日本政府の姿勢は、日本が植民地主義を全く反省していないと諸外国から受け取られる上、問題の先送りは複雑化・深刻化を招くだけである。さらに板門店で米朝韓3カ国の会合直後というタイミングでの発表は、日本の外交的立場をますます悪くする、非常に拙速な判断だ。 〔金子通〕


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