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〔レイバーネット国際部・I〕
昨年夏に中国深センのJASIC社での労組結成をめぐり解雇・逮捕された労働者を支援した 青年学生たちが当局に拘束された事件から5カ月がたちましたが、その中心的活動家と見 られてきた4人の青年たちが、自らの誤りを自己批判した自供ビデオでの発言の一部を翻 訳しました。 自供ビデオの前半は、彼女たちがどのような思いで労働者支援にかかわってきたのかにつ いて語っていますが省略。後半の「自己批判」の箇所のみを訳しました。 前半を含めた文字データや音源は、JASIC争議支援団のサイトにあります。 文字データ（中国語／英語） https://jiashigrsyt1.github.io/rzsp-english/ 音源 https://od-22.wistia.com/medias/pcbxp99cm5 映像は確認できませんが、音源を聞く限り、当局側のナレーション、すごい盛り上げです 。3人はほとんど棒読みですが、最後の岳さんは、すこし高揚感のある感じです。 このビデオを見せられた学生の証言によると、生気がなく、目の周りを赤く腫らせたり、 黒いクマがあったり、眼が泳いだりしていたそうですが、逆に、拘束前はほっそりとして いた顔が一回りも二回りも大きく肥えていたり、したこともない化粧をしていた学生もい たそうです。 転向者が「正体不明の組織」「過激主義組織と思想」「域外勢力」に言及し、「公安（警 察）の教育で党の政策を理解した」など、予想通りの内容です。 しかし明らかにハッキリしているのは、彼女らをしてJASIC争議に駆り立てたた「外部勢 力」や「過激主義的組織」とは他でもなく、日本資本をはじめとするグローバル資本とい う「外部勢力」であり、その過酷な搾取システムの安定から支配の正統性を得ている中国 共産党という「過激主義的組織」であり、＃MeTooの中国への流入を押しつぶそうとする 男権主義という「過激主義の思想」です。 沈夢雨さん（1993年生）は、これまでも紹介してきたように、日本発条株式会社（ニッパ ツ）１００％子会社の現地工場で、労働条件の改善を求めて労使協議の交渉員として活動 し始めた矢先に解雇されました。その後、彼女は同じような過酷な条件を改善するために 組合結成に乗り出して解雇されたJASICの労働者らの支援にたちあがりました。まさに日 本資本という「外部勢力」が彼女をして立ち上がらせたと言えるでしょう。 顧佳悦さん（2016年北京大卒）は、マルクス主義フェミニストとして2017年暮れに広州工 業大学でマルクス主義読者会に参加。「過激主義的思想」をもつ当局から弾圧されながら も、「わたしがいなくなっても、私の代わって労働者人民に忠実であることを」とメッセ ージを発し、その後、「時代先鋒」というウェブサイトを開設し、資本家や官僚腐敗とい う「過激主義組織と思想」とたたかうJASICをはじめ各地の労働者のたたかいを報じてき ました。 鄭永明さん（1994年生）も広州工業大学の読書会のメンバーで創設者でした。江西省の貧 農の息子で、姉は早くに学校を退学して出稼ぎ工として働き、一家の家計を支えてきまし た。苦学生で、大学受験のときにはじめて電車に乗ったという苦学生でした。グローバル アグリビジネスという「外部勢力」による中国農村の二極化が、「僕は農民と労働者の息 子です。父や母と同じような農民と労働者のために何かしたい」という彼をして活動に奮 い立たせたのです。 そしてビデオでは他の３人に比べてやや意気揚々と「転向」を語っている岳�気気鵝�1996 年生）は、去年世界でも盛り上がった＃Metooに触発され、在学していた北京大学での教 授によるセクハラを告発して大学当局から嫌がらせを受けるという、男権主義という「内 部勢力」と果敢に闘いました。（こちらに日本語の記事がありますhttps://gendai.ismed ia.jp/articles/-/55566） このように、彼女たちをしてJASIC争議への支援に立ち上がらせたのは、グローバル資本 主義と支配党という「外部勢力」と「過激主義組織と思想」でした。 前置きが長くなりました。以下、彼女たちの自己批判ビデオでの発言です。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ●ナレーション：彼らは中国の現段階が社会主義ではないと考えていたのであり、現行の 政治体制に同意しておらず、学生運動と労働運動を通じていわゆる社会主義を実現しよう としていたのである。では一定期間の反省を経て、彼らの思想と認識はどうなったのだろ うか？ ●顧佳悦：私は急進的理論を信じ、大局意識と法律意識に欠如していました。佳士事件で はインターネットで事件について大きく騒ぎ、現実の世界で活動家を結集させる方法で、 資本側と現地当局に圧力をかけ、現地の安寧と安定を破壊しました。そして事件の拡大と ともに、多くの正体不明の勢力が登場したことを知り、さらに多くの過激な言論の登場は 予測できないことでした。これは私を恐怖させ、労働者の権利擁護のためという自分の初 心を裏切ってしまったと深く感じたのです。警察機関の教育のもとで、私は中国の国情の 真の姿、とりわけ18回大会以降において、不平等を解消するために、わが国の党と政府に よる様々な具体的な措置を理解することができたのです。 ●沈夢雨：法律は子どもの遊びではありません。私たちの行為は違法な犯罪を構成してお り、社会秩序を深刻にかく乱しただけでなく、一部の域外勢力がこの事件を利用して党と 政府を攻撃することを導き、中国の国際的イメージを著しく損なわせました。 ●鄭永明：実際には、中国の改革開放路線とは、わが党が実事求是［事実に基づいて真実 を求める］の原則に基づいて、ソ連の硬直化した体制を乗り越え、マルクス主義と中国の 国情の現実を結合させた、正しい発展の路線なのです。それこそ中国の改革路線であり、 それは硬直化というかつての誤った道や旗を取り換える［体制転換］という邪道を進みま せんでした。とりわけ18回大会以降でしょうか、この数年来、わが国が達成した巨大な発 展の成果および社会生活における人びとの幸福感、充実感はきわめて高いもので、それは 改革開放が正しかったという何よりの証明です。 ●岳�機Ъ�分が佳士事件のなかで行ったことが法律に抵触することを認識するに至ったい ま、進んで法的な処罰を受け入れたいと思っています。同時に、佳士事件の背後に過激主 義的組織と思想があることを認識しました。それは青年学生に危害をもたらします。です から今後このような思想と組織とは徹底的にたもとを分かつ決意です。同時にですが、も しチャンスがあるならですが、思想と組織全体の行いを公然と暴露し批判するためにたち あがり、社会の各分野、とくにまだ大学で学んでいる青年学生のために教育的警告を発し たいとも思います。また中央テレビのニュースや党建設に関する書物や政治理論書を見る ことで、わが党が結局のところどのような制度理念なのか、さらに全面的な党の厳格なガ バナ ンスという制度システムを系統的に理解しました。また同時に、わが党がいかに現実に依 拠し、さまざまな状況に依拠してその理論を発展させ、それによってさらに多くの問題を 解決してきたのかの理解を深めました。こうして、中国共産党がまさに新時代において今 まで以上に労働者と農民の権利に関心を寄せ、人民を中心において問題を解決しているこ とを、今まで以上に理解を深め認識することができたのです。同時にまた、社会の安定と いう基礎のうえに改革と発展を促進させることができるのです。このように、私はかつて のような中国共産党に対する紋切り型のイメージを打破することができたのであり、将来 の自らの行動と言論において、祖国と人民の側に立たつだけでなく、よりいっそう党の側 に立 つ必要があることを、今まで以上に深く認識することができたのです。
Created by staff01. Last modified on 2019-01-31 10:57:12 Copyright: Default