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*レイバーネットMLから

本を紹介する拙文です。 『田中宏講演録 民族教育とわたし』 枝川朝鮮学校支援都民基金編 (樹花舎2017年) 斎藤洋太郎  学生時代に指紋押捺拒否運動で、田中氏の講演を聞いたことがある。本書は、氏が80年 の生涯を振り返りながらの講演だ。氏の『在日外国人』(岩波新書)に登場する押捺拒否者 である故ハン・ジョンソク先生は、私が所属する東京セパラム合唱団の団長だった。  田中氏が「アジアは完全に欠落!」と批判するように、日本は欧米かぶれの一方で韓国 ・中国等を無視・蔑視する。1963年に氏が留学生から「千円札に伊藤博文が出てきたけれ ども、あの人は朝鮮民族の恨みをかって、ハルビンで殺された人でしょう。……外国人登 録証を持たされている外国人で、一番数が多いのは朝鮮人でしょう。彼らも毎日の生活の なかで、この千円札で買い物をするわけじゃない。日本人はずいぶん残酷なことを平気で するんですね」と言われた(24頁)。  2002年の日朝ピョンヤン宣言以降、朝鮮たたきなら何でもOKという特異な状況が生じ、 高校が無償化されたのに朝鮮学校だけ無償化からはずすという「朝鮮学校いじめ」が横行 する。これを国連から差別だと指摘されても、安倍政権が改めようとしない。  普遍的な人民の学習権は、日本に暮らす朝鮮の学生にも当然ある。拉致被害者の人権を 肯定しても、在日朝鮮人の学習権を否定するなら、その「人権」はまがい物である。 「外国人学校支援法」というまっとうな法案(みのらず)を提出した組織政党への田中氏の 働きかけが、示唆に富んでいる(45ないし49頁)。  枝川朝鮮学校裁判に提出された田中意見書が本書巻末の関連資料にあり、そこに「日本 人は……無意識の人種差別主義者」だという英紙の適確な論評が引用される。また、氏が 『都立朝鮮人学校の日本人教師』(岩波現代文庫)のまえがきに「『反日教育』批判という 言説であり、あるいは継続する植民地主義」と喝破する。  私は、植民地支配と侵略戦争に対する「抗日」の思想と文化が豊かだと思う。田中氏の 鋭い批判が一貫しており、氏が主張するようにねばり強く植民地主義を克服すべきである 。

Created by staff01. Last modified on 2018-10-12 20:39:24 Copyright: Default

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