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底辺に生きる中国の出稼ぎ労働者/ドキュメンタリー映画『苦い銭』 | ||||||
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底辺に生きる中国の出稼ぎ労働者〜ドキュメンタリー映画『苦い銭』笠原眞弓2014年8月の大きな地震で被害のあった中国・雲南省の山村。若い女性が働きに出ること になり、迎えに来た女性との、希望と不安が交錯する会話が交わされている。 列車とバスを乗り継いで20時間。着いた先は東海岸の衣料の街、湖州。上海の南に位置す る。延々と続く移動の車中。しかしこの長さこそ、この出稼ぎが彼女たちにとって何を意 味するかが、見終わった後にジーンと伝わって来たのだった。 衣料工場での最初の仕事は完成品の包装。非常に効率的な手順で、次々仕上がって来る子 ども服を袋に詰めていく。 2014年から2016年にかけて撮影されたドキュメンタリーと聞くと、世界の格安アパレル産 業の地図が塗り替わり、中国では既にひと頃の勢いは無くなっていた時期ではなかったか 。 しかも、その移動した発注先の国でも更に工賃の安い国へと移動していく。昨年末に香港 に本部を置くクリーン・クローズ・キャンペーン(CCC)が来日し、「サプライチェー ン(製造ネットワーク)の責任を問う」行動が、銀座のユニクロ店舗や小川町のミズノの店舗 前で行われた。大口発注主の発注中止による経営悪化に伴う労働者の救済は、サプライチ ェーンの社会的責任を問われる時代でもある。 そんなことを考えながら画面を見ていると、いつの間にかカメラは同じ工場の従業員の夫 婦喧嘩を追い、仲立ちをする人が現れる。そこに登場する彼ら彼女らは、現場事故で手を 失っていたり、中国で全面的に禁止のマルチ商法に手を出そうとしている人。そんな人が 、お酒のやめられない同室者の面倒を見ていたりしている。 若い女性は男性から遊びに誘われて、行くか行かないかを悩みもする。工場主も、決して 悪人ではないのに、薄利多売の競争の中で、ギリギリ感が漂よってくる。 春節に帰るかどうかも大問題。何しろの長旅である。 日本で中国からの観光客の動向に注目の集まる昨今、その観光客の懐を支えているのは相 変わらず彼ら中国国内の出稼ぎ労働者たちではないのか。そして彼らは今でも肩を寄せ合 って生きている。 労働者や社会の底辺に生きる人々の生活を発信してきた王兵(ワンピン)監督は、社会主義国だろうと 資本主義だろうと変わらない彼らの今を、くっきりと切り取って見せてくれた。 哀愁の漂う工場の映像を見ながら、私が気楽に選ぶ服の陰で過酷な労働を強いられて いる人々のことに思いを至らせたいと思うのだった。 ●ワン・ビン監督作品 フランス・香港合作映画 2016年・163分 Created by staff01. Last modified on 2018-01-15 08:17:00 Copyright: Default |