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LNJ Logo 石川源嗣のコラム:労働相談活動と労働者の組織化
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東部労組の石川です。

ジャパンユニオン組合ニュース2017年11月号コラム<Focus of News>を
アップしました。

<Focus of News>2017年11月号

■労働相談活動と労働者の組織化■

 労働相談センターは1988年にはじめたので、来年でちょうど発足30周
年を迎えることになる。
 当初は地域の団地や駅ビラまきで年間数十件の相談から出発し、その後、電
話帳(タウンページ)での宣伝で相談が少しずつ増えていった。
 1996年、インターネットに労働相談センターのホームページを開設した
ところ、全国各地からメール、電話による相談が寄せられ、件数は飛躍的に増
加した。
 2004年に労働相談センターはNPO法人(特定非営利活動法人)の認証
を受け、「NPO法人労働相談センター」となった。
 2015年の労働相談は8597件という過去最高の相談数で、昨年もこれ
に準じた。今年は相談件数が例年より増え、このままだと年間1万件を超える
勢いであった。
 しかしこの9月、相談センターのホームページに、「これからは労働組合への
加入、または労働組合の結成に結びつく労働相談に重点的に応じる」とのお知
らせを掲載し、方針の転換を表明した。
 それは、「労働相談から組織化へ」の方針が、ここ2、3年ストレートには通
用しなくなったからだ。たしかに労働相談の件数は飛躍的に増えているが、そ
のほとんどが労働組合結成や紛争着手に至らない案件で占められている。
 労働相談には当然それ自身の固有の意義があり、労働者の悩みや疑問に答え
る意味は大きいが、おもな目的を組織化におくとき、私たちが従来やってきた
「労働相談を増やす」ことだけではまったく不十分になった。
 労働相談の質が明らかに変化したというほかない。相談の増加が着手件数の
増加につながらないという労働相談活動30年でも初めての経験である。労働相
談が組織化の供給源の役割を果たせなくなっている。これが永続的な変化なの
か、一時的なものなのかは即断は避けなければならない。数年にわたる停滞は
今まで何回かあったからだ。
 しかし産業構造の変化、成果主義賃金制度、非正規雇用労働者や労働者の非
労働者(個人事業主)化の増大、新自由主義の浸透による資本の攻撃の変化、
さらにはソ連の崩壊に規定された歴史的転換期に遭遇し、労働者の力の衰退を
余儀なくされ、それらが労働者の個人分断を徹底させ、闘争力のはく奪を促し
ているのは間違いないと思う。
 これらにいかに対応するのか。労働者の組織化についての歴史的とらえ返し
と時代の変化に見合った組織化戦略の再構築が迫られている。
 その上で少なくとも次のことを指摘したい。
 第1は、労働組合への組織化活動を「労働相談から組織化へ」だけでなく、
多角化すること。
 第2は、労働相談をしてくる労働者のほとんどに労働組合が見えていない現
状をふまえ、自らの労働問題を「労働組合で解決する」という考え方、労働組
合についての基本知識の習得と普及についての教育学習、さらには活動家育成
の活動が求められる。
 第3は、それらの課題を追求するため、未組織労働者と労働組合の結節点と
してのホームページの大胆な大再編が必要といえる。(石)

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