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木下昌明の映画批評『kapiwとapappo〜アイヌの姉妹の物語〜』 | ||||||
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●佐藤隆之監督『kapiwとapappo〜アイヌの姉妹の物語〜』 高尾、大阪、コタン……5年かけた――佐藤隆之「アイヌの姉妹の物語」初めてアイヌの音楽を聴いたが、とてもよかった。佐藤隆之が5年かけた『kapiw(カピウ)とapappo(アパッポ)〜アイヌの姉妹の物語〜』というドキュメンタリー映画。 カピウとは、アイヌの姉の絵美のニックネームでカモメの意味。アパッポは妹の富貴子の福寿箪の花の意昧。姉は東京の高尾に彫金家の夫と住み、歌手兼グラフィックデザイナー。妹は北海道・阿寒湖のコタンで夫とアイヌ料理店を営み、観光船でアイヌの語り部として歌や民話を披露している。2人にはそれぞれ3人の子どもがいて、時は、主に3・11の年の春から夏にかけて。 姉の一家は、一時放射線の高い高尾から大阪に避難するものの、今度は夏休みを利用してコタンに帰郷する。そこで2人のライブが可能になる。 映画はその姉妹の生活を追って高尾からコタン、大阪から高尾、そしてコタンへと飛びまわる。といっても、姉妹の日常からは、日本の先住民としての被差別的な歴史や伝統的な風習などうかがい知ることはできない。コタンにしても商店などは観光用に彩られているが、それ以上ではない。ただ姉妹が伝統的な衣装で歌ったり踊ったりする時にはじめて「アイヌ民族」が立ち現れてくる。姉の音楽仲間が「歌っている瞬間にしかアイヌ民族っていないんだよ」という言葉も納得できる。 また、トップシーンに6歳と4歳の姉妹が踊っている8ミリ映像が出てくるが、それによって2人が幼いころから歌や踊りの伝承者として仕込まれていたことも推察できる。 圧巻は、釧路のライブハウスの舞台で、息の合った2人が手で拍子を取りつつアイヌ語で歌うシーン。いずれも大自然に包まれて生きた人々の魂の歌といえようか。とくに3人の子を抱え、「どうやっで育てていくの?」と一人が問うと、一人が「盗んででも食べさせていくの」と答えるかけ合いの歌に胸打たれる。そこには子をもつ姉妹の思いがこもっていた。(木下昌明・『サンデー毎日』2016年12月4日号) *渋谷ユーロスペースにて12月2日までレイトショー Created by staff01. Last modified on 2016-11-25 15:20:18 Copyright: Default |