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原発避難者住宅支援打ち切り反対!〜カナダ市民が日本大使館前で抗議アクション

    長谷川澄(モントリオール在住)

 10月13日午後、カナダの首都オタワにある在カナダ日本大使館前で、カナダ市民約350人による、東電福島第一原発事故による放射能汚染からの避難者に連帯し、来年3月末に予定される避難者への住宅支援打ち切りに抗議するアクションがあった。主催者はモントリオールFRAPRU(都市再開発における民衆行動戦線)で、この夏の世界社会フォーラムで、住宅・土地部門を担当した団体の一つだ。この部門で、福島からの避難者が日本の現状を話したことから、フォーラム最終日に住宅・土地部門全体として、福島の避難者と連帯することを決定したが、それを実際の行動に表したのが、このアクションだった。

 この日は、今、エクアドルのキトで開催されている、世界住宅フォーラムに合わせて、ケベック州各地のFRAPRUとそれに連携する住民団体が首都オタワに集まり、カナダ首相仮官邸(官邸は修理中)前で、“健康的な、まともな住宅に住むのは人間の基本的な権利である。そのためには低家賃の社会住宅、協同組合型の住宅に対する予算を大幅に増額せよ”という要求を掲げて行動する日であった。

 モントリオールからは、地区ごと、団体ごとに分乗した貸し切りバス5台で、片道2時間かかるオタワに出かけた。仮官邸前で、賑やかな鳴り物入りアピールを45分くらいした後、そこから2km程離れた所にある日本大使館まで、デモをしながら歩き、大使館前の抗議行動に移った。首相仮官邸前では門のかなり近く、警備員と鼻突き合わせるような位置まで、人が溢れての行動に何の文句もなかったのに、大使館前では、何故か警官が門の前の歩道に来てはいけないと言うので、交通止めになった車道に街宣車を止めて、その周りと反対側の歩道に広がっての抗議行動になった。

 まず、歩道の柵いっぱいに、FRAPRUがカラーコピーして用意してくれた仏語、英語、日本語の“放射能汚染地から住民を避難させよ”というビラを張り巡らした。それから、FRAPRUの人が5年半前の原発事故で、放射能汚染から避難した人々のこと、今、日本政府が避難者への帰還政策を強力に打ち出し、住宅支援を切ることで、帰らざるを得ない人を出そうとしていること、被災地の多くが、普通に人が生活して良い放射線レベルではないことを分かりやすく話した。これは後で説明するが、主に抗議行動参加者に向けた説明だ。

 次に日本の「脱被ばく実現ネット」からのメッセージを仏語と英語に訳したものを日本人参加者二人が読み上げた。最後に皆で、FRAPRUが準備した仏語のコールを何回も唱和した。そのいくつかを日本語に訳しておく。“戻るな、福島!守れ、住む場所!”“避難者に必要なのは、屋根と健康!”“福島に帰すことは死を意味するんだ、殺人なんだ”“日本でも、カナダでも、住む場所、持つのは、人間の権利!”“団、団、団、団結!世界中の住宅難民!”。原発事故被災者に対する日本の政策が外からどう見られているかが分かると思う。

 言っておかなければいけないことは、この350人の抗議行動参加者の中で、始めから、福島の状況を正しく把握していたのはFRAPRUの人たちや、そこからの説明を受けた、連携団体のリーダーたち、夏の世界フォーラムに出席した人等、ほんの一部だったことだ。しかし、団体ごとに乗った貸し切りバスの中や、出発前に各リーダーが、日本大使館前で抗議行動をする理由を説明したことと、大使館前でFRAPRUの人が2011年の原発事故のことから始まる丁寧な説明をしてくれたことで、強い関心を示し、私たちが持って行ったポスターを読んだり、道行く人に配るつもりで持って行ったビラを貰いに来る人たちもいた。

 私といっしょに歩道柵のビラ張りをした青年は、日本は2020年のオリンピックを止めるべきだ。原発事故から目を逸らすために使われているのじゃないかと話しかけてきたから、もちろん、その通りだと話した。「あなた達は私たちと同じ問題のために闘っているんだね」と、わざわざ、他の日本人参加者に言いに来てくれた人もいたそうだ。私にも「あなた達がまた、抗議行動をする時には私も出るよ」と、これは日本に滞在した経験のある、片言の日本語も話す人が言ってくれた。

 平日の、一日がかりの活動だったために、参加した日本人は私も含めて、たった3人だったのがとても残念だった。カナダの一般の人に少しずつでも、福島の現状を知ってもらい、関心を持ってもらうために、何より良い機会だった。それにしても、“住宅のことで大変な問題を抱えている”という、その一点だけで、FRAPRUが殆ど強引とも言える方法で、350人もの人を動員した抗議行動を日本大使館前で展開してくれた動員力と、コールの言葉から、ビラのコピーまで、準備万端整えてくれた行動力に、只々感心し、深く感謝する。また、一言の反対もなく、気持ちよくいっしょに行動してくれた、他団体の人や参加者全員にも心から感謝したい。


Created by staff01. Last modified on 2016-10-16 10:58:03 Copyright: Default

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