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育鵬社の教科書に沖縄はどのように書かれているのか | ||||||
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今、全国で中学校の教科書展示会が行われています。 ここで展示されている教科書は、これからの中学生が使うものです。 育鵬社、自由社の教科書の中身のひどさは全てについていえます。ここでは、安倍の 親衛隊が沖縄についてひどい発言をしていることが明になっている今、実は 育鵬社 教科書(自由社もほぼ同じ)も彼らの発言とお二時くらいひどいということを是非多 くの人に知っていただき、今開かれている教科書展示会に行き、自由に書き込めるア ンケート用紙に意見を書く一助にしてほしいと願っています。 育鵬社・自由社の教科書をそのまま学んだ子供たちは、沖縄やアジアの人たち、差 別を受けている人たちに思いを寄せることができません。基本的人権を正しく理解す ることができません。(藤村) 育鵬社教科書を読む近現代史編 〜沖縄はどう書かれているのか〜 沖縄では沖縄県知事に辺野古新基地建設に反対する翁長知事が誕生し、辺野古の地元 名護市では反対派市長と与党市議会議員が二期目の当選を果たし、「もうこれ以上基 地はいらない、沖縄を差別するな」の声を挙げつづけているは。しかし、本土の政府 は「基地建設は粛々と進めていく」と敵対を繰り返している。薩摩の侵略、琉球処 分、沖縄戦、米軍政、そして未だに基地が残りしかも新たに基地が作られようとして いるこの綿々とした沖縄に対する差別支配に怒りを向けている。こうした中で育鵬社 の教科書には沖縄のことがどう書かれているのか。 琉球処分と台湾出兵 育鵬社の教科書では【明治初期の外交と国境の画定】の項で【清と沖縄】として次 のように書いている。 【1971年日清修好条約が結ばれ、清との正式な国交が始まりました。しかし一方で 台湾に漂着した琉球島民の殺害事件に対し、清は、台湾での事件には責任を負とした ことかわが国が台湾に出兵する事件も起きました。琉球については、日本政府が1972 に琉球国王の尚泰をを琉球藩王として、琉球が日本の領土であることを確認し、1879 年、琉球を沖縄県としました〈琉球処分〉。】(P172) この記述でなぜ沖縄の人々が「琉球処分」を思い起こして憤っているのかが理解で きるだろうか。真実が書かれているのだろうか。 歴史的事実を整理してみよう。 沖縄は、薩摩藩による侵略以降、薩摩藩に事実上支配されながら、清国へ朝貢して いた。日本政府は、1871年11月に嵐のため難破した船が台湾に漂着し乗務員が殺害さ れたことを、1872年6月に琉球に戻ってきた生存者の報告により知った。『琉球問題 そのもの以上に「問罪ノ師ヲ興シ」、「皇位威ヲ海外ニ張」ること、すなわち台湾出 兵を…遭難事件を表向きの理由に…するために…琉球が日本の領土であると内外に公 言しうる根拠を確立…琉球藩設置はそのために急がれ』(金城正篤著『琉球処分 論』)「同年9月尚王を琉球藩王とし、琉球を「日本帝国の一部分」とした。1973年5 月日清修好条約の批准書の交換のために清国に渡った特命全権大使は、乗務員を殺害 した部族が清国の「教化」の及ばない人々であるとの言質得ると、1874年2月台湾出 兵が決定された。8月末英国の仲介により、清国は日本に賠償金を支払いこの台湾出 兵は終了した。 琉球藩は、藩となった以降も清との関係を持っていた。また、清も琉球が日本の領 土であることを認めていなかった。台湾出兵が決着をみると政府は、琉球藩に清との 関係を断つことを求めた。しかし、尚王側は拒否をした。これに対して政府は、1879 年4月警察官160人余、兵士400人を率いて首里城で処分を断行し廃藩置県を言い渡し た。この琉球処分以降も税制度(宮古八重山での人頭税も含む)土地制度は王政時と 変わらず続けられ、一方学校では沖縄方言を使用した子供に「方言札」を首にかける など言葉や文化の面での同化が求められた。 以上の史実で明らかなことは、沖縄は薩摩藩や日本政府の対外的都合で統治形態が 変わり、人々の生活は顧みられることはなかった。しかも琉球処分は武力を背景に断 行され、その後も差別と同化による支配が行われた。この琉球処分を育鵬社教科書は 一言も書ず(他の教科書は記載されている)、歴史的な事実を都合く並べ、あたかも 外国からの不当な行為から守るために日本の国の下に置いたかのような記述である。 沖縄戦と戦後の沖縄 育鵬社教科書は沖縄戦について次のように記述している1945年【米軍は3月末以降 沖縄に上陸しました。激しい地上戦がくり広げられました。日本軍は沖縄県民と共に 必死の防戦を展開し、航空機による体当たり攻撃(特攻)、戦艦大和による水上特攻 も行われました。米軍に大きな損害を与えまが、・・・沖縄の中学生や女学生の中に はこの戦いに従軍して命を落とす人も少なくありませんでした。米軍の猛県民も含め た日本側の死者は18万〜19万にのぼり・・・その中には、中学生や女学生で戦いに従 軍して命を落とした人々や戦闘が激しくなる中で逃げ場を失い集団自決に追い込まれ た人々もいました。】(P239)と記載し、【逃げ惑う沖縄県民】【ひめゆり学徒隊 の看護活動】【沖縄戦直前に赴任した沖縄県知事・島田 叡】【大田実少将の電文】 と一ページを使って(P242)記載している。米軍と勇敢に戦った日本軍と沖縄県民 というスタンスで書かれ、日本軍による住民虐殺や壕からの追い出しが行われたこと が一切書かれていない。大田中将の電報も「県民は青年・壮年の全部が防衛召集に応 募してくれた。」と電報の原文にある「県民は青壮の全部を防衛召集に捧げ」を捻じ 曲げ、強制であった召集をあたかも希望して行ったかのような書き方をしている。 そして、戦後の沖縄についての記述は【戦後、沖縄はアメリカが施政権を持ってい ましたが、本土復帰をめざす沖縄の人々の長年の願いが実を結び、1972年5月佐藤栄 作内閣によって本土復帰が実現しました。】(P264)のたった3行だけである。 苛烈な沖縄戦、そして敗戦後は、アメリカの施政権下に置かれ、銃剣とブルトーザ により土地も奪われ、基地の島となった沖縄、しかも本土復帰後も米軍基地はそのま まにされ、今は米軍基地の新設や自衛隊の駐留も行われている現実。この事実に沖縄 の人々は怒っている。しかし、育鵬社教科書では、この怒りの意味が全く理解できな いのである。 ちなみにこの教科書は最後に【わが国は、過去の歴史を通じて、国民が一体感を持 ち続け、勤勉で礼節を大事にしてきたため、さまざまな困難を克服し、世界でも珍し い安全で豊かな国になりました。世界の中の大国である日本は、これからもすぐれた 国民性を発揮して、国内の問題を解決するとともに、世界中の人々が平和で幸せに暮 らしていけるように国際貢献していくことが求められています。】と結ばれている。 まるで安倍の施政方針演説のようだ。 現在も残る基地の問題については、育鵬社公民教科書のコラムに「沖縄と基地」の 中に書かれているが【沖縄は、日本に復帰しました。しかし、在日アメリカ軍基地 は・・・沖縄県にも残っています。沖縄には国内のアメリカ軍基地の専用施設の約 74%が存在します。(自衛隊との共用施設も含めた場合は約23パーセント)。日米安 全保障条約に基づく日米安保体制は日本の防衛の柱であり、アジア太平洋の平和と安 定に不可欠です。一方で、地域住民の生活環境への影響を考え、日本政府は沖縄をは じめとする各地域の実情にあった負担軽減をおこなっていま。沖縄では、基地の整 理・縮小や住宅密集地にある普天間飛行場の辺野古への移設などを進めています。】 と沖縄が今問題としていることなどまるっきり存在していない記述である。 この教科書で学んだ子供たちが、沖縄の人たちの怒りなど理解できない。そして、 この教科書を推奨している安倍とその親衛隊もまた沖縄の怒りなど理解できない。だ から平気で史実を捻じ曲げ、新聞を潰せとすら言うのである。 Created by staff01. Last modified on 2015-06-28 12:46:55 Copyright: Default |