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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■■■−ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク− ■■■■ ■■ のりこえねっと通信 0067号 2015年2月9日発行 ■■ ■ ◆転送歓迎◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 賛同者の皆さま のりこえねっと通信をお読みの皆さま 6日金曜日、韓国の学生の皆さん20名ほど（「希望ナビ」）にヘイトス ピーチについて話す機会をいただきました。どれくらい皆さんに事情をわ かっていただけるか不安でしたが、的確な質問や意見が多く出されて、私も 勉強になりました。あわせて「日本の学生とも交流したい」ということで呼 び掛けて参加してもらった高校生や大学生の皆さんとも、意見交換した後は 写真を一緒に撮ったり、メルアドを交換したりしていて、こういう若い世代 の草の根の交流が進めば、ヘイトスピーチが生まれないのにと思いがわきあ がりました。 朝鮮語も勉強したいという声も出たようですので、ぜひ継続的に交流してい ただければ、うれしいです。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 〈今号の目次〉 １．2月9日 のりこえねっとTVのお知らせ 「ヘイトスピーチと宗教」 釈氏政昭×辛淑玉 ２．2月2日 のりこえねっとTV報告 「ヘイトスピーチとは何か」野間易通（C.R.A.C.） ３．反レイシズム情報 ４.今週のヘイト街宣・デモ Pick Up ５．新聞・雑誌記事・Webより ６．国連人権理事会の報告書に「のりこえねっと」紹介 ７．編集後記 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●１．2月9日 のりこえねっとTVのお知らせ ◎タイトル： 「ヘイトスピーチと宗教」 釈氏政昭×辛淑玉 ◎放送日時 2月9日(月) 21:00〜22:00 ◎YouTube Live URL: https://www.youtube.com/watch?v=6pPvR2csRJ8 ＜番組概要＞ １．浄土真宗について ２．釈氏さんにとって、宗教とはなにか。 ３．宗教と日本の近代（政治と宗教） ４．世界の「宗教対立」といわれるものに関して ５．排外主義、レイシズム、ヘイトスピーチに対して ６．私達はどこにむかって、何をしなくてはならないか。 真宗大谷派 釈氏政昭さん 「権力に媚びた宗教だけ生き残っている」と厳しいコメント。 流罪にされた親鸞上人は何を問うたのか。 絶望と憎しみがこだまする世界と、日本国内での ヘイトスピーチやヘイトクライムを、宗教者の立場から 縦横無尽に語ってもらいました。爆笑と眼から鱗の１時間。 ＜出演者＞ ◆釈氏政昭（きくち・まさあき） 真宗大谷派 福善寺 前住職 ◆辛淑玉（しん・すご） 人材育成コンサルタント、東京生まれの在日コリアン3世。 企業、自治体、教育機関からの依頼で、人材育成、人権・男女 共同参画に関る講演等を行う。 東日本大震災以降は被災地支援にも尽力。 2013年ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク 「のりこえねっと」を立ち上げ共同代表に就任。 2003年に「第15回多 田謡子反権力人権賞」受賞。 「2013エイボン女性年度賞」受賞。 著書に、『怒りの方法』『悪あがきのすすめ』（とも に岩波新書）、 『差別と日本人』（角 川テーマ21）『大人の女の流儀』（PHP研究所） など多数。 ◆視聴方法について／YouTubeをワンクリック！ のりこえねっとTVは、YouTubeで生放送を行っています。 アカウント等は不要で、本日の番組は以下にアクセスするとご視聴いただけ ます。 ◎YouTube Live URL: https://www.youtube.com/watch?v=6pPvR2csRJ8 ※のりこえねっとでは、2015年1月より、ニコニコ生放送での、のりこ えねっとTVの放送(配信)を一時中止することになりました。その経緯、詳細 はのりこえねっとのホームページに掲載してあります。ご理解・ご協力をお 願いします。 http://www.norikoenet.org/about_niconico_20150105.html ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●２．2月2日のりこえねっとTV報告 「ヘイトスピーチとは何か」 野間易通 「ヘイトスピーチ」という言葉が広く知られるようになって2年あまり、各 地で反ヘイトスピーチの動きが活発化しています。一方で、「ヘイトスピー チ」と悪口や罵詈雑言の違いについて、誤解もまだまだ見られる様子。そこ で今回は原点に立ち返り、「ヘイトスピーチ」という言葉の指し示すものを 今一度おさらいします。 hate speechは「憎悪・憎しみ」と「発話・表現全般」のすべての表現 ヘイトスピーチがさまざまな媒体で知られ始めたが、情報発信する立場に あるマスコミがヘイトスピーチという新しい概念についての理解が曖昧なよ うに感じるとし、最近、使い方が変だと思うことが続いたので、それを例に 語りたいと、最初に野間さんは述べます。そして結論的に、hate speechは 「憎悪・憎しみ」と「発話・表現全般」の組み合わせであり、つまりヘイト の言葉ではなくヘイトの文書・言葉・写真などすべての表現だと注意を喚起 します。 そして具体例を挙げていきます。まず、大阪の日本城タクシーが、ヘイト スピーチを許さないというステッカーをタクシーに貼っているという新聞記 事を例に、社長の言葉を伝える部分が惜しく、もう少し注意深く書いて欲し かっと語ります。記事中で「ヘイトスピーチ（差別扇動行為）」としている ので記者は理解しているのだろうが、ヘイトスピーチを「人を罵る言葉」と して記述している。しかし内容は素晴らしいので他のタクシーも倣って欲し いと付け加えます。 議論のふりをしたヘイトスピーチに要注意 そして、単なる悪口ではないことを伝えるのが難しいところとして、人気 と影響力のあるブロガーのブログを挙げます。日本でのヘイトスピーチは目 に余る状態になっており、彼らの言葉の汚さには愕然とする。ネットで誤っ た偏った情報を信じこんだにしても、何がどう問題なのか、制度をどう変え て欲しいのかを普通に主張すれば良いだけのことであって罵る必要はない、 という内容のものです。野間さんは、言葉の汚さ自体が問題視されるのは当 初の彼らのデモの酷さから誤解が広まったのだろうとしつつ、しかし丁寧な 言葉で外国人特権があるから正せと宣伝してもそれはヘイトスピーチであ り、汚く暴力的な言葉が問題なのではなく差別的な表現がヘイトスピーチで あることを押さえておきたいと強調します。 次に小林よしのりさんのブログを取り上げます。小林さんと香山リカさん の対談をめぐるネット上のやり取りの中で、香山さん寄りの人からヘイトス ピーチ・漫画家差別がなされたとし、小林さんが「お前らも差別・ヘイトス ピーチしている」と批判していると、野間さんが説明します。「漫画家だ ろ？ 安全地帯からウンコ投げやがって。一生それをやっているのか？」と いう内容を指しているとのことで、ひどい罵倒ではあるが、行動を汚い言葉 で批判するのはヘイトスピーチではないと指摘します。そして漫画は現在の 日本を代表するサブカルチャーと認められるので漫画家が差別されていると は見がたいとし、この言葉をもって漫画家差別というのは揚足取りに過ぎな いと、野間さんは一蹴します。 また小林さんは「議論すること自体がヘイトスピーチだとして封殺するの は議論されたらまずいことが発覚すると恐れるからだろう」と書いているそ うで、野間さんは議論とヘイトスピーチは果たして別物なのかと問います。 野間さんは、タブーを設けて議論をしにくくすることへの批判から出ている のだろうとし、それ自体は間違いではないが、議論のふりをしてのヘイトス ピーチがあって同時に成立しうると語ります。在特会などが議論のための学 習会や講演と銘打ってヘイトスピーチしているのが典型と指摘します。その 発言はヘイトスピーチだと指摘するのも議論のうちであり、その指摘をヘイ トスピーチだとして封殺すれば議論が成り立たなくなると批判します。 ヘイトスピーチの本質は差別表現 理解しない産経編集委員 さらに野間さんは、産経新聞の阿比留瑠比編集委員のコラムを取り上げま す。コラムは、朝日・東京・毎日の各紙は河野談話などへの安倍見解を批判 して偏見をもって扱い、執拗に繰り返しているとし、特定個人を標的にした 悪意あるヘイトスピーチだとの内容を書いている。ひどすぎる内容であり、 もし安倍批判が誤りだったとしてもそれをヘイトスピーチだとして批判する のは間違いだと指摘します。まして「差別的ですらある」と加えているのを みると、ヘイトスピーチの本質は差別表現であることを彼は全く理解してい ないと批判します。そもそも差別とは多数がその力によって少数をいじめる ことなのだから、権力者への差別はほぼ成立しないと語ります。例えば橋下 大阪市長の出自を暴いた週刊朝日の記事も、差別されているのは橋下市長個 人よりも被差別部落の全体であり、同様に安倍首相個人への差別はその定義 上成立しないと強調します。またこのコラムは気に入らないものを差別・ヘ イトスピーチと言いつのるわかり易い例だと指摘します。はっきりと定義さ れているヘイトスピーチを曖昧にしたまま、批判するためにのみ何の脈絡も 無しにその言葉を持ち出すのは、意味がはっきり伝わっていないという問題 ではなく差別の悪用であり、産経のコラムは悪質と断罪します。 ヘイトスピーチの定義は、「人種、皮膚の色、国籍、民族など、ある属性 を有する集団に対して貶めたり暴力や差別行為を扇動したりするような侮辱 的表現」であると野間さんは語ります。不変の属性だけでなく宗教などもあ るし、社会的な力関係によって決まるものだとし、黒人・貧民・ホームレ ス・LGBTへの攻撃も同じだと語ります。またクライムやスピーチとセットで 使われる場合のヘイトとは、「人種、肌の色、宗教、国籍、民族性、ジェン ダー、障害、性的指向等に対する偏見」であると語ります。国際人権B規約 （自由権規約）20条では「差別、適意又は暴力の扇動となる国民的、人種的 又は宗教的憎悪（ヘイト）の唱道は、法律で禁止する」と定義づけ、日本も 加入している人種差別撤廃条約4条でも「人種的憎悪」が明記されている。 また在特会の攻撃を人種差別行為と認定した京都朝鮮初級学校を巡る最高裁 判決は、ヘイトスピーチを「平等の理念を否定し、少数集団に対する憎悪を 煽り立て、少数集団に属する人々の自尊心や民族的自我を傷付け、少数集団 に対する深刻な被害をもたらすものであって……人種差別撤廃条約が禁止して いる＜人種差別＞に該当する」と定義している。このことからも、安倍首相 へのヘイトスピーチだと批判する産経のコラムが全くデタラメな記事だとわ かり、産経だからと納得せずに勉強しろと言っていくことが必要だろうと指 摘します。 表現全体の意味として差別的であるかどうかが問題 これまでのヘイトスピーチの訳語は、13年ころは「憎悪表現」が多くて罵 詈雑言と誤解しやすいものだったが、確定判決に沿って正確に訳すと「差別 扇動表現」が近いだろうと野間さんは指摘します。そして少数者に対する差 別表現であって、言葉の汚さは本質的問題ではないと繰り返し強調します。 語る人の立場で決まるのではなく内容によって決まる、つまり多数であるこ とを背景にしたものであり、それ以外は「不快表現・けんか言葉」だと指摘 します。そして少数者として不利な状態に置かれていることをもってさらに 攻撃する言葉だから、アンフェアで卑怯であることがヘイトスピーチの問題 と指摘します。障害のある人を攻撃する卑劣さは誰しも理解しているだろう が、それだけではなく民族性や宗教、たとえば「イスラム国（IS）」が問題 だからといってムスリムを攻撃する人がいればそれはヘイトスピーチだし、 そういう卑劣なことは止めようというのが根本だろうと野間さんは語ります。 終わりに野間さんは、ヘイトスピーチを概括して「差別を扇動するような 発言内容のこと」、「言葉の乱暴さは関係がない」、「＜差別用語＞の有無 も無関係」、「ていねいな言葉で言ってもヘイト」と4項目にまとめます。 そして表現全体の意味として差別的であるかどうかが問題であると繰り返し て終わります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●３．反レイシズム情報 ★公式サイト 学習会カレンダーにも順次掲載致します！ http://www.norikoenet.org/workshop.html#callendar ★集会・デモ・カウンター・セミナーなどのお知らせを掲載します。 日時、会場、タイトル及び内容、主催者、主催者の連絡先などを400文字 以内で、お送り下さい。件名に「のりこえねっと通信掲載希望」と明記して 下さい。 １）コリアキネマ倶楽部第172回上映会 戦後70年「日韓の平和を祈る」（2） 日時：2月14日（土）18:30〜 場所：文京シビックセンター4階会議室 〔南北線,丸ノ内線,大江戸線,三田線／後楽園駅,春日駅直結〕 内容：『日韓併合への道』 (1994)カラー・16�� 『朝鮮半島 植民地支配の実態』(1994)カラー・16�� 『世界に開かれた窓 〜 出島と朝鮮通信使』 『中国大陸侵略 〜 太平洋戦争への道』 入場料：無料 予約不要 http://homepage2.nifty.com/taejeon/index.htm ２）ＪＣＪ緊急講演会「慰安婦証言、ねつ造ではない」私は闘う ―元朝日記者・植村隆さんを迎えて 日時：2月17日（火）18:30〜 場所：文京区民センター3階・３Ａ 南北線,丸ノ内線,大江戸線,三田線／後楽園駅,春日駅徒歩5分 講師：植村隆さん（元朝日新聞記者） 山口智美さん（モンタナ州立大学准教授） 「『慰安婦』問題はなぜ叩かれるのか？」 資料代：1000円（学生500円） 主催：日本ジャーナリスト会議（略称ＪＣＪ）ＦＡＸ03-3291-6478 協賛：負けるな北星！の会、新聞労連、出版労連、民放労連、日本マスコミ 文化情報労組 会議（ＭＩＣ）、週刊金曜日、新聞ＯＢ九条の会、マスコミ 九条の会など多数 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●４.今週のヘイト街宣・デモ Pick Up カウンター行動（抗議行動）される際は、十分お気をつけ下さい。 経験が少ない方は、複数での参加をお勧めします。 １）テロリストを許すな！ 表現の自由を守れ！ デモ行進in東京【東京支部】 ●日時：2月14日（土）10:30〜集会 11:00〜デモ出発 ●場所：代々木公園けやき並木（アイアンシアタートーキョー前辺り） ●主催： 在日特権を許さない市民の会 東京支部 ●現場責任者：八木康洋 （在特会会長） ※ヘイトスピーチ規制に対抗して在特会が行うデモ。会長が交代して初の大 きなデモになります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ５．新聞・雑誌記事・Webより 「憎しみ」を売る人々 魚住昭の誌上デモ「わき道をゆく」第101回現代ビ ジネス 2月1日 現代ビジネス 読者に是非お薦めしたい本がある。『NOヘイト！?出版の製造者責任を考え る』（ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会編・ころから 刊）だ。 新書判144ページの薄い本なのだが、内容は濃くて深い。書店に嫌韓嫌中の ヘイト本をあふれさせているのは誰か？今まで誰も表立って問わなかった出 版の製造者責任を、業界内部の人間たちが悩み苦しみながら告発している。 メンバーはさまざまな出版社の社員やフリーの編集者、それに書店員ら約20 人。彼らの気持ちは次の文章によく表れている。 〈いつの頃からか、ヘイトスピーチが私たちの日常の風景になりました。／ 書店には「嫌中」や「嫌韓」を堂々と掲げた本が無数に並び、車内広告には まるで戦争前夜のような煽り文句が躍ります。／「差別は許されない」とい くら表の顔で語ろうと、公のメディアの上であからさまに他国や他民族を蔑 視した言説が許容されている現実のもとでは虚しく響きます〉 〈どこかで良識のブレーキがかかると信じたい気持ちはあります。／しかし 万一、そのブレーキがかからなかったとき、出版業界は果たして何の責任も なかったと言えるでしょうか。／取り返しのつかない結果の後で、いかに 「反省」を口にしても遅いことは、この国の歴史が示しています〉 私も同じ業界の住人だから、本を愛する彼らの切ない気持ちは痛いほどわか る。たしかにヘイトスピーチは今や日本の出版界の「日常の風景」だ。まと もな神経では読むに堪えないヘイト本が続々と出る。その内容の低劣さはタ イトルをざっと眺めただけでもよくわかる。 『もう、この国は捨て置け！?韓国の狂気と異質さ』（ワック刊） 『韓国とかかわるな！?韓国とかかわると人も国も必ず不幸になる―Kの法 則』（アイバス出版刊） 『笑えるほどたちが悪い韓国の話』（ビジネス社刊） 『日本人が知っておくべき嘘つき韓国の正体』（小学館刊） 『中国人韓国人にはなぜ「心」がないのか』（ベストセラーズ刊） （略） http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41785 ------------------------------------------------------------------- イスラム社会と手を携えて 日本経済新聞 2月3日 過激派「イスラム国」によるとみられる邦人人質事件は、日本を「明確な 敵」と位置づけるテロ組織が存在するという現実を、改めて見せつけた。日 本もテロの脅威に直面していることを理解する必要がある。そのうえでな お、冷静に考え、対応していきたい。 イスラム社会への反発や批判をいたずらに強め、イスラム社会を敵視するこ とは、むしろテロ組織の側を利することになる。イスラムと反イスラムに社 会を分断し、混乱を作り出していくことこそ、彼らの狙いだからだ。 日本はこれまで中東で一度も武力を行使したことはなく、ビジネスや技術の 供与などを通して地域の平和と安定に貢献しようとつとめてきた。これは 誇っていい。テロ対策としていま行っている支援もまた、食料や医療など人 道的な観点からのものである。 こうした姿勢を理解しようとしないならず者がいることが、今回の事件で はっきりした。テロに屈することなく国としてテロを封じ込める手を打ち、 国際的な取り組みを支援していくのは当然だ。 その一方、イスラム国が仕掛ける「憎しみ対憎しみ」の土俵に私たちが乗っ かり、イスラム社会そのものを危険視するようなことがあってはなるまい。 当たり前だが、イスラム社会のほとんどの人はテロと関係ない。今回の事件 でも、人質となった邦人２人の安否を気づかいテロを非難する声が、日本の イスラム社会の中から寄せられた。 気にかかるのは、インターネットの普及などを背景に、極端で攻撃的な主張 が近年さまざまな場面で目立っていることだ。特定の人種や民族への差別を あおるヘイトスピーチ（憎悪表現）なども問題になっている。偏狭な排他主 義は状況を悪くするだけだ。 テロの撲滅に向け引き続き各国との連携を強めながら、イスラム社会とこれ まで以上につながりを深め意思疎通をはかっていく。それこそが新たな犠牲 者を生まない道ではないだろうか。 http://www.nikkei.com/article/DGXKZO82726270T00C15A2EA1000/ -------------------------------------------------------------------- ヘイトスピーチ:「規制を」 教職員ら２５人が研修 ／熊本 毎日新聞 2月3日 特定の人種や民族への憎悪や差別をあおる「ヘイトスピーチ」問題を考える 研修会が２日、菊陽町の町立武蔵ケ丘中であった。町人権教育推進協議会内 の帰国・外国人教育推進部会主催で、教育関係者ら約２５人が参加した。 研修会では、熊本市の市民団体「コムスタカ?外国人と共に生きる会」の中 島眞一郎代表が「人種・民族・外国人差別をなくそうーヘイトスピーチ問題 を考える」のテーマで講演。国内外の事例や規制状況を紹介しながら「（日 本は）『表現の自由』の名の下に野放し状態。憎悪や差別感情が増幅すれ ば、犯罪行為に拡大する危険性もある」と指摘した。 また、中島代表はヘイトスピーチを規制する法律の必要性を強調。「ヘイト スピーチは犯罪で許されないという社会認識を広めることで処罰や処分を具 体的に行う実例を積み上げていく必要がある」と訴えた。【井川加菜美】 http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20150203ddlk43040511000c.html -------------------------------------------------------------------- 文春、産経の「反日」攻撃でアンジーの映画が公開見送りに！ ネトウヨが 作る検閲社会 LITERA 2月3日 「これは反日的な映画ではない。」 アンジェリーナ・ジョリーが自身監督の映画『アンブロークン』（原題）を めぐって、読売新聞のインタビューに登場し、こんな弁明をした。 昨年末、アメリカで封切られたばかりの映画『アンブロークン』は、太平洋 戦争で日本軍の捕虜となった元オリンピック陸上選手ルイス・ザンペリーニ 氏の半生を描いたものなのだが、劇中には日本兵による虐待シーンがあり、 さらに原作に「日本兵による食人」の記述があることから、ネトウヨ、保守 主義者の間で「これから上映のアンジェリーナの映画は、日本兵が外国人捕 虜を虐待して殺害して食べたという捏造映画だ」という批判が高まった。 「アンジェリーナの反日食人映画を許すな」 「ウソも甚だしい！アンジーは反日プロパガンダをやめろ！」 配給元にはこんな抗議の声が殺到し、日本での公開ができない状況に追い込 まれた。そこで、アンジーがわざわざ日本のメディアに登場して「反日では ない」と否定したというわけだ。 だが、彼女のインタビューを待つまでもなく、この映画は「反日映画」など ではまったくない。映画のなかには「食人」に関する描写はワンカットもな く、ただひとつのセリフのなかでも触れられてはいないのだ。「『アンブ ロークン』は日本軍による食人映画」というのは “完全なるデマ”だったの である。 実はこれについては、在米の映画評論家・町山智浩氏が今年1月の段階で 「完全に間違った情報によって叩かれている」と指摘していた。ラジオ番組 『たまむすび』（TBS系）のなかで『アンブロークン』を取り上げた町山氏 は、こう解説している。 「『アンブロークン』っていうタイトルは、『不屈』『くじけない』という 意味なんです」 「ザンペリーニさんは、日本軍から開放された後、アメリカに帰国するの ですが、長い間拷問されていたので、憎しみが渦巻いて、もう悪夢の中で何 度も何度も拷問した軍曹を殺す夢を見るんです。でも、その憎しみから解放 されるには、結局、相手を赦すしかない。敵を赦すしかないんだ、という結 論に彼は達した」 「映画では最後、ザンペリーニさんが、日本の人たちに拍手されながら、 長野オリンピックで、聖火ランナーとして走る映像が出てきます。だから、 これは別に日本が悪いという映画でもなんでもない。本当に強い男は敵を赦 す。そういう話なんです」 （略） http://lite-ra.com/2015/02/post-837.html ---------------------------------------------------------------- 反ヘイトへうねり市民集会連続開催…島根県議会での可決めざす 民団新聞 2月4日 【島根】「島根ヘイトスピーチを考える集い」が1日、出雲市の勤労青少年 ホームで開かれた。東アジア市民との友好を目指して県内で活動してきた 「日本韓国の市民友好の会」（江角秀人代表）が呼びかけた。昨年の松江集 会に続き2回目。 討論では参加者から、「日本人でも外国人でも、一人ひとりの人権は尊重さ れなければならない。表現や言論の自由という彼らの主張は論理破綻であ り、暴力だ」「法律をつくることがすべてを解決することにはならないが、 法の整備は基本的に必要」といった意見が出た。 同会では、ヘイトスピーチに反対し、国に法整備を求める意見書の県議会で の可決をめざす。5月には島根県民会館でも集会を開く。 http://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=2&newsid=20021 ------------------------------------------------------- 東京とオーケストラ交流へ 訪日中のソウル市長が計画明かす 朝鮮日報 2月4日 【東京聯合ニュース】日本を訪問している朴元淳（パク・ウォンスン）ソウ ル市長は３日、記者団と懇談し、「東京都知事と会い、ソウル市立交響楽団 と東京都交響楽団が協演する問題について実務協議を始めることになった」 と明らかにした。 韓中日の新たな「ＢｅＳｅＴｏ」協力に関し、朴市長はオーケストラ協演に ついて言及した。ＢｅＳｅＴｏは北京（Ｂｅｉｊｉｎｇ）、ソウル （Ｓｅｏｕｌ）、東京（Ｔｏｋｙｏ）の頭文字で、韓中日の首都交流の枠組 みを示す。朴市長は同日、東京都の舛添要一知事との会談でＢｅＳｅＴｏに 関して話し合ったようだ。 朴市長は、長期的には北京も交えた３都市のオーケストラの協演に期待を示 した。年内の３都市巡回公演を目標に掲げた。 北朝鮮・平壌のオーケストラとの交流については実質的に困難との見解を示 しながらも、北京が参加すれば平壌も参加しやすくなるのではないかと話した。 また、朴市長は舛添知事と、日本での「嫌韓」の動きに対し意見を交わした ことを明らかにした。「舛添知事が嫌韓勢力とヘイトスピーチ（憎悪表現） 問題に言及し、防止に最善を尽くすと話した」と伝えた。 さらに舛添知事は東京都内に韓国人学校を増やしたいとしてソウルの支援を 求め、朴市長は喜んで支援すると答えたという。現在、韓国人学校は東京都 内に１校しかない。 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/02/04/2015020402026.html ---------------------------------------------------------- ギリシャ極右政党、党首ら72人が裁判へ 殺人や犯罪組織参加の罪 AFP 2月5日 ギリシャの極右ネオナチ政党「黄金の夜明け（Golden Dawn）」の党首を含 む関係者72人が、殺人や犯罪組織への参加などの罪で裁判にかけられること になった。司法筋が4日、明らかにした。 反移民を掲げる同党は、先月に行われた総選挙で国会の300議席のうち17議 席を獲得し、第3党となっていた。 同司法筋によると、2013年9月に起きた「黄金の夜明け」支持者によるギリ シャ人ラップ歌手刺殺事件後に開始された15か月にわたる捜査の結果を受 け、裁判官らが審理の開始を決定した。同党は、その後さらにパキスタン人 移民の殺害と政敵への暴行に関与した疑いが持たれている。 72人の大半の罪状は、ギリシャで重罪とされる犯罪組織への参加だが、一部 は殺人や武器所有、人種差別に基づいた暴力行為などの罪に問われている。 被告の中には複数の警察官が含まれ、有罪となれば最大で禁錮20年の判決を 受ける可能性がある。 公判の期日は未定だが、現在拘束下にあるニコラオス・ミハロリアコス （Nikolaos Michaloliakos）党首ら6人の同党議員が釈放される予定の5月末 より前になると見られている。(c)AFP/Helene COLLIOPOULOU http://www.afpbb.com/articles/-/3038826 ---------------------------------------------------------- 名古屋モスク:脅迫・嫌がらせ 「後藤さん人質」で相次ぐ 毎日新聞 2月5日 イスラム過激派組織「イスラム国」（ＩＳ）による人質事件で、名古屋市中 村区のイスラム礼拝所「名古屋モスク」へ脅迫や嫌がらせの電話が相次いで いる。モスクの代表役員で、パキスタン人のクレシ・アブドルワハブさん （５７）は「イスラムは平和の宗教であり、過激派組織とは無関係だと知っ てほしい」と訴えている。 クレシさんによると、嫌がらせ電話は、後藤健二さんの殺害場面とされる動 画がインターネットに流れた今月１日の５、６件がピークで、この時は電話 線を抜いた。「日本から出て行け」「家族構成は分かっている」といった内 容で、愛知県一宮市の別のモスクには「殺す」との脅迫もあった。名古屋モ スクには「日本人の敵だ」と中傷するメールも送られ、警察に届け出た。 こうした嫌がらせは、名古屋モスクが１９９８年７月に完成してから初めて という。２００１年９月の米同時多発テロや０４年にイラクで香田証生さん が過激派組織に殺害された際も無かった。今回は「過激派が『イスラム国』 の名称を使っているから、イスラム教徒に矛先が向かう」と考える。今月２ 日には、モスクに通うパキスタン人が営業先の日本人に「来るな」と追い払 われたという。 以前から偏見は強いと感じてきた。数年前に次男が小学高学年だった時、級 友に「お前、爆弾巻いてるの？」と聞かれ、クラスが笑いに包まれたが、教 諭は放置したという。次男はこれを機に一時、不登校になった。クレシさん は「一気に『ヘイト（憎悪）』が向かってくるかも」と恐れている。 クレシさんら国内１０カ所以上のモスクの代表者は先月末、「イスラム国」 という名称がイスラムのイメージを不当に損なっているとして、同名称を使 わないよう報道機関などに求める運動を始めた。「『イスラム国』の名称を 使えば、暴力的な宗教だとの偏見が助長される」と指摘する。英語の略称 「ＩＳＩＳ（イラク・シリアのイスラム国）」や「ＩＳＩＬ（イラク・レバ ントのイスラム国）」、アラビア語の略称「ダーイシュ」などの使用を呼び かけている。 クレシさんは、性風俗の業態名として誤用されていた「トルコぶろ」を 「ソープランド」に改名する運動が８０年代に成功した例を引き合いに、 「名前による負のイメージは影響が大きい」と話し、使用名称の変更に期待 を寄せる。同モスクでは見学を受け付けており、希望者にはイスラムについ て説明したいという。【花岡洋二】 http://mainichi.jp/select/news/20150205k0000e040193000c.html ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●６．国連人権理事会の報告書に「のりこえねっと」紹介 http://www.norikoenet.org/news.html#A_HRC_28_64 国連人権理事会のリタ・イザク「マイノリティ問題特別報告者」の今年の報 告書（A/HRC/28/64. 5 January 2015）が人権理事会のサイトに公表されま した。今年のテーマはヘイト・スピーチです。 [SYMBOL A/HRC/28/64] のパラグラフ98に「のりこえねっと」が紹介されて います。 98. Norikoe Net is a Japan-based group working to overcome hate speech and racism, often targeted against Koreans, in Japan. The group joined forces with others to collectively counter racism and hate speech by organizing anti-hate speech events and protests and pushing for the enactment of anti-discrimination legislation in Japan. 「のりこえねっとは日本に本拠のある団体で、日本における朝鮮人を標的と したヘイト・スピーチとレイシズムを克服するために活動している。他団体 と協力してレイシズムとヘイト・スピーチに集団的に対抗するために、反ヘ イト・スピーチのイベントや抗議を組織し、日本において人種差別禁止法の 制定を推進している。」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●７．編集後記 ８日、札幌でいわきで銀座で神戸で行われたヘイトデモ・街宣、予想にた がわずひどいものでした。ニコ生で中継していたものをチェックしました が、先週のTVで野間さんが指摘していた通りの「議論のふりをした」ヘイト スピーチの数々でした。ちょうど同じ時間私たちは「Dear Caroline Project」で中学生と絵手紙を書いていたのですが、この子たちにが懸命に 書いていたメッセージとは正反対なものです。差別のない平和な世界を願う 中学生のメッセージがキャロラインケネディ駐日アメリカ大使や安倍首相に きっと伝わると、私たちは信じています。（か） ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★メールアドレスのご変更等は、info@norikoenet.org までご連絡下さい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■のりこえねっと通信 0067号 2015年2月9日発行 info@norikoenet.org 発行：のりこえねっと事務局 運営団体：のりこえねっと 〒169-0072 東京都新宿区大久保2-7-1大久保フジビル 311 ペンの事務所気付 Tel.03-5155-0385/Fax.03-5155-0383 公式サイトURL http://www.norikoenet.org/ Twitter https://twitter.com/norikoenet ◆お問い合わせは、上記の公式サイト、最上部の各種 「お問い合わせフォーム」よりご連絡下さい。 (C) のりこえねっと All rights reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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