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松本昌次のいま、読みつぎたいもの(第三回) : 丸山眞男「憲法第九条をめぐる若干の考察」 | ||||||
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丸山眞男「憲法第九条をめぐる若干の考察」ところで、これらの動向に対する斎藤美奈子氏の批判「敵に送る塩?」(東京新聞11月11日)は、小さな「本音のコラム」欄ですが、わたしは大きな共感を覚えずにはおれませんでした。斎藤氏は、「私が官邸の関係者なら『しめしめ』と思いますね。」と書いた上で、新九条論者の意見は、結局は、「改憲OKの気分」を醸成するもので、「憲法を現実に近づけませんか」の話ではないかとのべ、「このタイミングで、あの政権下で、改憲論を出す。彼らはウハウハである。『あとは新九条論者と護憲論者の対立を煽(あお)るだけですよ、総理』『だな。もう新聞も味方だからな』」という、官邸内でかわされるであろう対話でコラムは閉じられます。 ここで、50年ほど前に発表された丸山眞男氏(写真)の「憲法第九条をめぐる若干の考察」を思い起こします。単行本で50ページほどの長い論考ですから、ほんの一部にしか触れることはできませんが、憲法の前文と第九条が相関連しつつ、日本にとってのみならず世界の恒久平和にとって、また人民主権の確立のためにどれほどすぐれたものであるかを、歴史的にも連関させつつ精緻に論じた論考です。新九条論者の人たちももちろん読んでいることと思いますが、どうでしょうか。 丸山氏は、例えば、自衛隊がすでにあることが問題ではなく、これをどうするかの方向づけにこそ問題があるとして、憲法を遵守する義務を負った政府は、防衛力を“漸増”するのではなく“漸減”する義務があるとのべています。自衛隊がいまあるという現実によって憲法を改正するのではなく、憲法によって現実、つまり政府の暴走を縛らねばならないのです。丸山氏は、アメリカ憲法の修正箇条第十四条と十五条にもふれ、そこでは、市民の平等と人種差別を禁止していますが、百年たっても現実は変らない、しかし政府や議会から改正しようという提案があったためしがないと語っています。また、敗戦翌年三月、政府の憲法改正草案が発表された直後、幣原喜重郎首相が、熱核兵器時代における「皆殺し」戦争の悲惨さを予見し、やがて世界は、日本の戦争放棄の大旗についてくるでしょうと語ったことも、丸山氏は紹介しています。安倍首相とその取巻きともども、新九条論者たちは、いったい、どんな戦争、どんな侵略軍、どんな自衛軍を想定しているのでしょうか。 前記「生活と自治」の中のインタビュー記事でも、森達也氏は語っています。「改憲論者は9条をお花畑やメルヘンなどとからかいますが、そんな甘いものではありません。人類の戦争の歴史に真っ向から対峙するアンチテーゼです。日本が銃を持たないことに成功し続ければ、人類にとって大きな前例になります。」と。池澤氏や加藤氏は、安倍政権の“右折の改憲”に対し、それぞれの改憲案を“左折の改憲”と呼んでいますが、人類が到達した最高・最善の規範としての、日本国憲法の前文・第九条という道標をしっかりと見つめて、右顧左眄することなく、勇気と誇りをもって直進の道を歩むべきだとわたしは思います。 <引用文献> Created by staff01. Last modified on 2015-12-01 11:12:10 Copyright: Default |