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ブラック企業をたおせ!

12月2日に行われたブラック企業ICC外語学院に対する最終公判と口頭証言の簡単なまとめです。

「我々はパンだけではなくバラも要求する!」

私の仕事、有給休暇、社会保障を返せ!
ブラック企業をたおせ!

みなさんこんにちは。

2014年12月2日、横浜地方「労働」裁判所にて行われたブラック企業ICC外語学院に対する訴訟の最終公判と口頭証言についての報告です。ブラック企業ICC外語学院は私が勇気を出して有給休暇と社会保障を要求したとたん、私を不当に解雇しました。

もし背景や詳細が知りたい場合は、あるいはこのブラック企業ICC外語学院の社長の名前が知りたい場合は、以下のサイモン・スコット記者によるジャパン・タイムスの記事を読んでみてください。英語版、日本語版があります。

英語 http://www.japantimes.co.jp/community/2014/04/14/issues/suit-over-dismissal-to-tackle-thorny-issue-of-language-teachers-employment-status
日本語 http://www.labornetjp.org/news/2014/0924brkic

私にとっては国籍なんてどうでもいいことですが、この私の元雇用主はイスラエル人です。なぜわざわざこんなことを書くかというと、それはまた後程。

さて、それでは12月2日。

以前から書いているように、私は資本主義体制と闘ううえで裁判所に大した正義は期待していません。裁判所とは資本主義が労働者を合法的に奴隷化するための一つの道具にすぎません。と言うか、裁判所がきっちり正義に基づいていないことがわかるのに大した洞察力は必要ないでしょう。もし裁判所が本当に正義に奉仕するものであったら、私たち労働者は最初からこんなひどくみじめな境遇には立たされていないはずです。この産業化された世界では労働力のほとんどは不安定な状況にはまり込んでしまっています。それでは……正義はどこに?正義、私たち労働者ための真の正義とは路上で、私たち労働者によって掴み取られるべきなのです。そしてちょっと脱線してしまいますが、好むと好まざるにかかわらずその過程には血が流れるでしょう。

私の仕事、有給休暇、社会保障を返せ!ブラック企業をたおせ!

12月2日の話に戻ります。証言台に立つ際に私は以下のことを読まなければなりませんでした。「私は真実を、真実そのものを、そして真実だけを語ることを誓います。(ミッキーマウスよお力添えを)」

原告側、つまり私と私の弁護士は私がブラック企業ICCに22年間契約もなく被雇用者として、そして契約社員でも下請でもフリーランスでも(日本語では「業務委託」)、その他ブラック企業ICCが有給休暇や社会保障を払わなくてよいよう押し付けようとしてきたいかなるでっちあげもなく勤務してきた、という論理に焦点を当てようとしました。私たちの要求は有給休暇と社会保障を勝ち取ったうえでの職場復帰です。

被告側、ブラック企業ICCは、彼らの持ち時間の80%かそれ以上を私の政治活動、FACEBOOKへの投稿、外見と何年も前の規則違反の話に費やしました。彼らの目的は私が職場に復帰できないこと、です。

私の仕事、有給休暇、社会保障を返せ!ブラック企業をたおせ!

話を続ける前に言っておかなければならないことがあります。傍聴席は平日にもかかわらず私の労働組合のメンバー、友人、支援者たちでほぼ満席でした。素晴らしくて美しい人たちです。みなさん本当にどうもありがとう!!!みなさんの助けがなければここまで闘ってこられなかったし、これからも闘っていけないでしょう。ありがとうございます!ちなみに敵側にはブラック企業ICCの社長、彼の弁護士(私は彼に対し一切敬意を持っていません)、そして社長の……なんと言いましょうか、とりあえず「根性なし仲間」とでもしておきます、が来ていました。

私の反対尋問の際、敵側の弁護士が私にFACEBOOKの投稿について説明を求めてきました。すなわち、「あなたは『日本の天皇をファックする』と書いていますが、これは陛下に性的な暴行をくわえるという意味ですか?マザーファッカーとはどういう意味ですか?FUCKとは?……」

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誓って言いますが、嘘ではありません。

私は今回の裁判で通訳を介して証言することにしていたのですが、すばらしい通訳をしてくれたこのかわいそうな女性はずっとファックとは言えずF-U-C-Kとスペルで訳していました。

ある場面でブラック企業ICCの弁護士が私に質問しようと必死になっていた時です。私はすみません、質問の意味がよくわからない、と言いました。すると突然3人いた裁判官のうち裁判長が割って入り、彼にもよくわからなかったと言いました。日本語なのに。この時最初の笑い声が傍聴席からあがりました。この後公判を通して何度も笑い声はあがりましたが、そのすべてはブラック企業ICCの社長に向けられたものでした。

敵側の弁護士は少なくない数の証拠写真を提出しました。そのすべては私のFACEBOOKの投稿からとられたもので、そのほとんどは私の政治活動全般に関したものか、寄生虫である日本の皇族に関したものでした。

それからブラック企業ICC外語学院の社長に対する反対尋問が始まりました。ここにきてグロテスクなコメディーの幕が開けたのです。最初は時々傍聴席から忍び笑いが聞こえてくる程度でした。みんな笑いを必死にこらえていたのです。しかし反対尋問も半ばに差し掛かると、もはやみんなあきらめて堂々と笑い声をあげるようになりました。裁判官の一人でさえ時々苦笑いで頭を振っていました。私の元雇用主の言うことといったら嘘、嘘、嘘、さらに嘘、前の嘘を隠すための嘘、それからその嘘を隠すための嘘ばかりだったのです。嘘ばかり言っているとどうなるか?よっぽど頭がよくなければ、嘘をついているうちに前に自分が言ったことと矛盾してきてしまいます。ニーチェはこう言っています。「ほとんどの人が嘘をつかないのは彼らが正直者だからではない。面倒くさいからだ。一つ嘘をつくと少なくとも10の新しい嘘が必要になる。」裁判長は何度か彼にはっきり質問に答えるように勧告しなければなりませんでした。そのたびに彼は小さく縮こまり、こう繰り返していました。

すみません、すみません……

私の仕事、有給休暇、社会保障を返せ!ブラック企業をたおせ!

私に仕事を返さないため、彼は私に関するたくさんの些末な「汚点」を見つけ出し裁判官の前に並べ立ててみせ、ついでにまたも嘘も付け足しました。彼を見ていると痛々しくて気分が悪くなりました。彼の姿で私はアゴタ・クリストフの「悪童日記」に登場する「おばあちゃん」を思い出しました。私ですら時々笑ってしまいました。彼は嘘をつき、興奮し、背筋をのばし、すると裁判官が彼をさえぎり、またしても私の弁護士(ところで彼女は本当によくやってくれました!ありがとう!)の質問にはっきり答えるように勧告し、彼はこう言うのです。

すみません、すみません……。

そして椅子に沈みこみ、放置していた自分の股間の物がちゃんとおさまっているか確認します。

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彼が法廷で証言したことを少し列挙してみましょう。本当にこんなことを言っていたのです!誓ってもいい。

スレイマンは手に負えない。スレイマンは無礼だ。スレイマンの髪はボサボサだ。スレイマンは日本政府を侮辱する。スレイマンは日本の皇族を侮辱する。スレイマンは反米だ。スレイマンは共産主義者だ。スレイマンはアナキストだ。スレイマンは上着に共産主義の赤い星のピンバッジをつけている。スレイマンは反日だ。スレイマンは……(ここで彼は多分バイアグラがどうとか言っていたと思いますが、よく聞き取れませんでした)。スレイマンはシャワーをあびない。スレイマンはくさい……(ここで私の弁護士が質問しました。「もしスレイマンがそこまでくさいのなら、なぜ彼を大企業のビジネス英語クラスに派遣したのですか?専門学校のそれぞれ40人の生徒がいる3つの英語とフランス語のクラスに派遣したのですか?何百万円もの契約金がかかっている大手取引先に?」彼の返答は「ええー…ええー…ええー」。)

こんなことを言っている間に彼はスレイマンは素晴らしく、とても優秀な先生で、生徒たちにも大変人気があるということを認めざるをえなくなってしまいました。16人の生徒が私の教え方をほめ、授業での私の全体的な態度(そして外見)に満足しているという手紙を書いてくれていたのです。

もう少し列挙してみましょう。

スレイマンは日本の皇族を馬鹿にする。スレイマンは……言う(よく聞こえませんでしたがオバマとか言っていました)。スレイマンはふつうの人間ではない。スレイマンは精神に異常がある。スレイマンは日本政府のおかげでここで働いて生活ができているのに日本の皇族を侮辱するなんて恩知らずだ。………彼が私を国外退去にするように裁判官にほのめかしているのは明らかでしたが、彼は腰抜けなのではっきり言うことはできませんでした。

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もっとたくさんありましたが全部は覚えていません。とにかく、いよいよクライマックスです。きっと日本では効き目があると考えたのでしょう、彼はこれを最後までとっておきました。彼は金玉をひっぱたかれた子犬のような目をしながら裁判官に言いました。

スレイマンは反ユダヤだ。スレイマンはホロコースト(どのホロコーストのこと?)を馬鹿にする。……アンネ……アンネ……アンネ・フランク…(そしてついに)、ウオアアア、ウオアアア、ウウ、ウウ、ウオアアアアアアアアアアア…!彼は泣き出したのです。彼は泣いて泣きわめいてすすり泣いて泣き叫んですすり泣いて、まるで二度もロスト・バージンに失敗した処女のようにすすり泣きました。途中でまたなにかモゴモゴ言っていたようです。

彼は言い忘れていたようですが、数年前私は素晴らしい人間であるプリーモ・レーヴィの書いた「これが人間か」を彼が読んだことがないというので貸したのですが、彼は数か月後に読まずに返してきました。忙しすぎたそうです。

痛々しすぎました。多分彼は、裁判官か従業員か警備員か誰かが割って入って、大丈夫か、水はいるか、ティッシュがほしいか、ドクニンジンの毒が数滴必要か、アナル用バイブがいるか聞いてくれると思ったのでしょう……でも何もありませんでした。むしろ誰もが彼が泣きわめいているのに苛立っていました(誰かは壁際にでも行ってなさいと提案していました)。しばらくすると誰も同情していないことに気づき、彼は泣くのをやめてしまいました。傍聴席の何人かは笑い声を抑えるのに四苦八苦していました。今になっても友人たちとコーヒーと煙草のお供に彼のマネをしてみせ、そのたびに死ぬほど笑っています。

ブラック企業の奴隷にされている兄弟、姉妹のみなさん、この搾取をとめなければなりません。私たちは下請でも2か月契約従業員でも1年契約従業員でもどのような種類の契約社員でもありません。こんなのは上司たちが私たちを都合よく使うためにできた制度です。私たちをトイレットペーパーとして尻をふくのに使い、必要でなくなったら捨ててしまう!私たちは尊厳ある労働者だ!もしあのハゲワシたちに私たちの尊厳を取り上げてしまったら、もう彼らの好き勝手にされてしまいます。私たちには権利がある!パンを得る権利、そしてバラも得る権利が!みんなで集まり、問題、連帯、団結について話し合い、組織化、組合化を進め、あの薄汚い上司たちが一生忘れられなくなる闘いを始めよう!私たちの権利を乞うのはもうやめよう!私たちの権利を、権力の座についた嘘つきや泥棒たちから取り返そう!同志マルコムXの言葉に従い、闘おう、必要ならばいかなる手段を用いても!連帯と尊厳よ、永遠なれ!

12/17
ブラック企業をたおせ!
12月17日、横浜地裁にてブラック企業ICC外語学院との特別法廷がありました。その簡単なまとめです。

金銭的解決の「申し出」を受けたので仕方なく行ってきました。ブラック企業ICCの腰抜け雇用者はもちろんやってきません。

侮辱的なものでした。ブラック企業ICCの雇用者は85万円を「申し出」ました。判事は300万円ではどうかと言いました。
その両方に私はNO!と答えました。
私は判事に聞きました。
「なんだその金は?みじめな金は?私の尊厳の値段か?そもそも私が盗まれた金の半分にも満たない」
ブラック企業よ、その金はお前の尻にぶち込め!

私の仕事を返せ!
私(我々)の有給休暇を返せ!
私(我々)の社会保障を返せ!
以前も現在も未来も、私は決して業務委託ではない!

ブラック企業はいらない!

ともあれ我々は高等裁判所に行き、そして最高裁判所に行く。しかし、真の裁きは路上でブラック企業ICCに下される。6つあるブラック企業ICC外語学院それぞれの前で、我々は巨大なメガフォンで抗議行動をする!
(やられたら やりかえせ!)

スレイマン・ブルキッチ
sulejman brkic


Created by Staff. Last modified on 2014-12-25 04:51:31 Copyright: Default

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