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LNJ Logo 裁判所前の男・大高裁判傍聴記〜被告本人がしゃべれない裁判所のヒジョーシキ
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裁判所のヒジョーシキ〜一言もしゃべれない被告本人!発言したら即退廷

        裁判所前の男・大高裁判傍聴記 松原 明

 「裁判をよくしたい」その一念で、東京裁判所前で毎日マイクアピールを続けたきた男・大高正二さんが、その裁判所に「微罪の傷害事件」をでっち上げられ、現在、控訴審で公判中だ。大高さんが裁判所守衛を殴った(こぶが出来たがすぐ引いたという)という事件内容も、目撃者は裁判所職員のみ。裏付ける証拠(医療カルテ・監視映像)もあいまいで、冤罪の臭いがプンプンする事件だ。一審は有罪判決(実刑1年2月)。そして7月10日に第3回控訴審が、悪名高い身体検査付き「東京高裁429号警備法廷」であった。

 冒頭問題になったのは、前回の裁判で、被告が書いた控訴趣意書を被告本人が読むことを裁判所が認めなかったことだった。これに対して弁護側が見解を求めていたが、井上弘道裁判長は「刑訴法388条では『控訴審では、被告人のためにする弁論は、弁護人でなければ、これをすることができない』となっている。これは控訴審の弁論は法律専門家のみがやるべきという主旨であり、被告人は弁論できないと解すべきだ」と述べた。これに対して弁護団の主張は明快だった。大口昭彦弁護士「当事者である被告人が一言も言えないというのは異様で不完全な刑事法廷だ」。長谷川直彦弁護士「裁判の結論である判決は被告人に課せられる。なのに何もしゃべれない。当事者の防御権はどうなっているのか。被告人の権利を定めた憲法37条違反だ」。

 大高さん本人もたまらず手を挙げた。「発言させてください」。裁判長「あなたは発言できない」。大高「弁論ではない。意見を言いたい」。再度大高「発言させてください」と言った途端、井上裁判長は「退廷してください」と一言。それを聞いた2人の廷吏が大高さんの両手をわしづかみにして、嫌がる大高さんを引きづり出してしまった。約30人の傍聴席はあっけにとられる。声を出したいが出せば「傍聴人退廷」は間違いないので、声を上げる人はいなかった。沈黙のなか繰り広げられた異様・異常なシーンだった。

 そして、被告人不在で裁判が始まった。この日は、弁護側からの証拠調べ申請で、殴ったとされるシーンを記録したビデオ映像の鑑定と、ケガを裏付けるカルテの提示だった。ふたつとも大高さんの無罪を立証するきわめて重要な証拠だが、裁判所は意外にもすんなり「証拠採用」を決定した。14時15分、被告人の不在のまま今後の裁判日程3回分を決めて閉廷した。裁判自体は弁護側が押していたが、大高さんが近くに留置されていると思うと、あとあじの悪い公判であった。

 公判後の報告会では、控訴審で当事者本人が発言できないことについて傍聴者から質問が集中した。長谷川弁護士は「これについては学者からも批判が多い。裁判所によっては自由に発言させるところもある。控訴審で一切被告人にしゃべらせないのは違憲の訴訟指揮と言わざるをえない」と強調した。本人が書いた弁論書を本人がいるのに、弁護士が代読するとはどう考えてもおかしい。裁判所とは、ごくあたりまえことさえ通らない不思議な空間だ。そして裁判長は「独裁者」のように振る舞う。大高さんが発言を求めたときの裁判長はこう言った。「私に言いたいことがあれば、まず弁護士に言いなさい」と。目の前にいる人間同士のやりとりが否定される。そして発言を続けたら、廷吏の羽交い締めにあって退廷だ。大高さんは運び出されるときこう叫んだ。「私が当事者だ。私がいない裁判はすぐ閉廷すべきだ」と。しごくまっとうだった。大高さんが、毎日朝から晩まで裁判所前でマイクアピールを続けたきたのも、裁判所のおかしさを骨身に感じていたからに違いない。

 *なお今後の「裁判所前の男・大高正二」裁判の日程は、9月18日(水)・10月11日(金)・11月12日(火)、それぞれ13.30(傍聴抽選は13.10まで入口)、429号警備法廷である。

↓裁判所入り口の警告文

↓傍聴券オモテ。429号は恐怖の警備法廷で身体検査・常時監視が付く。傍聴人は犯罪人扱いされる

↓傍聴券ウラ。禁止事項ばかりが書いてある。

第1回裁判報告

→参考映像 3分ビデオ「裁判所前の男」


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