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LNJ Logo 報告:日本と世界の貧困を考える集会開かれる
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News Item 0919hokoku
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9月19日、東京・築地の築地本願寺「蓮華殿」で、「どっちが深刻?! 日本の貧困 世界の貧困――犠牲の累進性を超えられるか」と題する集会があり、約200人が参加した。 主催は「反貧困ネットワーク」と「動く→動かす」。後者は途上国の貧困問題に取り組む57のNGOのネットワークで、昨年3月に結成された。

2000年9月、ニューヨークで開催された「国連ミレニアム・サミット」に参加した189の加盟国代表は、21世紀の国際社会の目標として「国連ミレニアム宣言」を採択。この「宣言」とこれまでの主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、一つの共通の枠組みとして「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」をまとめた。2015年までに達成すべき8つの項目を記している。 20日からは、ニューヨークの国連本部で「国連ミレニアム開発目標サミット」が開かれる。

 司会を松元千枝さんが務めた。最初にナイジェリア出身の「オドゥドゥワ」による伝統音楽が披露された。小さめのドラムを巧妙に叩きながら、リズミカルなヨルバランドの伝統音楽を演奏した。

 雨宮処凛さんが進行するシンポジウム(写真)では、世界の貧困をめぐってさまざまな視点からの発言があった。キーワードは、集会のサブタイトルにもある「犠牲の累進性」だ。

 私たちが「苦しい、生活できない」などと口にすると、「あなたよりもっと貧しい人が世界にはたくさんいる。それに比べたら何でもない」と諭され、我慢を強いられてしまう。「自分より下を見させる」ことで、問題の本質から目をそらそうとするやり口を指して、雨宮さんが提唱した。

 「動く→動かす」事務局長の稲葉雅紀さんは、ゲイ・レズビアンの運動やアフリカのHIV・保健衛生の問題にかかわってきた。「貧困が多様化しているが、そのイメージは逆に画一化している。インドや中国などの経済発展が、あたかも貧困を解決するかのように語られ、厳しい現実が見えなくさせられている」と危惧した。 国連開発計画・駐日代表の村田俊一さんは、「魚を与えるのではなく、魚の捕り方を教える自立発展型の援助をすべきだ」と強調。「人間は字が読める、長生きすることが基本で、国のリーダーの資質が問われている」と語った。

 湯浅誠さん(反貧困ネットワーク事務局長)は、このかんの「消えた高齢者」問題に触れ、「社会はもともと無縁である」と切り出した。「企業社会がもたなくなってきた」と指摘し、「私たち自身が社会を形成できるかどうかが問われている。犠牲の累進ではなく、人々を『社会連帯』に向かわせていく。それに気づいた人が動き始めている。黙らせられるのではなく、声をあげることだ」と力を込めた。

 ジャーナリストの吉岡逸夫さんは自作した数枚のフリップボードを掲げた(写真上)。縦列に「経済×人間関係×自由」と並べ、横軸に自身が書き込んだ各国の数値を示した。「アフリカは貧しいが助け合っている」などと「豊かさの方程式」を解いて見せた。

 会場の参加者にマイクが向けられると、青森県で内科医をしている女性が発言(写真上)。横浜での学会を抜け出して駆けつけたという。地域医療の窮状を報告し、理解を求めた。 グループ「和楽太鼓」のメンバーによる力強い和太鼓の演奏が、会場に響き渡ると、プログラムもいよいよ大詰め。雨宮さんが、「犠牲の累進性という言葉を流行らせよう。いやなものにはどんどん名前を付けていこう」と呼びかけた。

 貧困をなくすために立ち上がる世界同時イベント「スタンドアップ」が、この日まで3日間行なわれてきた。配布された紙に思い思いのメッセージを書き込んだ参加者たちは、本願寺の境内に集合。澄みわたる秋空の下で、合図とともにいっせいに頭上に掲げて意思表示した。西日を受けて輝く笑顔が印象的だった。(Y)

↓「音を出そう、声を出そう」という趣旨で和楽太鼓が披露された

↓築地本願寺の境内で「スタンドアップ」


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