本文の先頭へ
LNJ Logo 公開質問状を!
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 20050427m1
Status: published
View

会員関連サイト

more...

労働者の立場からの公開質問状を!

海樹です

 76名の死亡者、456名の負傷者が出てしまっては・・・ため息ばかりですが・ ・・。かつて、電車事故で知り合いを亡くした者として、非常に残念でなりません。  しかし、気を取り直してと。

「絶対に○○なことはあり得ない」ということこそが最大の凶器    今日、京浜東北線の運転席の計器を、暫く眺めていました。新式のATCがついて いて、運転手(見た感じ20才代)は操作レバーを前に倒す以外には全といって良い ほどすることもなく淡々と運転をしていました。ほとんど自動で電車は動いていきま した。運転席のモニターには速度、距離、時刻、目的地が次々と表示されていきま す。ほとんど「電車でGO!」と変わらないといってもいいほどです。最高時速は8 8キロを指して止まりました。電車の速度はホームを出発して、電車の最後尾がホー ムを離れる頃に時速70〜80キロ程に達します。加速に要する距離は200〜30 0メートルあれば十分ということになります。緩やかなカーブでは時速70キロでし た。  東京の電車は、ほぼ90キロ以内で走行しています。私自身、結構電車のメーター を覗きに行くことが多いのですが、普通電車・快速電車で100キロをこえた運転に お目にかかったことは一度もありません。普通電車が100キロをこえるというのは 異常事態もいいところということは確かなことではと思います。

 しかし、一部の商業マスコミが事故を起した運転手をとりあげて“異常人物キャン ペーン”でもするかのような取り上げ方をしている点には反論していかなけれと思い ます。  確かに、この運転手にも非常に大きな問題はありそうです。しかし、過去に大きな 問題を起している運転手を使い続けている上司が、管理者がいたわけです。口裏をあ わせている同僚がいるわけですよ。そして、そうしなければならない事情が蔓延して いる可能性が大きいわけです。その点に目を向けさせる報道をこちらで組まない限 り、経営責任者はどこまでも運転手個人のせいにして白を切ることでしょうから。

 マスコミでも、色々な評論や事実関係は報道されますが、労働組合からの視点、基 本的人権からの視点での報道記事というのはまだ目にしていません。誰もかかないの なら、書くべきは私たちなのではと思います。公開質問状くらい出してみても良いの ではないでしょうか。  23歳の(大卒1年の年齢)青年に運転手という責任を追わせることの是非はどう なのか?教育・研修体制はどうなっているのか?賞罰はどうなっているのか?人為的 ミスのカバー体制はどうなっているのか?保守点検体制はどうなっているのか?制度 に透明性・公開性はあるのか?上司は何をしていたのか?勤務体制はどうなっていた のか?支持・命令系統はどうなっていたのか?健康診断は受けているのか?運転手の 基準はなんなのか?言論の自由は内部にあるのか?各種労働協定は守られていたのか ?線路脇に住居を建てることに問題はないのか?列車の運行計画が安全だというなら その根拠は?置石というが、過密ダイヤの合間をぬって人が置石をする可能性がどこ にあるのか?最新式のATC導入に格差があるとはどういうことか?  その上で、民営化はJRに何をもたらしたのですか?自由競争とは何のことなので すか?JRのいう公共性とは何のことですか?安全性とは何のことですか?交通機関 はだれのためのものか?と改めて突きつけてみてはどうかと。

 人間は間違いを犯し、時として暴走することがある生き物です。だからこそ、その 間違いを制度でカバーしたり、お互いに点検しあう姿勢が大切になるわけです。学習 することも、時として許すことも大事な要素になってきます。うっかりミスをカバー するためにATCなども導入したりするわけです。しかし、その機械も故障をするわ けで、機械の故障チェックを人間が相互に掛けていく必要がさらにあるわけです。で すから、絶対に事故が起きないという保証は人間が人間である限りないといえるかと 思っています。「絶対に○○なことはあり得ない」ということこそ、最大の凶器なの ではと私は思っています。「間違いはない」「絶対正しい」「○○より知識も経験も あるから正しい」などというのが最も危うい訳です。今回の事件でも、皆さんヘンで すよ〜。100キロ以上で運転した運転手。40メートルオーバーランを8メートル という車掌。事実を小出しにして誤魔化してしいるJR西日本の経営陣の面々。こん な大事故が発生し民営化路線に赤信号が灯っているのに郵政民営化を進めている小泉 内閣の面々。どれもこれも皆ヘン。  ヘンだからこそ、「各種チェックはオープンに掛け合う必要がある」というのが今 回の事故の教訓なのではないでしょうか。そして、法律制度は、まずもって、支持・ 命令系統等の裁量が大きい人物にこそ厳格に適用されるべきではと。そうでなけれ ば、命令系統下の闇の部分は、今回のように事故でも起きない限り永久に表面化して きませんから。


Created byStaff. Created on 2005-04-27 12:06:08 / Last modified on 2005-09-05 03:00:24 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について