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デリバリーヒーローになる方法…DDoS攻撃からデータ奪取まで

[イシュー(1)|私たちを貧しくする革命]配達アプリ市場に押しかける資本の泥沼戦

チョン・ウニ、ユン・ジヨン、ウン・ヘジン記者 2020.02.03 10:23

最近、デリバリーヒーロー(DH)が国内1位の配達アプリ「配達民族」を買収した。 果たして世界的な食品配達サービス会社のDHは、 その名前のように英雄的な道を歩いてきたのだろうか? ドイツの食品配達アプリ、リーファーランド事件に始まる 彼らの成長神話の裏面を追跡した。

英雄的ではないデリバリーヒーロー

クリスマスシーズンを前にした日曜日の午後5時。 注文が集中する時間だった。 ドイツの配達アプリ、リーファーランドと契約を結んだ飲食店は 配達材料と箱を積んでアプリに注目した。 ライダーも動線を確認し、配達アプリから目を離せない。 1分目に100件、そして1000件、配達アプリに顧客がログインしたという信号が騒々しく鳴る。 リーファーランドの経営陣が「今年は本当に大ヒットだ」と喜んでいた瞬間、 突然アプリが麻痺してしまった。 ポイント商売をダメにしたリーファーランドは調査に着手した。 IT専門業者に調査を依頼した結果、 サーバーがダウンした理由は原因不明のログインの試みが続いたためだった。 これらのアカウントがアプリ内で意図的に模擬計算サービスを集中的に利用したため、 サーバーが過負荷でダウンしたのだった。 そして多くの攻撃者のIPアドレスの一つは、 ライバル社のリーファーヘルドが借りているサーバーと直接連結していた。 リーファーランド側はリーファーヘルドがDDoS攻撃を敢行したという結論を下し、 ライバル社を告訴した。 2012年、ドイツのマスコミ「シュピーゲル」は 「ピザ配達企業のサイバー戦争」という題名でこの事件を報道した。

ライバル社にDDoS攻撃を敢行したリーファーヘルドは、 まさにDHが所有するドイツ現地の配達業者だった。 そのためリーファーヘルドのベルリン本社は2012年4月18日、 ベルリン検察当局から押収捜索された。 プラットフォーム企業としては初めての出来事だった。 この時、リーファーヘルド側は 「全くおかしい」とし、自社はただ探索プログラムクローラーを使い、 競争者が広告を出している食堂の数が事実なのかどうかを調査しただけだと答えた。 この調査はリーファーランドを含む業界では一般的だという説明も付け加えた。 その上、こうした調査にもアプリが耐えられないのなら、 リーファーランド側に問題があるという忠告も漏らさなかった。

だがリーファーランドはライバル社のこのような立場は偽りだとはね返した。 リーファーランドのアプリは平常時にも時間当り2500件の注文を処理し、 連邦銀行のサーバー保安専門家の承認を受けた程頑丈だということだった。 リーファーランド側は刑事告発以外にも民事訴訟を提起すると明らかにした。 最も忙しい時間にアプリのサーバーが麻痺して広告を出せず、 顧客と販売量が顕著に下がったという理由だった。 リーファーランド側は最低7万5000ユーロ(約1億ウォン)の損害を受けたと推算した。

その後、事件はどのように解決したのだろうか? 数時間の押収捜索後、リーファーヘルド経営陣はリーファーランドに電話をかけた。 抗議するためにではなかった。 リーファーヘルドはリーファーランド側に数百万規模の買収交渉を提案した。 結局、業界には競争業者を買収するために困らせたという噂が飛んだ。 リーファーランドはオランダに本社を置くテイクアウェイ(Takeaway.com)の子会社で、 ドイツでは一番早く成功した3大プラットフォーム配達アプリの一つだった。 DHの立場としては、よだれが出るような餌だったのだ。 一足遅れて配達アプリ市場に飛び込んだDHがライバル社を掌握するために、 資金を動員して不法なDDoS攻撃を行ったという評価が相次いだ。

DHは2012年11月にも別の別の配達アプリ、ピザ・ドット・DE(www.pizza.de)を DDoS攻撃した容疑を受けた。 この時、リーファーランドとピザ・ドット・DEは警察に行くのではなく、 犯人をつかまえるために10万ユーロの懸賞金をかけた。 2013年1月にはリーファーヘルドの経営陣と職員など7人が ピザ・ドット・DEで情報を奪取した容疑で約6万ユーロの罰金を宣告された。 2010年10〜11月、ピザ・ドット・DEに登録されたパートナーのレストラン 約1000件の電話とファックス番号、メニューなどのデータを 最大100%まで無断でコピーして使ったという理由だった。 今回もDHはピザ・ドット・DEを買収しようとし、それから4年後にこれは現実になった。

こうした方式で図体を膨らませたDHは、 また収支勘定を理由として2018年12月、 自社が所有するリーファーヘルドとフードラ、ピザ・ドット・DEの3社を テイクアウェイに売却した。 DHの配達民族の買収について、配達民族(訳注:配達(ペダル)は朝鮮半島に居住していた民族の呼称)がゲルマン民族になったという論議がおきたが、 実際、ドイツのベルリンにあるDH本社は現地ではどんな配達事業も運営していない。

アパルトヘイトを支援したDHの最大株主

DHの後にはナスパーズという巨大投資資本がある。 DHは2017年に南アフリカ共和国のメディアグループであるナスパーズから 3億8700万ドルの投資を受け、巨大プラットフォーム業者の隊列に上がった。 現在、ナスパーズはDHの最大株主で、22.3%の株式を所有している。 ナスパーズは海外では過去に南アフリカ共和国の白人政権による人種差別政策だった アパルトヘイトを支援したという議論で有名だ。 だがこれは何も問題にならなかった。 2015年、この企業は自社所属のメディア24に簡単な謝罪文を発表しただけだ。

ナスパーズは1915年に南ア共和国のステレンボスでオランダ語の新聞を製作するために設立された。 1960年代の書籍出版に続き、1980年代には事業をTVに拡張した。 2000年代の初めには現在のナスパーズ最大株主で代表理事の クス・ベッカーが主な事業を投資とケーブルTVに転換した。 その後、中国のインターネットとメディア企業であるテンセントに投資し、 1500倍の収益をあげた後、 インターネットとプラットフォーム市場を蚕食している。 最近ではナスパーズがインターネット事業部門のプロサスを分社して ヨーロッパのアムステルダム証券市場に上場した後、 株価が25%以上が上がり、約1330億ドル(約155兆3440億ウォン)の市場価値を出した。 プロサスはテンセントの株式の31%と食品配達サービス業者のデリバリーヒーロー、 米国の電子商取引企業のレットゴー、 ロシアのソーシャルメディア企業、メイルルグループの株式を保有している。 彼らはブラジルのアイフード(54.8%)とインド最大の配達アプリ、 スウィギー(38.8%)の最大株主でもある。 そのおかげで投資資本運営者の資産は幾何級数的に増えた。 フォーブスによれば、ベッカーの資産は2015年の17億ドル(約2兆70億ウォン)から 2019年には23億ドル(約2兆7千億ウォン)と跳ねあがった。

配達アプリ市場を独占しようとするナスパーズ・プロサスの試みはここで終わらない。 プロサスは昨年からテイクアウェイと英国のオンライン食品配達会社のジャストイットをめぐる売却買収競争を繰り広げている。 現在までジャストイットはテイクアウェイとの合併が有力だが、 プロサスは昨年12月に67億ドル(8兆ウォン)まで買収総額を高めて株価操作を試み、 議論を呼んだ。 昨年8月には最大株主のDHが持っていたテイクアウェイ株式の13%を売却した。 以後、プロサスがジャストイットを掌握するためにテイクアウェイの株価を下げようとしたという非難が起きた。 実際にDHがテイクアウェイの株式を売却した後、 テイクアウェイの株価は731ペンスから594ペンスに暴落した。 プロサスもDHも公式声明を通じてこれを否認したが、彼らを信じる人は少ない。

配達アプリ市場を独占しようとする資本はナスパーズだけではない。 世界的な経済危機と利益率の低下で投資先を見つけられない超国籍投資資本が 配達アプリ市場に押し寄せている。 業界によれば、世界最大の配達アプリ業者は中国の美団点評で、 米国のウーバーイーツ、ジャストイット、DHがその後を追っている。 最近では孫正義のソフトバンク、ナスパーズ、ゴールドマンサックスなどが市場に飛び込み、 現在850億ドルにのぼる市場価値は今後5年で二倍を超えるものと展望される。 配達労働者の権利を保護するために結成されたライダーユニオンのパク・チョンフン委員長は 「プラットフォーム産業は、まずデータ収集と技術ノウハウを蓄積するのが目標で、 究極的には株式上場等を通した金融的な実現で利益をあげること」とし 「現在としては生産手段や労働者に対する制約なく利益をあげる配達アプリに 超国籍資本が押し寄せている」と説明した。

ライダーの闘争…労働者認定判決が相次ぐ

投機資本が配達アプリ市場をめぐり角逐を繰り広げているが、 労働者たちの権利を保護する努力は相変らず不十分だ。 配達企業は配達ライダーを労働者ではなく独立契約者だと主張して委託契約結ぶ。 これにより配達ライダーはバイクやスマートフォンなどの配達装備一切を 自分で用意しなければならず、 最低賃金や雇用保険、病暇などの権利も保障されない。

配達アプリをめぐる投資資本の競争も労働者の被害を加重させている。 労働者たちは契約業者が変われば新しく契約を結ぶべきだが、 労働権を保護する制度が不備で、 新規業者が労働条件を悪化させるケースが多い。 例えば、ドイツのDHがフードラをテイクアウェイに売却し、 フードラと正規契約を結んだ相当数の配達ライダーは臨時契約者に追いやられた。 2018年4月、ドイツの裁判所はDHが2000人以上の事業体が守るべきドイツの共同決定法に違反したとし、 経営理事会に配達ライダーを入れるように命令した。 だがこれもDHがテイクアウェイに配達業者を売却したことでうやむやになった。

しかし配達アプリ市場に対するライダーらの闘争も生まれている。 雇用労働部は昨年11月、ヨギヨの子会社と委託契約を結んだ配達ライダーを勤労者と認めなろという判決をした。 海外でも類似の判決が出されている。 昨年11月、フランスの大法院は勤労関係認定を要求する配達員に対し 「運転手の位置追跡と完了した作業に対するボーナス制度と共に雇用主が設定した技術が雇用関係を構成する」と判決した。 スペインのマドリードの社会裁判所も2019年7月、 全国労働連合(CNT)が出した訴訟で500人以上の配達員が「ニセ自営業者」として雇用されたと判決した。 2018年11月オーストラリアの裁判所もDH所属のフードラの配達ライダーが提起した不当解雇訴訟で労働者の主張を認めた。 英国では英国独立労働者連合(IWGB)がプラットフォーム配達業者のデリバル(Deliveroo)と労働組合認定をめぐる法定訴訟を続けている。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-02-17 16:38:11 / Last modified on 2020-02-17 16:40:49 Copyright: Default

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