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LNJ Logo 韓国:[WORKERS 29号インタビュー]性少数者、文在寅を一喝
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News Item 20170404
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大統領文在寅? わかったよ、私の話を聞け

[ワーカーズ29号インタビュー]性少数者、文在寅に一喝を飛ばす

キム・ハンジュ記者 2017.03.30 16:59

―民主労総クァク・イギョン対外協力局長インタビュー

[出処:キム・ハンジュ記者]

文在寅(ムン・ジェイン)大統領選候補が突然に性少数者を呼び出した。 2月13日、彼が韓国キリスト教総連合会で「同性愛を支持しているのではない」とし、 「追加立法(差別禁止法)による不要な議論を防がなければならないというのが共に民主党の公式立場」と発言したのが発端になった。

3日後、性少数者らは文候補のシンクタンク・フォーラムを訪ねて行った。 その場である性少数者は 「私は女性で同性愛者ですが、私の人権を半々に切れますか」とし 「なぜ性平等政策の中に同性愛者の平等はないのですか」と叫んだ。

文候補はあわてて「後で申し上げる機会を与える」と述べた。 聴衆は「後で、後で」と連呼した。 文候補は質疑応答の時に差別禁止法について 「国家人権委員会法に差別禁止が規定されており、社会的合意が必要だ」とし、 差別禁止法制定を事実上拒否した。 また「私が皆さんを説得できるかわかりませんが、逆に私をなんとかしようと(説得しようと)するな」と話した。

現場映像はSNSを通じて急速に広がった。 照会数は40万を超えた。コメントは750本ついた。 性少数者がイベント会場に乱入して「馬鹿騒ぎ」をしたという非難も続いた。 「人権」と「馬鹿騒ぎ」の諸説乱舞。 「じっとしてろ」の後に続く「後で」という暴力。 そのうず巻きの中で「私の人権を半々に切れるのか」と抗議した民主労総のクァク・イギョン対外協力局長と会った。

どんな心情で文在寅候補を訪ねて行ったのか

性少数者が「袋叩き」でもないが時々言及される。 差別禁止法は10年戦った争点だ。 文在寅が突然韓キ総に行ってぺたっとひざまずいたため、われわれは望んだわけではないがその場に呼ばれていった。 われわれは10年間望まない場に呼ばれ、否定されてきた。 私たちは以前から怒っている。 それでもうこれ以上はだめだと思い、「馬鹿騒ぎ」をしてもはっきり戦うことを決意した。

「お前の話が終わる前に私の話を聞いて行け」という気持ちだった。 その日は文在寅が性平等政策を発表する場だった。 また文在寅支持者がいる場だった。 政策発表会、政府公聴会とは違う。 全く同意しない人々の中で、私は「馬鹿騒ぎする無礼なレズビアン」になった。 だが、性少数者たちはこうした状況にあっても批判的に抗議しなくてはならなかった。 性平等政策に対する文候補の明らかな意思を確認しなければならなかった。 それで文在寅が基調演説で性少数者の話をする時、話をさえぎって20秒だけ我慢しようと考えた。 どうせ制止されるのは明らかだった。 20秒間話せばせいぜい一言二言だ。 その一言二言を叫ぶとので文在寅の支持者たちが「後で」と連呼した。

文在寅支持者らの「後で」、当事者には暴力だったのか

聴衆が「後で」と叫んだ時、2〜3秒間はぼんやりしていた。 皆が同じように「後で」と叫ぶ聴衆の表情がとても明るかった。 しかしそれが残忍に感じられた。 討論の場はすでにとても不平等な状態だった。 彼らの純粋な「後で」は、むしろ性少数者のみじめな状況と存在を否定する「後で」になった。

聴衆の「後で」にうなずいた瞬間、この上ない恥辱感に陥った。 それで文在寅に話し、聴衆側に身体を回した。 あなた(聴衆)たちの「後で」がどんな意味なのかを話さなければならなかった。 私たちもバカではないから、何が「後で」なのかを知っている。 だがあなた方が支持する性平等政策は、性少数者平等を含むのかという質問をしなければならなかった。

聴衆が性少数者に「後で」と叫びながら暴力を行使したのは、意図したことではないかもしれない。 だが意図ではない暴力も暴力だ。 セウォル号惨事を意図しなかったとしても弾劾事由であるのと同じだ。 「後で」と連呼した聴衆は、盲目的支持を克服しなければならない。

政治家はいつも大衆の人気に迎合する。 主流政治家の習性はあまり変わらない。 これを圧迫することは、何らかの形で政治に関心を持って参加する市民意識だ。 こうした意識で、自分が支持する政治家に何を要求するのかを考えなければならない。 無批判の支持は誰の助けにもならない。

文在寅候補が話す「社会的合意」については?

卑怯な言い訳だ。 文在寅の民主主義が何かということがわかるポイントだ。 多数決が終わりだと考えている。 すでに権力の大きな差がある社会で、多数が少数を尊重するというのは無理だ。 言葉を変えれば「権力がなく、声が小さい人々はじっとしていろ。余裕があばしますよ」だ。 民主主義には声が小さい人もいて、大きな人もいる。 制度政治の役割は資源を持たない人にさらに多くを分配し、バランスを取ることだ。

性少数者は日常で認められず、侮辱される。 韓国の社会的弱者は差別されてもそれが差別なのか自覚できない。 非正規職労働者や貧民も同じだ。 それで韓国では「馬鹿騒ぎ」をしなければ権力の差異があらわれない。 こうした現実で「社会的合意」を語ることは、弱者を合意対象から排除するという表現だ。 果たして人権が合意対象なのか。問題だ。

性少数者を嫌悪する一部の宗教界をどう見るか

韓国の宗教は本当に政治的だ。 文在寅が韓キ総を訪問して差別禁止法を制定しないと話したのは愚かなことだ。 韓キ総は3.1節に弾劾棄却救国祈祷会を大挙組織したところだ。 民主党はキャンドルを支持したのに矛盾的だ。

韓国のプロテスタントは伝統的に解放以後、親米的な支配勢力と密接な方式で胎動した。 それでプロテスタントが持つ抵抗性が削除された。 知人だけでも、教会の恩師が朴槿恵庇護集会に出て行こうと言うので、教会の人々と会うこともない。 そんな関係網を政治的に活用しているのが宗教政治組織だ。 韓キ総は伝統的に韓国社会に流通する偏見、固定観念を絶えず生産してきた。 この生産過程の最大の被害者が性少数者だ。

差別禁止法はどんな勢力によって崩れたのか

直接的には朴槿恵前大統領を庇護した保守右翼だ。 「女は家で子を生め」という言葉が口をついて出てくるのも保守右翼だ。 現実を見れば、韓国社会で保守プロテスタントが実力を確実に行使した。 二番目は朴槿恵政権だ。 朴槿恵政権の人物は、保守プロテスタントと一体だった。 朴槿恵政権の核心である黄教安(ファン・ギョアン)は徹底して右翼プロテスタントに固く団結した人だ。 彼らは常に「正常性」を語る。「非正常の正常化」はその一環だ。

三番目は今の保守野党だ。 民主党、国民の党は、一度も性少数者の盾になったことがない。 盧武鉉前大統領を継承すると自任するのなら、 盧武鉉の大統領選挙公約だった差別禁止法を制定するべきだ。 だが「社会的合意」という美名の下で撤回した。 三主体の合同作品が今の性少数者の人権の現実だ。

国家人権委の差別禁止勧告条項を超える差別禁止法の制定はなぜ必要なのか?

差別された時、 国家に「私が不当なことをされた」といって差別を検証されることと、 制度基盤なく単に「私は君を尊重する」と言うのとは違う。

差別禁止法の制定は国家が約束する問題だ。 侮辱された時、侮辱が何かと説明する力がなければならない。 その力は国家が反差別を約束する法と制度にある。 今無力な人は自分の権利をどう主張すればいいのかわからない。 移住労働者が「私に賃金をくれ」と叫ばずに、「社長、腹がへった」と言う。 学生は学生で、年齢が若いという理由でなにか侮辱的な先生の鞭を耐える。 同性愛者も同じだ。 「お前は2等市民なのだから静かに暮らせ。 お前が出ると社会の混乱を呼ぶだけだ」と静かに暮らさせる。

こうしたメッセージをあたえる過程を切ることができるのは、 制度的基盤、差別禁止法制定だ。 差別禁止法は性少数者だけでなく、貧困、学歴、肌の色などすべての差別に反対することだ。

それでも文在寅候補の支持率はどんどん上がる。性少数者として文在寅候補をどう見るか

文在寅支持者が 「静かにしていたのに、なぜ文在寅の所にきてこんなことをするのか。 文在寅が一番楽なのか」と話す。 くやしい話だ。2003年に青少年性少数者のユク・ウダンが死んだ直接の契機は韓キ総だ。 その年の春と夏を韓キ総の前で戦った。 2007年には差別禁止法をかけて戦ってきた。 2013年に金(キム)ハンギル、崔元植(チェ・ウォンシク)が差別禁止法を撤回して戦った。 「差別禁止法制定」と書かれた同じプラカードを何年持っていたのかわからない。 私たちは10年間ずっと戦ってきたし、文在寅はただも私たちの手を握ってくれなかった。 しかし統合進歩党の金在妍(キム・ジェヨン)も、民主労働党、緑色党、労働党などは、自分の原則で一緒にした。 文在寅は10年間何をしてきたか。

他の一部の大統領選挙走者も差別禁止法に心情的には同意するが、積極的な推進はできないようだ。2017年の大統領選挙以後、性少数者の人生は変わるだろうか。

何も変わらないだろう。 3月8日の国際女性デーの行事でも、文在寅(ムン・ジェイン)、安哲秀(アン・チョルス)とも差別禁止法の立場を明らかにしなかった。 民主党がキャンドルを継承する新政府と自任しているが、すでに右クリックが出てくる。 性少数者問題だけでなく、民主党の人物がパノルリムを「専門デモ屋」と話しているのを見ればわかる。

キャンドルで性少数者の人生を変える力と会った。 キャンドル大統領選挙で性少数者の普遍人権を果てしなく話さなければならない。 キャンドルは政権交代を要求する一方、韓国の不公平な社会構造に注目し始めた。 キャンドルが作った新しい民主主義は、誰も差別されずに尊重される社会にならなければならず、今すぐ必要だという認識を拡張した。 キャンドル市民がそのまま性少数者人権を支持するわけではないが、新しいことを受け入れる時に考える地平ができたと見る。 以前のキャンドル市民大討論会である市民が、これまで「ハン・ガンホ烈士を知らなかったが、キャンドル広場で知り、柳時英(ユ・シヨン)が拘束されたのが私の事のようにうれしい」と話した。 こうした地平を活用して最大限知らせ、普遍人権の保障を貫徹すれば人生が少しは良くなるのではないだろうか。

性少数者運動の現在は?

難しいのは事実だ。 だが違うと思えば失うものもなく、軽く走れる運動が性少数者運動だ。 それで一番おもしろい運動だ。 またどんな運動よりも若い運動だ。 青年たちは既存の慣行に従わず、自分自身を表わす当事者運動なので力が強い。 2月の性少数者人権フォーラムで、もう主流政治家に社会的合意を要請したり懇請せず、 私たちを表わすアウティングが重要な問題として浮上した。 「私たちはここにいるから見てください」ではなく、「私たちが出て行こう」という躍動性あるアウティングが重要だった。 ここに性少数者運動の力を感じた。 数年以内に主流政治家が「社会的合意」を言い出すのは難しいだろう。

最後に文在寅候補に言いたいことがあれば

あなたが語る民主主義は信じられない。 民主主義は耳にかければ耳輪、鼻にかければ鼻輪ではない。 民主党が作る政権には期待しない。 朴槿恵退陣はキャンドルが作ったもので、 民主党が戦って勝ち取った成果ではないということを知らなければならない。

もちろん全体の世論を言えば、文在寅に期待する性少数者も多い。 また多くの人々が文在寅に投票するだろう。 だが100%快い支持ではない。 進歩的な性少数者は民主党の失策を知っている。4.13総選挙で今の民主党を作ったが、性少数者の期待を押し倒した。 「大統領文在寅」が重要なのではない。 これ以上先延ばしされない人間の権利が重要だ。(ワーカーズ29号)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-04-04 05:35:06 / Last modified on 2017-04-04 05:37:29 Copyright: Default

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