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「若い女」として生きていくということ

女性嫌悪と保護主義のくびき

ヤン・ジヘ 2016.06.15 14:10

5月17日午前1時頃、江南駅近くの共用トイレで殺人事件が起きた。 加害者は12時33分から隠れ、標的を待っていた。6人の男性利用者の後、1時7分頃にトイレに入った最初の女性が被害者になった。 加害者の動機は「女たちが私をばかにした」だった。 その後、江南駅10番出口は被害女性の死を追慕するメッセージで埋め尽くされた。
江南駅女性嫌悪殺人事件は、韓国社会が「女性」という理由だけで殺される社会であることを確認させた。 江南駅10番出口は女性嫌悪社会に対する証言の現場だった。 私は19日から江南駅10番出口で行われた追慕祭と反女性嫌悪・自由発言台に参加した。 時間ができるとそこに駆けつけた。 話すことができなかった多くの夜がそこにあった。 この社会の中で、女性が飲み込んできた暴力と嫌悪の経験が発火し、連結した。
私はそこでほとんどの女性がとても小さかった時から女性暴力を経験したことを知った。 男児選好思想により、多くの人々が女性だという理由で生きる機会さえ剥奪され、 とても小さな時から固定された性役割と暴力に苦しんだ。 私も女性だという理由だけで、社会が望む「可愛いいか、繊細な女性像」に合わないという理由で、小さい時から自尊感を奪い取っていく暴言と侮辱を体験した。 その時の記憶は学生時代の思い出のような「意地悪ないたずら」ではなく、自分を愛することができず、自尊感を持てないなど、永遠に近い苦痛として残った。
実際に初めて性暴力被害を経験する時期は、児童・青少年期が40%で一番高いという。 しかし性暴力に露出する児童・青少年に対する国家の対策はとんでもないものだ。 教育部の性教育標準案は、性暴力の原因を女性の服装に転嫁して、 校則で「貞淑な女性」になることを強要する。 同時に最も強力な搾取の対象になる。 青少年を対象とする性犯罪の件数は急速に増加しており、児童・青少年の性的対象化もさらに頻繁に起きる。 メガリア(訳注:女性によるオンライン・コミュニティ)では、児童をエロス化した日本の雑誌が問題になり、小児エロスへの批判が出た。

若い女性は事件の後、もっと早く家に帰り、もっと気を付けろという小言を聞いた。 江南駅殺人事件により、この社会に蔓延した女性嫌悪を目撃しているのに、 われわれは発火どころか沈黙することを強要されていた。 しかし、江南駅殺人事件は気を付けようがどうであろうが、 女性だという理由だけで犯罪の標的になるという事実を私たちに示唆した。 女性が本当にこの社会で安全に生きていくためには、平等な権力と性的主体性を持てなければならないというのは、また別の話だ。 保護されるのではなく、自ら主体性と権力を勝ち取る時だけ、われわれは本当に安全で自由になる。 青少年もそうだ。 この社会の中で青少年は保護されるべき対象と見なされるが、すべての人間に対する本当の保護は、彼らの主体性と自律性を尊重することだ。
青年左派は6月5日、青少年フェミニズム集談会を開き、 若い女性として生きていく人々の話を聞いた。 強要された沈黙を拒否し、青少年が体験する女性嫌悪と保護主義に正面から闘うことにした。 学校で、職場で、各自の空間で、「若い女」として生きていく彼らと共にしようと思う。 次の集まり、その次の集まりには、この文を読んでいるあなたと一緒にしたい。 右側はインタビュー内容の一部だ。

▲写真/ジョンウン

江南駅殺人事件以後、どんなことがあったのですか?

「『早く家に帰れ』、『気を付けて歩け』という話を聞きました。」

「日常の恐怖がさらに深刻になったようです。 女だという理由だけで路上を歩くことに恐れを感じたくありません。」

「気を付けなくても良い世の中で暮らしたい。 私は偶然、生き残りました。 生き残らなくてもすむ世の中で暮らしたい。」

学校で若い女性として暮らすということはどんなことでしょうか?

「髪を縛った時にできる首筋がいやらしいと、髪を縛れないようにします。 短い靴下を履くと、くるぶしが出るのがいやらしいですって。」

「ブラジャー、生理用ナプキンなど、女性の性を示すものは恥ずかしいことと扱われます。 生理用ナプキンは必ずきっちり包み隠さなければならず、ブラジャーのストラップが落ちたりすれば大変。 色がある下着はブラジャーが見えると一騒動になります。 少しだけ足を広げて座っても貞淑ではないと、ひどい目にあいます。 女に生まれたことが罪なのかと思います。」

「彼らの変態的想像力を私たちに移入してほしくありせんね。」 (一同笑い)

『法定強姦年齢引き上げ』等の法案が提出されました。 法定強姦年齢は合意による性関係でも強姦罪が成立する年齢帯を意味します。 これは児童・青少年が未成熟なので、簡単に性搾取の対象になるという意味で発議された法案です。 一部では法定強姦年齢引き上げが青少年の性的主体性を抑圧するという意見があります。 皆さんの考えはいかがですか?

「学校では青少年の服装と性的主体性を抑圧する校則は 『お前たちを保護するためだ』と言います。 法定強姦年齢引き上げも似た線上にあると考えます。 保護という名で、まだ未成熟だという理由で、青少年の性的主体性は抑圧されます。」

「若い女性が性的主体性を否定されて性暴力にあうのは、彼らが未成熟で、判断能力が不足しているからではありません。 ゆがんだ性権力と年齢権力を正すことで解決することですが、 弱者の方を強く抑圧してはいけないと考えます。」

私たちに何ができるでしょうか?

「青少年にとって性はタブー視され、自らジェンダーや性暴力に対して語る機会が与えられません。 私たちが体験してきた暴力、ジェンダーに対する悩みなどを話せる集まりが必要だと考えます。 それぞれが暴力を体験し、孤立させられる経験がこれ以上なくなってほしいです。」

「法定強姦年齢引き上げ、青少年の自己表現を規制する校則などを変えるために、 学校と社会でさまざまな方式で戦わなければいけないと考えます。 これからそうしたことを一緒に考えたいです。」

付記
ヤン・ジヘ青少年活動家として暮らし、20歳をむかえた。青年緑ネットワーク、青年左派などで活動している。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-06-20 00:07:00 / Last modified on 2016-06-20 00:07:01 Copyright: Default

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