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死んでもいい人

ワーカーズ13号 デスク・コラム

ホン・ソンマン編集長 2016.06.09 17:10

6月1日午前、南揚州地下鉄工事現場でガス爆発で崩壊事故が起きて4人が亡くなり、10人が怪我をした。 当時、現場に投入された労働者は17人で、全員非正規職だ。 このうち下請業者職員は3人で、残る14人は日雇いの身分だった。 ずっと現場で働いてきたが、下請業者の所属でもなく日当を受ける日雇いの身分で働いた。 これらの日雇い14人だけが今回の事故で死んだり傷つき、このうち10人は地下15メートルでガス作業をして爆発事故にあった。

5月28日午後、九宜(クイ)駅の安全扉(スクリーンドア)を整備していた19歳の下請業者労働者が、 入ってくる列車と安全扉の間に挟まれて亡くなった。 2013年に聖水駅、2015年に江南駅で同じ事故により2人が亡くなった。 彼らはすべて下請業者職員だ。 ソウル地下鉄労組は維持保守業務の直営運営を要求した。 だがソウル・メトロは人件費節減と管理運営の便利さを理由にして、二つの下請業者に業務を任せた。 これらの下請企業はその上にさらに中間搾取を増やすために、高校生を実習生として採用することもした。 今回の事故当事者のキム某氏も昨年に高校実習生から始め、今年は卒業後に下請業者に採用された。 今回の事故について朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は、 担当本部長を更迭して外注業者点検をしたが、時すでに遅しだった。 ソウル・メトロがこの事件に対して出した対策とは、 直営でもない子会社の設立と2人1組点検だ。 その上に2013年からずっと言われてきたことで、守られもしない対策だ。

危険でつらく苦しい業務はすべて外注、下請業者に回した。 危険でつらく苦しい業務ほど費用がかかるためだ。 外注、下請を通じて費用を節減するが、安全教育は疎かにして、使う装備や安全装具なしで働き、 業務指示や監督ラインが切れて現場で何が起きているのかも分からないまま死んでいっている。 この程度なら「労災の非正規職化」と呼ぶに値する。

2015年、蛍光灯生産業者の設備解体作業をしていた20人の労働者と市民を含む80余人が水銀中毒の被害者になった。 悪名高い「水俣病」だ。 民主労総によれば、4段階もの下請けで働いていた下請労働者たちは何の情報もないまま働き、 病気になって病院を転々として、後で水銀中毒だと判明した。 2016年初め、サムスンとLGなどの大企業の3次下請業者で携帯電話部品作業をしていた20代の青年労働者5人がメタノール中毒事故で失明の危機と精神障害になった。 大企業の多段階下請の事業主たちは、エタノールではなく単価が3分の1程度のメタノールを使った。 事業主の不法派遣雇用で働いていた労働者たちは、自分が使っているものがメタノールなのかどうかも全く知らず、現場には保護装備も排気や換気装置もなかった。

この事故の後にも朴槿恵(パク・クネ)大統領は、安山始華工団で 「血を吐く心情で派遣拡大立法を推進しろ」と力説した。 労働部長官は涙を拭いながら国会で派遣拡大立法を訴えた。 そのうえさらに、事故後に政府が出した対策は、まさに処罰を是正措置に緩和する規制緩和だった。 こうした政府の対策を要約すれば、もっと多くが非正規職になって死ねということだ。

問題の根源は非正規職化だが、セウォル号惨事以後、少なくとも生命と安全に関する業務だけは外注や下請ではなく直営業務がするべきだという指摘が絶えなかった。 しかしこれさえ考えられないことだ。 労災死と市民災害の処罰を強化する法、外注化を防ぎ元請の責任を強化する法、老朽車両と1人乗務制を禁止する法、 化学事故に対して住民の知る権利と参加を保障する法、規制緩和で少なくとも生命と安全分野を除くための法などは審議もされずに19代国会が終わり、自動廃棄された。 血を吐く心情で、規制緩和と派遣拡大を中断し、これらの法を再度審議しろ。(ワーカーズ13号)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-06-14 16:40:28 / Last modified on 2016-06-14 16:40:29 Copyright: Default

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